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Wacken Open Air 2019 Review (Day ③)

8月3日、記念すべき30周年のW:O:Aも最終日!
前日までの雨の予報は何処へやら、カラッカラの晴天である。EU滞在中にふと気がついたのだが、どの国へ行ってもParkway Driveの出演日だけは天気予報も雨雲も吹き飛び晴天、翌日Parkway Driveが去った地域は土砂降り…。晴れ男を超えて、もはや彼らは松岡S造コアというジャンルに属するのではないかとすら思えてきた。
そんな彼らがメインステージの出演を果たした最終日の模様をお届けしよう。

BLEED FROM WITHIN 

オーディエンスに連日の疲労が見えてきたこの最終日、そんな午前の眠そうな雰囲気を弾き飛ばすかのように勢いよく登場したのがスコットランド出身のBLEED FROM WITHINだ。

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2018年にリリースしたアルバム"ERA"より、ClarityやCrown of Misery等の疾走感のあるキラーチューンを出だしからトップギア入りっぱなしの勢いで叩きつけてくる。

すぐにオーディエンスからはメロイックサインと歓声が上がり、巨大なサークルピットも発生。

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実はキャリアは長いものの、諸事情によりその歩みを止めなければならなかった彼ら。母国ではポストBMTHと騒がれ、同じようなキャリアを同世代のARCHITECTSが歩んだ。その名こそ日本ではあまり聞かないものの、間違いなくそのトップクラスと肩を並べても完成度が全く劣らない影の実力者でもある。

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求心力のあるVo.ScottのMCに、まだ前日の眠さを引きずっていたかのようなオーディエンスも次第に覚醒。多くのメロイックサインが掲げられ、大歓声の中彼らの初のWackenでのステージは幕を下ろした。

その後バックステージ近くの通路で出会った彼らに聞くと、WOAのエリア滞在時間が約三時間程度という過密スケジュールだった。オランダでの公演での再会を約束し、10分後には会場を去らねばいけないと名残惜しそうに言いながら走り去る彼らの後ろ姿を見送った。



BULLET FOR MY VALENTINE

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イギリスのウェールズ出身、大人気のBullet For My Valentine。

大歓声の中颯爽と歩いてくるMattとPadgeからは、もはや貫禄さえ感じられるほど堂々としたオーラが醸し出されていた。

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Don't Need Youからの2曲目、Over Itの切り返しと煽り方の巧さも素晴らしく、Padgeはカメラマン一人一人に目線を合わせるパフォーマンスも見せてくれた。

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2015年から加入したBa.のJamieがクリーンを歌う場面もあり、2015年の彼の加入当時にアメリカのツアーで見た時よりも更にバンドの曲の中での表現の幅が広がったように感じた。

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後半はAloneから名曲Scream Aim Fireのイントロでオーディエンスからは爆発するような歓声が上がり、そこからは往年の名曲が次々と披露される。
ラストはTears Don't FallWaking the Demonでかっちりと締め、多くのファンが彼らのギターの音に酔いしれ走り回り、最後までその勢いを落とすことなく盛り上がり続けたショーだった。


Bullet For My Valentine Setlist
1. Don't Need You
2. Over It
3. 4 Words (To Choke Upon)
4. Suffocating Under Words of Sorrow (What Can I Do)
5. The Last Fight
6. Venom
7. Worthless
8. Piece of Me
9. Alone
10. Scream Aim Fire
11. You Want a Battle? (Here's a War)
12. No Way Out
13. Your Betrayal
14. Tears Don't Fall
15. Waking the Demon



POWERWOLF

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ここ数年で更にバンドとしての勢いを増してきたPOWERWOLF。2年前にここWackenで目にした時よりも、更に多くのファンが世界各国から押し寄せてきている様が見受けられた。この日一番の大歓声が上がる中、メンバーがステージへと姿を現す。

1曲目のFire and Forgiveでは"Fire!"の声に合わせてステージから炎が上がり、Vo.のAttilaもそれに合わせて火炎放射器を持ち炎を噴射。

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POWERWOLF!! POWERWOLF!! と止まらないオーディエンスのコールに、OrganのFalk Mariaも思わず笑いが止まらないといった様子。

その勢いのままArmy of the Nightがスタート。何万人というオーディエンスの大合唱と手拍子が空に反響している光景は圧巻。
その後所々英語も交えながらMCをする姿も、2年前の彼らにはなかった事。彼らの活動が益々ワールドワイドな人気を得てきた証拠だろう。

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煽りの上手いAttilaの語りと、新作と旧作の曲をバランスよく取り入れたセットで全くダレる場面もなく終始盛り上がりを見せたPOWERWOLFのショー。あまりの盛り上がりとその熱気に倒れてしまい、搬送されるファンも少なくなかったそう。

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このバンドほど、フェスティバルくらい大きいステージで見ないと…と思わざるを得ないような、世界観とステージの芸術的な様相が確立されたバンドはいないのではないだろうか。Resurrection by Erectionは、今までのPAWERWOLFとは少し違ったアプローチのある曲に感じたが、これがまた生で見るとニクいほどメタリックなギターのリフが映えて素晴らしい。
Demons Are a Girl's Best FriendWe Drink Your Bloodでのコール&レスポンス、そしてシンガロングはまるで野外大聖堂でのミサのような一体感が生まれていた。
ヨーロッパでのそのあまりの人気ぶりに、多くの人が待つ"来日公演"という言葉が遠く感じてしまうような、そんなショーだった。


POWERWOLF Setlist
1. Fire and Forgive
2. Army of the Night
3. Incense & Iron
4. Amen & Attack
5. Demons Are a Girl's Best Friend
6. Armata Strigoi
7. Stossgebet
8. Blessed & Possessed
9. Where the Wild Wolves Have Gone
10. Resurrection by Erection
11. Sanctified With Dynamite
12. Werewolves of Armenia
13. We Drink Your Blood



PARKWAY DRIVE

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これまでの30年の歴史、Wacken Open Airのその栄誉あるメインステージに上がったバンドは数多くあれど、メインステージの大トリを務めたメタルコアバンドが、かつて存在しただろうか。しかもヨーロッパやアメリカのレジェントと呼ばれるバンド達ではなく、彼らと比較すればそのキャリアもまだ中堅的存在である彼らがだ。

オーストラリアのシーンで絶対的な存在となっているPARKWAY DRIVEはまさにこの2019年にその偉業を成し遂げたと言っても過言ではない。
そして彼らのこの成功は、今のメタルコアシーン、エクストリームミュージックシーンに間違いなく大きな夢を与えただろう。

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彼らが今年行っている特殊なセットと映像からの入場が終わり、4人のみで最初の2曲、Wishing WellsPreyを演奏。

『ヨーロッパツアーが始まる数日前に、ベースプレイヤーが膝を骨折してしまったんだ。キャンセルになるのかとも思ったんだけど、彼の献身的な家族のおかげで今日一緒に来ることができたよ』

とVo. Winstonが話し、車椅子に乗ったJiaとその車椅子を押す彼の母がステージに登場。ファンからは大きな拍手が起きる。そして何万人もの"Mum!!"コールの中、Jiaの母の人生初となるクラウドサーフと、それに合わせ名曲Carrionがスタート。

PARKWAY DRIVE独特のハイパワー/ハイテンションなエネルギー溢れるステージに、オーディエンスはどこを見渡しても満面の笑みばかり。

『正直あんまり知らないんだよね、メタルコアバンド好きじゃないし。でもこのバンド有名なんだよね?』
と話していた多くのフォトグラファーの口が開きっぱなしだったのには、私も笑いが止まらなかった。彼らのそのエネルギッシュなステージは、国も言語も年代も、PARKWAY DRIVEを知らない人間の心をも打つのだ。

そのポジティヴな空気そのままに、Vice Gripでは特大のシンガロングが起き、冷えてきた空気を揺らす。

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中盤にJeffのギターソロから始まった名曲Idols and Anchorsには、私含めオールドなファンが一斉に発狂したように叫び喜んだ。

Writings on the Wall/Shadow Boxingではオーケストラのカルテットをバックの演奏に入れ、より美しく壮大なステージを披露。これがWackenのステージで見れるなんて、昔からのファンは信じられない気持ちでいっぱいだろう。現に、私もそうだった。

夜空に響くWild Eyesのギターソロに、多くのファンがメロイックサインをこれでもかというほど高く高く掲げ大合唱する光景にも感動。

ラストはCrushedからのBottom Feederで、最後までパワフルかつ笑顔が絶えないステージを披露したPARKWAY DRIVE。どこまでも響き渡る演奏とWinstonの大きな感謝の言葉がいつまでもそこにいたオーディエンスの耳に残っているようだった。

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PARKWAY DRIVE Setlist
1. Wishing Wells
2. Prey
3. Carrion
4. Vice Grip
5. Karma
6. Cemetery Bloom
7. The Void
8. Idols and Anchors
9.Dedicated
10. Absolute Power
11. Writings on the Wall
12. Shadow Boxing
13. Wild Eyes
14. Chronos
15. Crushed
16. Bottom Feeder




その後のスケジュールも考慮し、私のWacken Open Air 2019はこのPARKWAY DRIVEのステージで締め括りとなった。

その近代ミュージックシーンの歴史が変わった瞬間…とも言える瞬間に目の前で立ち会えたことをとても誇りに思うと共に、このフェスティバルが如何に多くのメタルヘッズにとって特別で、偉大な場なのかを改めて思い知ったように思う。

広大な敷地と、今年は天気に恵まれたが暑さで倒れる者や体調を崩す者も少なくなかった様な気候、常に流動的なスケジュール。まだまだやり残したことがあるように感じた。

既に翌年、2020年の出演バンドとスケジュールも発表され始めている。
また来年、この場所で会いたい人達ができた事。多くの事を勉強し、再びこの場所に戻ってこようと強く誓った。

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