それで、さよなら
note自体も久しぶりだが、この手のポストはもっと久しぶりである。諸々自身に変化があったことは、追々したためていくとして。
久しぶりに作詞をしたのでその話を。日記も含めています。
毎度おなじみ「アルカフェ」で、ひょんなことから1日店長権というものいただいており、いつか使わなければと思いながら2年が経った。そして、この3月を逃すとなかなか権利を使えそうにないということもわかったので、本当に急遽企画を作ることになった。
店主のだんさんとはいつか共作をしたいと思っていたので、以前にも声をかけた。すると、曲が突然やってきた。これは、2021年のこと。これに関しては本当に申し訳ないのだが、気持ちの行き違いがあった。このときも私は「私が詞を先に書いてだんさんに曲をつけてほしい」と伝えたつもりだったのだが、突然曲と楽譜がきて、本当におどろいた。でも、せっかく書いてもらったのだし、詞をつけたいなとは思っていたのだが、仕事が忙しかったということもあり、つけられずにいた。
……否、ここで嘘をついても仕方がないので正直に話すと、MIDIを100回きいても、ひとつも言葉が浮かんでこなかったのだ。これは無論、仕事でのアウトプット過多もあったとは思うのだが、おそらく、だんさんの曲のリズムと私の言葉のリズムが揃わないのだと思う。あるいは、だんさんの曲の意思に、私が思いを重ねることができないのか……、とにかく、まあ、結構聴き込んだにも関わらずまったくもって言葉が出てこなかった。しばらくして(1年後の2022年)、だんさんが「この曲に歌詞をつけてもいいか」と問い合わせがあった。正直、こんな経験は初めてだったので、悔しい気持ちもあった。しかし、1年放置したのは自分だし、それ以上に申し訳ない気持ちでいっぱいだったのでもちろんすぐにお戻しした。この曲は「The opposide side of the world」という別の曲になった。
さて、イベントは急ごしらえだが、アルカフェでやる以上、このリベンジをどうしてもやりたくて、「詞先で曲を作ってほしい」と再度お願いした。そのときも「無理ゲーだ」とおっしゃっていたが、だんさんの作曲速度は異常なので「必ずできる」と確信していた。このとき、2月中に送ることで双方合意をとったのだ。
その後、別のイベントの練習やら仕事やらがドドドっと押し寄せてきて、ヒィヒィ言いながら日々を過ごしていると、だんさんが「詞先はスケジュール的に無理な気がするし曲をつくった」と、またしても突然楽譜と詞が送られてきて(この曲は「はじまりの儀式」という曲であった)、愕然とした。いや、違うんだ、だんさん。やりたいことはそれじゃない。大人げないとは思いつつ、「むむ…」とだけ返信した。それ以上の言葉が出てこなかったのだ。大人なだんさんは、「もちろんご無理のない範囲で!」と言ってくれた。
イベントも仕事も終えて、私は、急いで歌詞を書いた。といっても、実はタイトルだけは決まっていて、これは多分2022年の12月頃にはあったと思う。「旋風」とか「最後の1ピース」とか、「ひとりきり」みたいなワードも、そのときからなんとなくメモはしていた。
また、イベントの打ち合わせのときに、だんさんが「おれは曲先はほとんどない。詞から曲がうまれるんだ」というような旨の話を思い出して、でも前回みたいに曲から生まれることもあるじゃない、と思ったし、なんとなくだんさんってそういう「決まり」みたいなものから脱した瞬間に強くなることが多いよね、と思って、「ことのはだけが頼りじゃないわ」とメモした。すると、それに呼応するのように「命がゆらいで気持ちになるの」という歌詞が脳内に”納品”されて、あ、あとは整えるだけだな、と思った。
サビの「やわらかい重さ」というのは、これは中学の時に書いた自作の小説のタイトルで、内容はブラックボックスの中にぶちこんであるけれど、キーワードは気に入っていた。それをふと思い出して、しめのひとことに。
2月中に提出するなら、2番まで考えている暇はない。とにかく1番を作って、朝、だんさんに提出した。まったく、なんの挨拶もなく。
そこからのことは、だんさんのブログを読むといいと思うけれど(あとTwitter)とにかく「鬼」だの「悪魔」だの「にくい」だのひどい言われようで(笑)、いや、まあ確かに仕打ちはそうなのかもしれないけど、私としては当初の取り決め通りの日程に提出したし、そもそもその程度の無茶振りはアルカフェで何度も経験しているので痛くも痒くもなかった(ごめんw)。
しかも、そんなことを言っておきながら、たった45分で楽譜が返ってくるのだ。だから言ったじゃん、できるって。ね。
めずらしく、愛だの恋だのという言葉も入れてみた。だんさんの覚書でも、
とあるけれど、流石だ。そう、9月にとある決断をしてからというもの、私という人間が結局、大事なことを一人で決めてしまうんだな、ということに、とても自覚的になったのだ。これはつまり、昔はそうではなかったということもあるし、今、私が世間より強くなってしまったことでもある。確かに大切な人はいるけれど、どうしてでも守りたい人はいないということでも、また、ある。それが、体が引き裂かれそうなほど切ないことでもあるし、涙が出るほど幸せなことでもある。そういう矛盾をひとつの体に宿しているという感覚を、とびきり平易な言葉で記した。茶化さない意味で、「恋」や「愛」といった言葉を歌詞にしたのは多分、はじめてだと思う。
2番は1番をもとにつくったけれど、だんさんがあまりに「にくい」といっていたので、都合よく歌詞にいれた。「救い」になったでしょ。だってこんなにいい曲ができたんだもの。
歌詞をながめると、それこそ恋愛の、わかれの、言葉に思えるが、それもそのはず。おそらく私は、広義の意味での恋心を各人それぞれに抱いていて、そのひとつひとつに丁寧におわかれをしたかったのだろうと思う。だから、これは大勢に向けた曲ではなくて、1:1の、「あなた」と「わたし」の、ごくごく個人的なもの。もちろん、歌詞を書くにあたっては、そのうちのひとりであるだんさんのことを、少し強くは思っているけれど。
ま、そんなわけでかなりストレートでウェットな歌詞を書いたけれど、このバラードに落ち着いたのは、やはりだんさんの力量というか、私には到底できなかったことだ。大人気なく歌詞を書いたことを、やっぱり後悔しないのです。ありがとうございます。
いつか音源になることを夢見て。
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