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ブスは上白石萌音の夢をみるか

マツコの前番組の流れでなんとなく見始めたけど、気付いたら毎週見続けている恋はつづくよどこまでも
ここまで王道なラブコメを見るのは久しぶりで、毎週キュン死している。

さて、ふとネットでドラマの評判を見ると、主演の上白石萌音ちゃんへのアンチ(否定的)な投稿が多いのが気になった。

表題がなんだか嫌な感じで反省なんだけど、思うことがいろいろあるし書いてみる。

前提

Twitterを覗くと、男女ともにドラマに関するツイートは多かったが、萌音ちゃんアンチに限っては、男性アカウントはほとんど見当たらず、ほぼ女性ばかりに見えた。
試しにガルちゃんも覗くと案の定アンチだらけで、中にはもうマジで辛辣で最後まで読めない投稿も多かった。

なぜ萌音ちゃんを嫌がる女性が多いのか、理由を考えてみたい。
とは言っても根拠がない個人の妄想だし、ヒゲダンとか聴きながら気楽に読んでほしい。(I LOVE… いい曲だよね)

萌音ちゃんが好きって?

付き合っている男女がこのドラマの話をしているところを想像してみる。

男性が「オレ、香里奈ちゃん好きだなー」といえば、きっと女性も「キレイな人好きなんだねー!まったく」と笑って終わると思う。
香里奈ちゃんが好きというと、世間一般の標準的な美しさという生まれつきの才能を持った人が好き、という印象が強い。
この、生まれつきというのがとても重要で、言われた方は無条件に自分と比較する対象ではないと考える。
つまり「オレ、コーギーが好きなんだよね」と言われるのと同じだ。

さて、男性が言ったのが「萌音ちゃんが好き」ならどうだろう。
きっと眉をひそめる女性は少なくないと思う。萌音ちゃんのアンチでなくても。
先ほどの香里奈ちゃんの例と対照的で、萌音ちゃんは後天的な魅力がフィーチャーされることが多い。
ちなみに私は、萌音ちゃんは美人だと思うし、そもそも東宝シンデレラという時点で素人が口出しするいわれはないはずだが、若い女性が求める派手めな顔とは少し違いそうだ。
萌音ちゃんは歌も演技も上手で、いつも笑顔で、でもどこか凛としていて、本業ではないであろうバラエティ番組に出ればさりげなく上品な華をそえる。コメントも丁寧な言葉できちんと伝える。
それらの魅力は才能以上に、彼女の努力や、日頃気をつけている小さな積み重ねで成り立っている部分が大きい。
そう考えると、萌音ちゃん魅力の多くは、どんな人でも平等に、これまでの人生で手に入れられるチャンスがあったかもしれないものなのだ。

つまり極端に言うと、「萌音ちゃんが好き」は「君より頑張ってきたあの子が好き」なのでなる。
少々穿った受け取り方に思えるが、世の女性がここまでネガティヴな思考に陥りやすいのにも理由がある。

社会と萌音ちゃん

辛い現実の話をしたい。
前述の萌音ちゃんの魅力は、一般的な女性が日々の生活の中で、社会から求められやすい要素とほぼ完全に一致している。仕事でもプライベートでも。

仕事のチームの中では、必ず一人はムードメーカーが必要だ。
周りを明るくし、ポジティブな合いの手を入れつつ、適度に主張もするような、まさに萌音ちゃんのようなキャラクター。
その能力は、少なくとも美形であること以上にありがたく、単純にチームの生産性に直結するはずだ。
実際にこの記事を読んでくれている方の中にも、そんな身近な萌音ちゃんに支えられた経験がある人も多いのではないだろうか。
恋つづの日浦総合病院での佐倉ちゃんも、まさにそのポジションだし、萌音ちゃんのイメージにぴったりだと思う。
もちろんそれが必ずしも女性である必要はないけど、現状女性に求められることが少なくない。

一方プライベートでも、派手な顔立ちのイケイケな女性がいる夜の店に通っていた友達に、久しぶりに会ったら、見た目も行動も素朴で気立ての良い女性と結婚していた、なんていうのはもう見飽きたほどだ。

今の時代は多様性がどうのこうの言うわりには、身近な女性に求められていることは、結局いつでもどこでもほぼ同じように思える。
さらに追い討ちをかけるのは、それを求めている側には男性だけでなく、女性も普通にいるということだ。
そこから外れた女性にとって、自己肯定感を保つのはとても難しいのではないだろうか。

ブスと萌音ちゃん

さて、そんな女性たちの中で萌音ちゃんを攻撃する女性を、仮に「ブス」と呼んでみる。
いや、なにも私の勝手な悪口ではない。
宝塚歌劇団がブスを細かく定義した、ブスの25箇条に沿った呼び方だ。
これには「笑顔がない」、「おいしいと言わない」などから、「責任転嫁がうまい」など、男女問わずギクっとするようなことも挙がっているので、興味があれば是非読んでみてほしい。

「おいしいと言わない」で思い出した。
私が好きな萌音ちゃんのワンシーンに、王様のブランチで肉を食べるシーンがある。萌音ちゃんが高級肉を口にして感激し、20秒後に至福の表情で「おいしい…❤️」と言うだけのもの。
もし自分が女性にごちそうして同じリアクションをされたら、イチコロである。
そこに相手がどんな見た目であるかなんて当然関係ないが、ブスたちはそれを疑って止まない。

ブスたちが口を揃えて言うのは「女は見た目だよね」ということだ。

私は学生時代に、同じ学校の女子同士が「○○ちゃんは内定6つももらったらしいよ。まあ顔採用かもね」と笑い合っているのを見た。
ギョッとしたが本人たちに悪意はなく、むしろ「あの子は別だから考えないようにしよう」という意味に聞こえた。
先程の香里奈ちゃんの例と同じで、顔採用という言葉は少なくとも就活が不調な彼女たちにとって救いだったのだと思う。
このように、見た目至上主義を叫ぶことは、ブスたちの最大の防御であり、恵まれない境遇の自分たちを受け入れる手軽な方法なのだ。
ブスの世界は「顔が良ければ幸せ、良くなければ不幸」という常識で秩序を保っているし、同時に佐藤健の恋人役が、自分たちの好みの顔でない上白石萌音であることは重罪である。

女子が「ブス」になるとき

さて、女子はいつブスになるのか?
基本的に小さな女の子は、周りからかわいいと言われまくって育つが、思春期に突然、言われる子と言われない子に別れてしまう。
その時点では残念ながら見た目の要因が大きい。
女子はここで生まれて初めて、自分ではどうしようもない理不尽な差別をうけることになる。
それでも周りに上手くサポートしてくれる大人がいたり、本人に誇れる特技などがあれば問題ないが、実際はそうでない場合も多い。
すると次第に自分を肯定できなくなり、笑顔がなくなり、いつのまにか「どうせ… 」が口癖の本物のブスが誕生する。
もともと全くブスではない、萌音ちゃん候補生だったとしてもだ。

ブスは上白石萌音の夢をみるか

今はガルちゃんという全国のブスが大集合しているサイトがある。
しかし、そんなブス統治下だけで生活することは当然ながら難しい。
萌音ちゃんを叩いたってお腹はすくし、ブスも働きに出ないといけない。
職場や学校でも萌音ちゃんを見つけては、陰口を言って貶める。
そして、家に帰ったらテレビをつけて、また萌音ちゃんを攻撃する。

しかしそんなブスたちも、きっと身近な萌音ちゃんたちに支えられることがたくさんあると思う。
ぶっちゃけ本当は見た目なんてそこまで大きなアドバンテージでないことは、実は自分たちが一番よくわかっているはずだ。
それでも努力せずに手っ取り早く自分を納得させられるブス思考から抜け出せずに、もがいている人も多いと思う。

ただ、こんなブスたちも稀に、なにかの拍子に萌音ちゃんたちの仲間入りを果たすことがある。
きっかけは様々だが、ここまで書いたように自身の努力次第でいくらでもチャンスはあるからだ。

萌音ちゃんが嫌いなあなたへ。

散々書いたし、ここまで読んでくれている方は少ないと思うけど…

もし今のあなたが萌音ちゃんを嫌っていて、見た目が良い人だけが評価される世の中だと思っていたとしても、全く構わない。
ただ、そんなあなたにひとつだけ提案がある。
目の前にある、必要だけど他の人がやりたがらない小さなことを、ひとつずつ丁寧にやってみてほしい。
そして最も大切なのは、どんなに簡単なことでも完了した瞬間に自分自身を全力で褒めてあげるということ。
「通勤できてえらい!」「ロッカー室のゴミ拾いしてえらい!」といった具合に。
とにかく脱ブスに必要なことは、美容整形でも、タングルティーザーでも、フォロワー数でもなく、正しく自己肯定感を上げることに他ならない。
続けていると周りの評価が上がるだけでなく、自然と他人の悪口なんて言わなくなるし、きっと何より、ただただ毎日が楽しくなるはずだ。

いつの日にか大嫌いだったはずの萌音ちゃんの歌で、気持ちよく涙を流せる日が来たら、もうブスは卒業だと思う。

私もこんな恥ずかしい文章を書くクセから、早く卒業したい。

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