丸太のままの熱化学還元処理2

前回お見せした熱化学還元処理(TCR)した三雲スギの丸太を土山木協の協力で製材を行った結果をご報告しましょう。
スギの処理丸太は、全部で16本。丸太の径級に合わせて正角材を9本、梁桁材を7本挽きました。
先ず、製材時の挽曲がりの様子を見て下さい。長さ3.5mの材で2mまで挽いたところでの鋸道の開き幅は平均で僅か1㎝でした。
曲がり材でもほとんど差はありません。
通常、無処理材ではこの開き幅は3㎝から6㎝、くせのある材では20㎝に達するのが普通です。
鋸断の際、長さ方向に働いている引張応力が解放されるため、挽き材は縦方向に収縮し、反りが生ずるわけです。
ところが、TCR処理によって内部応力は均一化されるため、前述したように鋸道の開き幅が緩和されることになります。
更に、丸太の円周方向では 圧縮応力が働いているため、これが解放されることによって幅反りが生じます。
そのため、製材後に生じた縦横の反りなどの変形を調整するために、二度挽き、三度挽きをしなければならないわけです。これによって製材歩留は平均で原木の51%まで落ちてしまうことになります。
しかし、TCR処理によってこの手間は、ほぼ完全に省かれることになり、一度挽きだけで所期の寸法にほとんど仕上げることが出来ます。
正角や梁桁材の木取の際に生ずる背板や板材も同様有効に利用できるわけです。これによって、製材歩留は平均で約65%となり、良材では80%まで上昇します。
最悪の状態にある木材素材産業にとって、他材料では決して真似の出来ない素材そのものの持つ機能を商品化する上で熱化学還元処理技術は必要不可欠であるという社会認知が広がって行くよう木を、森を愛する皆さんのお力添えを願って止みません。
次回は、この製材品をもう一度TCR処理した結果をご報告しようと考えています。

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