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線香の香り

法事ごとで親戚宅へ。祖母を偲びつつ仏壇に手を合わせる。

それにしてもなんと良い香りだろう、良いお香なんだろうか、とふと思った。

以前、父の葬儀の時に焚かれたお香の香りが本当に素晴らしくて。お寺さんが用意されているものなのだろうか、良いものなんだろうなと思ったのを思い出した。

私はずっと香りのものは好きで、お香も割と買って使ってみていた。スーパーなどの身近なお店で手に入るものからはじまり、和物雑貨屋さんで少しお高いものを買い。専門店で購入したりもした。けど、香炉などのちゃんとした道具は使わなくて。結局中途半端に使ってみて終わり、みたいな感じだった。

親戚宅はなんというか品の良い感じで、お香なんかも良い物なのかな、と思っていると、いとこのお姉さんがお線香の箱を持っている。…普通の市販品だ。

その線香は私も店頭でちょっと香りを確認して、良い香りだなとは思っていたけど。こんなにも良い香りだっただろうか。二箱持ってたからもう一箱は分からないし、もう一つが高級品の可能性もある。

香炉を使うとやっぱり違うのだろうか。つけてから時間が経って部屋にまろやかに香ると感じ方も変わるのだろうか。

父の葬儀と異なり、別の葬儀の時のお香はそこまで感慨が無かったことも思い出す。とすると、単に私の香りの好みによるものなのだろうか。

あるいは田舎の静かな座敷の空間と窓に映る庭の木々と明るい初夏の日差し。そういったものと合わさることで感じ方が変わるのだろうか。

法事ごとはつつがなく終わり、食事をいただき、いくらかのお喋りをして会は終了、帰途に着いた。

親戚宅の皆さん歳をとった。私も歳をとっていく。

お互いに元気でつつがなく過ごせるように、と祈る。

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