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35(バー・ムイ・ラム)はスケベのこと?!〜ベトナムの数字と習慣

 ベトナムに暮らしていると、数字にまつわる習慣、符丁に気がつく。

 たとえば、35(バー・ムイ・ラム)。「スケベ」の意味だ。なぜ35が「スケベ」なのか?私も多くのベトナム人に理由をきいてみた。

 ある人は35歳という年齢は人生の中で一番「スケベ」になる年齢だからと答えた。ある人は、35は中国カルタでヤギを示す数字であり、ヤギは絶倫の象徴であるから、という説明だった。確かにベトナムでヤギのオスは交配時に射精後もすぐに別のメスと交わることができるとされているうえ、ヤギの睾丸をつけたお酒は「玉羊酒(rượu ngọc dương)」といって、飲むと精力がつくとされている。

 「サイゴンから来た妻と娘」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した近藤紘一氏はその著書の中で、その昔中国の皇帝が夜毎何百何千という後宮の女性たちを選ぶのにヤギが女性の部屋の前にとまったらその女性と夜を過ごすと決めたという故事にもとづいているとの説を紹介している。この説は一番もっともらしいが、真相のほどはわからない。

 私が住むハノイの最新のマンションでも、13と14階を忌避して12A、12B階と表記されている。13はベトナムでも不吉な数字であり、14はmươi tưと読み、4の発音が「死」を意味するtửという音に通じ、不吉だからというのがその理由だ。もちろんどのビルやマンションでもこれらの数字が忌避されているかとそうでもない。ベトナムではこうした験を担ぐひとばかりでもない、ということなのだろうか。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2019年6月号掲載

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