15節 サガン鳥栖vs鹿島アントラーズ 感想

「勝利とは99%の戦術と1%の決定力である」

内容だけ見れば、まあ勝ちゲームだったと言っていいでしょう。

前半から手塚を中心にビルドアップ。右は長沼・中野・小野によるグルーピングでの崩し。左は岩崎のスピードを活かして単騎突破。このアシンメトリーがうまく機能し、鹿島守備陣を確実に苦しめていました。

やはり目立ったのは手塚でしょう。前節から引き続き、圧倒的なパフォーマンスを見せます。パスセンス、ボールの受け方(オリエンタード)、キック精度。しかし目を引いたのはボール奪取能力。相手からボールを掻っ攫ってすぐさま攻撃に転じるその様は、さながらピッチの支配者。

鳥栖で言うと、2020年の原川に近しいものを感じました。あの年の彼は圧倒的な存在でしたが、手塚もそうなりつつあるような気がします。やはり埼玉でゴールを決めたことがひとつのスイッチとなり、パフォーマンスを上げているような気がします。

こんなに活躍しているのに、前節やっとスタメンの座を勝ち取ったばかりというのが違和感ですね。川崎戦あたりで途中から出てきた時もいい動きはしていたので、予感はありましたが。

さて、あとは田代・山﨑の両CBも素晴らしかったと思います。結果的に2失点は喫していますが、試合を通じて相手に仕事をさせていませんでした。そして守備面のみならず、ボールを運んで攻撃の起点にもなっていましたね。どちらかといえば今日はボール保持面が良かったと思います。

鹿島があまり前から奪いに来なかったのもありますが、時間とスペースさえあればボールを運べるようになっている(山﨑は愛媛時代に仕込まれたのでしょう)ことは評価すべきですね。

練習を見たりしたわけではないのでわかりませんが、多分チームで意図して仕込んでいるんじゃないでしょうか。

あとは森谷のゴールですね。左の岩崎で前進してからの崩し。小野が上手さを見せて長沼の落とし。森谷は最後決めるだけというところでしたが、確実に仕留め切るところはさすがベテラン。

一度はJ2に降りた選手がまたJ1に舞い戻ってゴールまで決めてしまうというのは感慨深いですね。

結果的には2度追い付かれての引き分け。完全に鈴木にしてやられました。

去年もそうですが、少ないチャンスをモノにしてしまう勝負強さが鹿島が上位にいる理由なんでしょう。

どれだけ試合を優勢に進めても、結果というものは得点を決める/止めるという部分、つまりはゴール前の攻防に収斂します。

内容では上回っただけに悔しいドローではありますが、フットボールは戦術だけではないということですね。

結果は残念だったものの、内容は見応えのある好ゲームでした。

もしかすると、選手の成長が目に見えてわかる今が、一番楽しいのかもしれません。

じわじわと調子を上げているだけに、次はアウェイになりますが勝利を期待します。

(選手は敬称略)


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