肉を焼けない理由

バーベキューや焼肉をするとき、肉を率先して焼く人と、焼かなくても焼いた肉が目の前にやってくるタイプの人がいる(らしい)。

ちなみに私は、記憶の限り、家族以外とバーベキューをした経験はない。焼肉は、辛うじてあるけれど。
こんなこと言うと、好きでもないはずの“バーベキュー”という言葉が、ちくっと私の胸を刺してくる。

私は、肉を焼かない。
世間では、「気が利かない」「先輩を立てない」などと言われることは知っているし、自分でも、何で焼くというだけのこの行為が出来ないんだろう、と本当にいつも頭を悩ませる。

本当は説明できる理由が、ある。
絶対にここでしか言わないけれど。言えないし。


そもそも私の根底にあるのは、「面倒だ」とか「何で人の肉を私が焼かなければならないのか」なんてことでは全くない。「人様の、焼き加減も分からないものに手を出すなんて、できない。相手が嫌だった場合にその人は断ることが出来るのだろうか。本当は断りたいけれど無理して私にありがとうと言うのでは無いだろうか。」ってことを頭でぐるぐるぐるぐる考えて、動けなくなる。愛想笑いをし、気が利かなくてごめんなさい、の笑顔を浮かべるのだ。

お酒をつぐのも苦手。面倒だから、ではない。飲みたいタイミングは人それぞれだし、そのタイミングをもし間違ってしまった場合、相手は楽しい時間を過ごせるのだろうか。楽しい時間を私が壊してしまうのではないだろうか。そしてつがれた後のグラスを見て一言。「あ、すみません気がつかなくって。」

面倒くさい。本当に自分が面倒くさい。
自分でも、肉くらい焼けよと思うし、酒くらいつげよ、と思う。

そして私は今日も、にこにこ笑顔を振りまいて、肉を焼かないし、お酒もつがない。「あ、すみません、気が利かなくて、、、」と、言うんだ。
いつまで続けるんだろうか、本当に嫌気がさす。




今日の文章は、ただたただ自分に嫌気がさす話でした。

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