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【INTERVIEW】Evilgloom インタビュー

(Photo by Yuya Teramoto
Twitter:@u_y_u_n / Instagram:@mottu41)

今年の2月22日に1st Full Album "Addictions"をリリースした、九州を拠点に活動するEvilgloom。
その楽曲センスやライブパフォーマンスは群を抜いており、熱狂する人々の反応もネット上で多く見られ、今の日本で大注目のバンドの一つである事は疑いようもない。

今回は、今後の活動からも目が離せないEvilgloomのメンバーに色々と興味深いお話を聞かせていただきました!!


・インタビューを受けてくださりありがとうございます!
先日は1st フルアルバム『Addictions』のリリース、おめでとうございました。
ツアーファイナルの福岡も凄い盛り上がりでしたが、リリースツアーを終えての手応えはいかがでしょうか?

Demi: ツアーファイナルの話になるんですが、福岡に限った話ではないと思うんですけど、年々メタル等の激しい音楽をするバンドが減ってきている印象があって、そんななかでこれまで一緒にやってきた友だちを福岡に呼んで「俺らの友だちのやってる音楽もクソかっこいいでしょ!」っていうのが見せたかったっていうのと、それに対してちゃんと福岡のリスナーも呼応してくれた気がしてすごく嬉しかったですね。
東京大阪名古屋に負けてないじゃん!福岡もイケてる街じゃん!ってなりました。

YuU: 福岡のツアーファイナルは絶妙に遅めの時間帯での開催になったのですが、沢山の人達が最後まで残ってくれて嬉しかったです。
ツアー全体でもバンドとして初めて自分達の名前下げて東名阪福回ったこともあり、各地で自分達を楽しみに待ってくれていた人達の存在が大きな自信に繋がりました。

 


・Evilgloomは福岡を拠点に活動しているということで、皆様はかなり現在の福岡のバンドシーンにおいて重要なポジションにいると感じました。バンドの結成経緯や、バンド名の由来についてお伺いできますでしょうか?

YuU: 元々自分が10代まで熊本にいたのですが、その時知り合った別バンドで活動していた初代Voと以前に同じバンドメンバーだった$ANA€-monで新しいプロジェクトを始めようと2019年に集まりました。
その後共通の知り合いであったBa.Justyや初代Drが正式に加入し始動企画後に前Vo、Drが脱退します。
紆余曲折あり2020年に現メンバーVo.Demiとその後去年2022年9月にDr.tsyが加入し現在に至ります。

バンド名については負の感情から始めたバンドということが大きいのですが、あえて深い意味がなく検索しても他と被ることがない造語にしてます。
エビルかイビルかで意見分かれるのを良く見ますが好きに呼んでくれたら嬉しいです笑

 


・メンバーの皆様がこれまでに影響を受けてきた音楽やアーティストを教えてください。

Demi: 激しい音楽だとSlipknotとか FACT、Crystal Lakeが自分の根底にあるなって思います。
あとhip hopだと精神的な面というか常に批判的な目線を持つところとか噛みつこうとする怒りのスタンスみたいなのは確実にEminemに影響をモロに受けてるなって思いますね。

YuU: ヘヴィな音楽を漁り始めた頃聴いていたBring Me The HorizonやI See Starsなどの影響が年月経って今大きいと思います。
あとPendulumやThe Prodigyなど電子音楽系統は好きでよく聴いてました。

$ANA€-mon:  全体的にはlinkin parkやdayseeker、sylar、issues、slavesなど上げたらキリがないんですけど、歌色の強いバンドが今の自分の音楽観に一番影響を受けていると思います。あとフォークポップや80~90sポップなども親の影響でよく聞いてました。
パンクも大好きでその他ジャンル含めて色々聴きあさってます 笑

Justy: 幼い頃はMONKEY MAJIK や宇多田ヒカルとか聞いてましたね。
影響という面ではParting GiftやLoatheから強く受けてます。

tsy: ドラムのスタイルやセットなどに関してはBring Me The Horizon, Oceans Ate Alaska, Remnants Of The Fallen などの影響があると思います。あとはThe Black Dahlia MurderやDarkestHourなどのメロディックなバンドに影響を受けていると思います。
 


・今作はタイトル『Addictions』という事で、各楽曲のタイトルを拝見しても強いメッセージ性を感じたのですが、このアルバムのコンセプトやテーマ等があれば教えてください。

Demi: このアルバムは、バンドっていう売れるかどうかもわからない言うなれば、ギャンブルみたいなことに心血注いで中毒になってる人たちをテーマにしてます。
タイトル曲のAddictionsの歌詞の内容にも通ずるんですけど、自分自身がその人たちに影響を受けて今同じように音楽をやっているし、そういう人たちが1番かっこいいなって思ってタイトルに決めました。


 
・MVにもなっている『Malignant』について。様々な要素を盛り込んだリードトラックのような一曲ですが、後半にはクリーンも入れていますね。非常に面白い一曲でした。

Demi: この曲は、Knosisの Ryoさんが前バンドを脱退したタイミングで歌詞を書いてて、彼に向けた思いとかSNS上でのリスナーの気持ちとかを読んだ上での自分の考えとかを書いてますね。セルフライナーノーツにまとめているんで良かったら見てください。

$ANA€-mon: Evilgloom初のクリーンソングが入る曲を自分がGt.YuUからの提案で歌うこととなったのですがプレッシャーも大きく、製作中はVo.DemiやGt.YuUとメロディラインや歌詞のすり合わせなどの時間をとってもらって相談したり彼らに支えてもらったお陰で順調よく製作を終えることができました。

メロディに関しては最近ニューメタルリバイバル系でよくあるシューゲイザー的なものやhiphop的なメロディラインにあえて囚われない形でニューメタルシーンであまり見かけないエモ、スクリーモ等、またクラシック的な壮大さを感じるメロディラインを組み込んだことにより所謂"ニューメタルコアらしさ"にとらわれない新しい世界観をこれまでのEvilgloomからまた更に開拓できたんじゃないかと製作、リリースの反応を見て自分は感じています。


YuU: MVにするフルアルバムのリードトラックという大事な位置の楽曲いうこともあり、要所要所の構成もわかり易さを入れつつかなり練り直した記憶があります。

今までの制作過程では自分が85%で楽曲を持ってきてDemiがボーカル乗せて完成度100%になるケースが多かったのですが、この楽曲はそこから$ANA€-monのクリーンが入ってさらにかなりの底上げがされた印象で誰より早くメンバーで聴いてアガってました笑


 
・アルバムのミックス&マスタリングにPaleduskのTsubasa氏がクレジットされていましたが、彼との制作はいかがでしたか?

YuU: アルバムの制作作業は自分がRec.Editまでを担当し、Tsubasa君にデータを投げてミックス、マスタリング、のオンラインでのやり取りでほぼ完結しました。
1stからエンジニアを担当してもらっていたのですが、今作はもうバンド側の意図も大体分かっているためかなり円滑に進みました。

福岡の先輩であり第一線で活躍するプレイヤーとしても色んな助言もしてくれて感謝してます。
 


・楽曲に様々な音楽の要素が絶妙なバランスで組み込まれているのが、Evilgloomの唯一無二なサウンドと強みだと感じています。
楽曲制作について、メインコンポーザーはどなたでしょうか? リリックについてはラップ的なアプローチもありますが、一貫してヴォーカルのDemiさんが書かれているのでしょうか?

YuU: Evilgloomの楽曲は自分がコンポーザーを全曲担当しています。
今作は思い切ってベースミュージックをインスパイアしたところが多く、ギターリフやドラムフレーズについてもそこから来てる部分もあります。

楽曲については音楽的にもやりたい表現をできる限りEvilgloomの中でアウトプットしたいと思って比較的型にはまらない形で自由にやらせてもらってます。

Demi: リリックは全部自分が書いてます。
韻を踏むようにしてるのにも理由があって、
単純にリズムに乗せやすくなるっていうのと、
韻を踏むために選んだ単語のおかげで、デモ段階でぼんやり想像してたフローとはまた別のアプローチが見えてくるんで自分の頭になかったアイデアを生み出すためみたいなところがありますね。
 


・Evilgloomのサウンドに欠かせない、コレ!という機材はありますか?

YuU: 機材面ではワーミー(DIGITECH WHAMMY5)が欠かせないかなと思ってます。
ここ数年で国内でもこの手のジャンルのバンドでは結構使ってるバンドが増えたイメージですね。

Evilgloomは始動直後の1st Single(Sickness)からずっと取り入れてるのですが、制作時の記憶が正しければその当時は国内でちゃんとワーミーを使った楽曲を出してるバンドがいなかったので、もはやそれだけが強みかよ、というほどしつこく取り入れてたとこがありました笑

今はあくまでも飛び道具の一つとして用いてます。


 
・東京でのライブ出演や、逆に県外からのバンドを多数ツアーファイナルに呼んでいたりと非常にアグレッシヴな印象があります。
今後の皆様の活動のヴィジョンや、現在のシーンについての印象を聞かせてください。

Demi: でかいフェスのステージに立ってて、歌詞全部飛ばすみたいな内容の夢を時々見るんです。
そういうの見ると自分の深層心理でフェスのステージ立ちたいんだなみたいなのが感じられるんで、夏フェスとか出てみたいですね。

YuU: ここ数年の国内シーンは、自分達より後に出たバンドでもハイセンスな楽曲を出してるバンドは正直沢山いるしもう曲を良くするのは大前提なところはあると思います。
また、SNS上でも簡単に海外と活発にやり取り出来るようになった現在は市場が大きい海外に向けて認知を増してるバンドの数が増えた印象が強いですね。

今後の一つ目の目標としては国内の大型フェスに出ること、そしてこのメンバーで海外でツアーしてフェスにも出たいと思っています。 

$ANA€-mon: アートワークもこれから色々作品を作っていきたいですね。そして今後のライブクオリティの向上含めて歌のセンスや歌唱力などももっと鍛えていきたいと思っています。
あ、あと農業やってるのでゆくゆくはライブの物販とかで色んな果物を使った大振舞いしてみたいです 笑笑!!(メンバーと要相談します 笑)

メタル・ハードコア系の音楽シーンはフルスクリームのバンドがここ近年で結構増えてきてかつ、それぞれちゃんと色のあるバンドが増えてきてる一方で、歌モノで個性を出すメタルやハードコアジャンルのバンドが出てきてはいるものの現在まだ数少ない印象なので……そういう系統のバンドも増えてきたら今後このシーンももっと面白くなりそうなんじゃないかなと個人的に思ってます。


Justy: 今後のヴィジョンとしてはもっと色んなジャンルの人たちと仲良くなって一緒にライブしていきたいですね。
現在のシーンについてはCYANSEAやSUBLIMINALSのようなしっかりとしたコンセプトがあるバンドが評価されていくんじゃないかなと。

tsy: 新しいバンドがどんどん出てきてシーンの盛り上がりを感じるので、九州でもバンドやイベントが増えて盛り上がって行けばいいなと感じます。
 


・Evilgloomに関するレビューや情報を見ると音楽性も含めて「極悪」というワードをよく見るのですが(笑)、楽曲を聴いていると重低音ゴリ押し一辺倒ではなく物凄く繊細な構成にしているなぁと感じているので、そのギャップも魅力の一つなのではないかなと。
時折話題にもなっているライブパフォーマンスについて、意識している事などはありますか?

Demi: メンバー全員が別に不良だったわけでもないんですけど、だからこそなお一層ストリートカルチャーとか、ハードコアみたいなものへの憧れがあるんだと思うんです。男子なら誰でもクローズ読んでヤンキーに憧れるみたいなノリでやってるのかもしれないです。
あとはアドレナリン出まくってて、その場で言いたいこと言ってるんであんまり意識っていう意識はしてないですね。
 


・これまでに様々なライブに出演されたと思いますが、その中でも特に印象の強かった出来事は何ですか?

Demi: 今のメンバーで初めてやった広島のライブですね。
本当に今でも覚えてるぐらいダダ滑りして。その後の主催バンドのライブも心ここに在らずみたいな状態で見てたんですけど、このバンドと自分たちの差はなんなんだろうってずっと考えてましたね。
とりあえずライブすればいいやって考えてたところから、ショーにするにはどうすればいいかみたいなのに明確に切り替わったライブだったと思います。

YuU: 自分としてはやはり直近の福岡のツアーファイナルになりますね。
福岡でイベントを打つの自体も2020年のレコ発企画ぶりで、どうなるか不明瞭な中出てくれたバンド、お客さん達のおかげで良いツアーの締めくくりを出来て良かったです。
今後ホームの福岡でも自分達がどんどんイベントを打っていきたいと思いました。

$ANA€-mon: 初、東京でのライブのBloom in the crevasseとGraupelのjapanツアー/広島・神戸でのUNMASK aLIVEとの出会いですかね。

Justy: 自分達のツアーファイナルですね。
このジャンルであんなに人が集まるとは思っていなかったですし、県外遠征で出会った先輩や友達を地元に呼んで朝まで打ち上げして。
一生忘れられない日になったと思います。

tsy: Evilgloomで自分が初めてのライブとなった2021年12月のGraupelツアー広島神戸編です。個人的にライブに出演すること自体かなり久しぶりで、それがいつも聴いているバンドの全国ツアーで遠征という状況だったので緊張と感慨深い気持ちが強かったです。

 
・最後に、このインタビューの読者や、Evilgloomのファンの皆様へメッセージをお願いします!
 
Demi: いつもサポートありがとうございます!
いつも曲とかライブの感想をSNSで見させてもらってモチベ爆上げしてます!
ガンガンライブしに行くんでガンガン遊び来てください!!

YuU: インタビュー最後まで読んで頂きありがとうございました。
また各地ライブに足を運んだりリリースをいつもチェックしてくれてる皆さんありがとうございます!
今年はもちろんフルアルバムだけで終わる気はないので各種SNS等チェックして続報楽しみにしてください!


福岡のバンドシーンにとんでもないバンドが現れた!!
……私の最初の彼らに対する印象はこの一言である。

各楽曲、どれを聴いても飽きる事のない展開と絶妙な構成。そして実際にツアーファイナルの会場に行ってみると、いかに彼らがファンや仲間を巻き込んで皆が楽しめる空間を作り出せるかを大切にしているのかが伝わってきた。
愛されるバンド、センスの塊のようなバンド、それが彼らEvilgloomである。

今回のインタビューの依頼にも快く応じてくれ、まさかメンバー全員でこんな大ボリュームのアンサーを返してくれた事にも驚いた。
彼らの新しい一面や興味深い話を聴く事ができ、ますます応援したい気持ちが深くなった。
彼らのこの先に描く様々なヴィジョンが、達成されていく日も決して遠くはないだろう。


彼らの楽曲及び活動については各リンク先にて。要チェック!!


こんな素敵な機会を作ってくれたEvilgloomの皆様に、この場を借りてあらためて心からの感謝を申し上げます。

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!