2024 サガン鳥栖 補強考察

2023-2024オフ、サガン鳥栖の補強について考察します。随時更新していく予定。選手は敬称略。手放しで補強を褒める記事ではなく、現実的な視点で今後を予想していく趣旨ですので、合わない方はブラウザバック推奨。

※最終更新 1/12(金)

DF 上夷克典(大分トリニータ)

プロフィール

1996/4/5生 27歳
182cm/74kg

2023シーズン成績

大分トリニータ(J2)
32試合/1G4A

展望

大分からやってきたCB兼SB。最終ラインが圧倒的に不足していた鳥栖にとっては待望の補強と言える。
プレースタイルとしては、積極的に攻撃参加をしていくタイプのDF。まさに鳥栖のスタイルと合致する。原輝綺にタイプとしては近いだろうか。
182cmと大柄なので空中戦も弱くないだろうが、田代のような純粋なCBというよりは、もう少し小回りの効くDFという印象。
昨季は3バックの右やRSBで起用された。目立たないが4アシストを記録しており、その全てが右からのクロス。フリーで蹴る余裕さえあれば精度の高いクロスを供給することもできる。クロスからの攻撃に活路を見出す試合も多かった中、彼の加入は新たなオプションとなりそうだ。富樫とのホットラインが開通してほしい。最終ラインを器用にこなせるため、どの試合でもベンチ入り以上は堅そうな選手だ。

DF 木村誠二(FC東京)

プロフィール

2001/8/24生 22歳
186cm/80kg

2023シーズン成績

FC東京(J1)
5試合/0G0A

展望

パリ五輪候補の有望株CB。そのポテンシャルは評価されながらも、各クラブでレギュラーの座を掴むには至らなかった(21年の相模原時代くらい)。
空中戦、守備対応、ビルドアップ、全てにおいてレベルが高く、まさにポテンシャルの塊とでも言うべき選手。J1での実績はまだないが、多岐にわたるタスクを任される鳥栖のCBに適合しうる逸材であることもまた確かである。
武器は空中戦とフィード。現状、鳥栖のCBにはあまりフィードを強みとしている選手がいないため、ここは差別化点となるだろう。ビルドアップに関しても、成長の余地はあるようだが意識は良く、利き足ではない左足でのパス出しにもトライしている。起用されるとすれば左CBか、3バックであれば中央の位置だと思われる。
五輪は1チームから3人までしか召集されない模様であり、FC東京には野澤・バングーナガンデ・松木と選出濃厚な選手が3人いるため、五輪を狙うという意味の移籍でもありそうだ。期限付きとはいえ、CB不足の鳥栖にとってもありがたい移籍だ。
他チームの下部組織出身かつローン移籍ではあるが、「鳥栖の魅力あるサッカーに惹かれ」と嬉しいコメントをしてくれた。是非とも大成してほしい選手だ。
ちなみに勘違いしている人がいるが、彼は山形で川井監督と被っていない。入れ違いである。

GK アルナウ(奈良クラブ)

プロフィール

1997/12/27生 26歳
190cm/85kg

2023シーズン成績

奈良クラブ(J3)
17試合/18失点

展望

奈良から二階級特進を果たしたスペイン人GK。セービング力とキックの技術で、J3初年度で5位と躍進した奈良のポゼッションスタイルを下支え。
内山が藤枝に移籍したこともあり、手薄になったサブGKの穴埋めだと考えられる。奈良でボール保持型の戦術にも適応しており、スタイルから逆算した補強だろう。
JFL→J3という経歴であり、J1でどの程度やれるのかは未知数なところ。奈良ではGK岡田と正守護神の座を争っており、絶対的な存在とまではいかなかった様子。
とはいえ、明確な意図を感じる補強であるのは間違いない。そのポテンシャルを発揮し、鳥栖の新たな守護神になってほしい。まずは岡本との争いになるだろうが、ボールを扱う技術がある点はアドバンテージたり得る。ジルベルトさんの元でJ1級のGKとなれるか。

FW ヴィニシウス アラウージョ(FC今治)

プロフィール

1993/2/22生 30歳
176cm/76kg

2023シーズン成績

ウム・サラルSC(カタール1部)
8試合/0G0A

FC今治(J3)
13試合/0G2A

展望

満を持して、チアゴアウベス以来となるブラジル人FWがやってきた。山形時代は2年連続で14ゴールを記録するなどJ2で圧倒的な成績を残した。
プレー映像を見る限りは、何でも満遍なくこなす万能型CFという印象。その強みは、勢いに乗った時の決定力。2021年は26試合で14ゴールを挙げており、ほぼ2試合に1点のペース。これは仙台時代の富樫をも上回る。そして相手DFとの駆け引きやポストプレーなども一定のレベルでこなす。
ただし懸念点が大きいのも事実だ。町田移籍以降は満足いくプレーができていない点。また、そもそもJ1初挑戦となるため、どの程度活躍できるのかは未知数だ。
最後に活躍した山形時代からはかなりのブランクがあるので、そこが不安ではある。
テクニックに優れたFWで、相手に囲まれてもキープできる技術の高さを持つ。彼を経由した攻撃にも期待ができそうだ。
チアゴアウベスやレンゾロペスのように使い所を選ぶ選手になるような気もするが、川井監督のインタビュー等でも外国人FWを試してみたそうではあったので、吉と出るか凶と出るか、まずは見てみたい。

MF 中原輝(セレッソ大阪)

プロフィール

1996/7/8生 27歳
169cm/66kg

2023シーズン成績

セレッソ大阪(J1)
16試合/1G0A

東京ヴェルディ(J2)
16試合/5G4A

展望

間違いなく今オフの補強の目玉は彼であろう。夏に東京ヴェルディに加入すると、バスケスバイロンの穴を埋める大車輪の活躍でチームを昇格に導いた。ヴェルディは来季J1で戦うにもかかわらず、鳥栖を選んでくれたことは素直に嬉しい。
山形時代には川井監督(コーチ)の薫陶を受けている。半田陸との右サイドは当時の山形において最大のストロングとなっており、その一人がやってきたことは非常に大きいと言える。
ストロングポイントは左足のキックと、ドリブル。プレスに来た相手を外すプレーにも長けシンプルなクロスでもチャンスメイクできる。とにかくプレーの選択肢が多彩な選手で、決定的な仕事ができる。今季の鳥栖はチャンスメイクの部分がうまくいかなかったが、そこを補う的確な補強と言えるだろう。
右WGでの起用が予想されるが、移籍すると目されている岩崎の後釜としてはかなりタイプが異なるため、攻撃戦術は大きく変わるのではないだろうか。
かつての仙頭と同じく、 J2では絶対的だがJ1では並の選手、という評価。しかし逆に言えば、戦術の核に据えてさえあげればかなり活躍できると思う。そして、彼のストロングを活かすためには、なるべく前に張らせたいので、必然的にシステムは4バックとなるだろう。
原田もタイプ的には半田陸と近いので、この右サイドをユニット化して攻撃を構築していくものと思われる。
河原と同郷の熊本県山鹿市出身者であり、中央に構えるのはヴィニシウス、そして攻撃のタクトを振るう堀米。広がるのは馴染みのある光景。かつての恩師、チームメイトとの共闘になるため、ビジョンの共有もスムーズだろう。

DF 丸橋祐介(セレッソ大阪)

プロフィール

1990/9/2生 33歳
178cm/73kg

2023シーズン成績

BGパトゥム ユナイテッド(タイ1部)
14試合/0G1A

セレッソ大阪(J1)
0試合/0G0A

展望

待望の左サイドバックの獲得である。昨シーズンは菊地に一任したポジションに、経験豊富なベテランがやってきたのはかなり大きい。
何度も対戦しているため、そこまで説明の必要はないだろうが、ストロングは左足のクロス。SBながらアシスト数も多く、2021年は6アシスト。元鳥栖の尹監督や戦術家のロティーナ監督の元でもプレーしているので、鳥栖のスタイルへのアジャストは十分可能と思われる。
昨季後半戦は怪我に苦しみ、今シーズン前半はタイでプレー。本職のLSBに加えLWBや3バックの一角も務めた。
タイでのプレーぶりは所属クラブのハイライト程度しか情報がなかったが、LSB・LWB・3CBの一角と様々なポジションで起用されたようだ。主に大外に張ってクロッサーの役割をこなしていたようで、基本的に日本でのプレーと大きくは変わらないようだ。
守備面がどの程度やれるかは気になるものの、左足のキック自体はまだまだ錆びついていないように映った。タイではJリーグにも所属したティーラシンへのアシストも記録。彼のクロスに富樫らが合わせるシーンを期待したい。
唯一の懸念点はコンディション面だ。今季セレッソで出場機会がなかったため、現在どのような状態なのかよくわからない。ただ、経験と実績は間違いない。実質本職ゼロのLSBというポジション、ユース出身北島の手本になるという意味も含めて、大きい補強だろう。

FW マルセロ ヒアン(横浜FC)

プロフィール

2002/6/8生 21歳
188cm/83kg

2023シーズン成績

横浜FC(J1)
23試合/3G2A

展望

昨年にはなかった新たな武器を手に入れた。ブラジル人の大型CFは、特別指定の日野と同じ2002年世代。期待の若手である。
彼の特徴はなんと言ってもポストプレー。とにかくボールが収まる。空中戦も強く、クロスのターゲットが不在であった昨年に比べると、ゴール前の迫力は段違いに増しそうだ。
トップスピードはなんと横山をも超えるという彼の身体能力は、移籍した岩崎の穴を埋めて余りある。得点力はそこまでなものの、詰まった時のボールの逃げ場、ビルドアップ時のポストプレー、ゴール前で相手と駆け引きなど、鳥栖の戦術的に非常に大きな役割を果たしてくれるだろう。
昨季は小野のゼロトップでゴール前の迫力がなかったが、彼の加入で相手に与える脅威も増しそうだ。
シンプルにワントップでの起用が予想される。富樫、ヴィニシウス、河田とタレントが揃うFW陣だが、J1の強度でワントップを務めるのに最も適しているのはマルセロヒアンだろう。
イメージとしては、垣田と岩崎を足して二で割った選手。荒削りな部分もあるが、昨年の鳥栖に足りなかったものを持っているし、CFのレギュラーを掴み取る可能性高いと見ている。

DF キム テヒョン(蔚山現代FC)

プロフィール

2000/9/17生 23歳
187cm/82kg

2023シーズン成績

ベガルタ仙台(J2)
23試合/1G0A

展望

ついに埋まったラストピース。左利きのCB/SB。不足していたポジションを一手に補う彼の獲得は、今季の鳥栖のスカッドの充実度をグンと引き上げた。
彼の特徴は、スピードと身体能力。被カウンターの少なくないチームにとって、土壇場で無理が効く彼の存在は大きく作用しそうだ。また、対角フィードも一定の精度で蹴ることができ、ビルドアップにも新たな選択肢が加わった。持ち運びの方はやや課題があるようだが、そこがクリアできていればそもそも蔚山が手放さないだろう。とはいえ、韓国2部ではボランチで起用された時期もあるほどで、技術が低いというわけではないだろう。
アングルの違いという観点から左利きの存在を重要視する川井監督の元、一定の出場機会が見込まれる。昨年、シーズンを通して埋まらなかったジエゴの穴を埋めうる逸材だ。鳥栖のスタイルへのアジャストに期待だ。

※今後加入が決まれば、その都度追記する予定。

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