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横並び主義②

簡単にまとめると、以前以下のような話をさせて頂きました。

①教師は、世間が思っているよりも多岐にわたる仕事量である。
②責任ある仕事なので、身分の保障は充実している。
③教師の世界には、横並び主義の考え方が存在する。
④横並びの裁量は学校単位、あるいは学年単位でも大きく違ってくる。
⑤横並びの考えは、教師の皆さんにとってストレスですか?安心材料ですか?

以上のような感じです。では、ここで続きの話です。
まず言えるのは、間違いなく学年単位で揃える必要があるところはあります。
極端な例を挙げるなら、遠足に持ってくるお菓子の制限です。学級単位でバラバラなら、間違いなく暴動が起きます。笑

では、揃えないでも良い所はどこでしょうか?ここで大切になる考え方が「子どもの為になっているか否か」であると考えます。

理由はただ一つ。だって、子どもを伸ばす為に仕事してますもーん(><)
やり方はどうであれ、そのやり方が根拠を持ったものであれば、良いと思うのです。(もちろんそれを謳うからにはそれなりの説明責任が伴います)

例えば、僕が取り入れている授業形態の一つに「単元内自由進度」というものがあります。このやり方では、教師が黒板の前に立って、教師主導で進めるということはせず、個人の進度に任せて、それぞれのペースで授業を進めていく方法です。今、日本で主流となっている「一斉指導」という明治時代から続いている伝統を打ち破り、新たな教育スタイルを確立したいという思いから始めました。
もちろん、これを行うに当たって、自分なりに講演に参加したり書物を読んだりして、勉強したつもりではあります。
実際、算数の授業でこの方法を取り入れ2年ほどが経ちますが、ほとんどの児童が集中して取り組んでいます。そして、今までの一斉指導型授業では、半分意識が飛んでいる児童も、この手法に切り替えると、児童それぞれのつまずきポイントで個々に応じた指導ができるので、教師側からしたら大変ではありますが、子供の為の学習と考えると、かなり手応えはあります。また、グループ学習であったり、個人学習であったりと、どの方法で行うかも児童に一任していますが、サボる子は1人もいません。それどころか、「楽しい!!」と言って授業に取り組み、休み時間を使ってでも問題を解く子がいるくらいです。

ここでタイトルの「横並び主義」に戻りますが、学校ではこの授業スタイルも横並びになっていないといけない所もあります。きっちり管理している学校となると、授業進度も各学級でズレる子となく揃える所まであります。更に言わせて貰えば、黒板に書かれているめあてやまとめをどの色で囲むか揃えている学校まであります。僕から言わせてみれば、これこそ「何の為に揃えるの?」です!授業のやり方を教師が揃えることで、子どもが伸びるんですか?進度を揃えたところで、子どもは伸びるんですか?めあてやまとめの囲む色を揃えて、子どもの学力が上がるんですか?僕は上がらないと思います。

では、なぜそこまで横並びでいたいのか。理由は2つです。
①保護者や教育委員会などからの苦情を恐れている。
②教師同士で揃えて実践しているので、安心材料になっている。
の2つだと思います。
①についてですが、教師が絶対的に恐れているのが、保護者からの苦情です。保護者も我が子の為だし、子どもの話を信用する傾向にあるので、「我に正義あり」という状態で、学校に乗り込んできます。正直、学校の話なんて聞く耳を持ちません。これらを防ぐ対応策の一つが横並び主義です。ほんと、誰のために教育しているのか分からなくなってしまいます。。。
②についてですが、①と繋がります。何か突かれた時に、学年で揃えて実践しているから、大丈夫だよね?という謎の一体感です。責任の痛み分けとも言いますか。なので、独自の実践を行えず、年輩の教師の古い価値観がいつまでも消えず、現代まで残っていたのでしょう。確かに古き良きものはあります。

しかし、現代では「当たり前を見直そう」という動きになっているのにも関わらず、廊下は右側を2列に並んで歩きなさい。授業でみんなの前で発表できない子を意欲がないから、主体的ではないと見なす教師は残念ながら存在します。

この横並び主義の考え方から脱出し、様々な実践を効率よく行い、互いの良いところを盗み合って良くして行かなかれば、日本はこれまで以上に教育後進国になってしまいます。一人でも多くの教員が横並び主義の考え方から脱出できることを祈っています。

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