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スポーツマンガと無観客のオリンピック

大人になったらマンガは卒業するものだと思っていた。
読んでも、ゴルゴ13やギャラリーフェイクのような渋い作品にシフトしていくものだと思っていた。

ひとりぼっちの〇〇生活を読んで涙ぐんだり、かくしごとの劇場版に心動かされる大人になっているとは想像できなかった。
まさかプリキュアを観る大人が存在するとは思わなかった。
※ハグプリしか観てないけども


昔からスポーツマンガが好きだった。
スポーツマンガというより、おそらく群像劇が好きなのだろう。スポーツを題材にすると群像劇は作りやすそうだ。

自分の好きなスポーツマンガを挙げると、共通点が見えてくる。
・俺たちのフィールド
・最強!都立あおい坂高校野球部
・ちはやふる
どれも、応援している人たちに魅力的なキャラが多い。

俺たちのフィールドは、母親の高杉 晶子や幼馴染の森口 愛子はもちろん、ヤマキの社長令嬢の八巻 玉緒、応援団長大倉 美希、会社員のおっさんの尾俣 隆一など、挙げればキリがない。
皆、いろいろな想いを抱え、高校選手権、Jリーグ、代表選手を応援していく。
応援する人とは少し違うかもしれないが、ラストのモロ岡の台詞。全文は長くなるので省略するが、
「勝ってくれたら…死んでもいい…」
に号泣した人も多いと思われる。

最強!都立あおい坂高校野球部に関しては、主要キャラクターとして、ヒロインとして、わかりやすくチアリーダーが存在する。
野球に興味のなかった女の子たちが、次第に熱中し本気で応援していく様も気持ちいいが、普通の都立高校として、甲子園など別世界のテレビの出来事と思っていた生徒達や先生までもが、少しずつ大きなうねりとなっていく様子の描写がたまらなく面白い。
対戦相手の応援団に関しても、比較的質量を持って描かれている気がする。

ちはやふる、スポーツマンガとして扱うとお怒りの人が出てくるかも知れない。
チーム競技ではないので、応援シーンは書きやすいとは思うが、それにしても応援がクローズアップされるシーンが多い。
競技の特性上、団体戦の最中でも試合の終わった選手からの応援シーンが続いたりする。
もう、応援マンガと言っていいかもしれない。


何者でもない自分(社長令嬢とかいますけども)、何者にもなれない自分の負の感情を、何かを掴める可能性のある人に託し、一緒に高い所へ行きたい。連れて行ってほしい。
そういう姿に、何者にもなれそうになかった若いころの僕や、何者にもならなかった今の僕は共感しているように感じる。

選手にはもちろん頑張ってほしいが、それと同様に自分の頑張りたい気持ちが応援の熱になっていくのではないか。

俺たちのフィールドで、高杉が各国の応援の激しさにビビッて泣きながら森口に電話をしているシーンがある。
「やってる方はおっかねぇんだよ」
応援される側になったことがない人生なので、高杉の気持ちを実感することはできないが、一つの真実なのだろう。よく描写したものである。


今回の東京オリンピックは残念ながら無観客での開催となっている。
観客の有無の是非は問わないとして、無観客自体は残念なことだろう。
大歓声に後押しされて発揮できる力は必ずあるはずだ。

直接声を届けることはかなわないが、テレビを通して選手を応援し、そのことによって自分自身を応援することはできる。

Twitterなどの盛り上がりも、エゴサするまでもなく、各選手に声援として届いているはず。
運営に関して、いろいろ思うことがある人は多いようだが、選手に関しては、国籍・人種様々な事柄を超越して、一挙手一投足に拍手を送りたい。

多分、その方が健全だ。

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