パレード(吉田修一著)のこと

久々に本屋で平積みされているのを見つけまして。

吉田修一さんは長崎県がご出身の作家さんで、長崎県人の母親を持つ身として勝手ながら親近感を持っている作家さんです。

映像化映画化された作品も多く、表題作もかなり前に映画化されています。最近だと「怒り」、ちょっと前だと「悪人」「横道世之介」とか。あ、「犯罪小説?」(映画タイトルは別のものだった)も最近映画化されていた気が。。

「悪人」の主人公とヒロインの運命に泣き、「横道世之介」の無垢さに泣き、何度も心に残る小説を書いてくださっている作家さんですが、出会いがこの「パレード」でした。(下記、少しネタバレ的なところありです)

4人の男女がルームシェアをしている様子が淡々と綴られているのですが、キャラクターがとてもいいのです。

他者といるときと、一人でいるときの性格にかなりギャップがある登場人物たちなんですが、両方とも確かにその人だと思える描写が素晴らしいです。

終盤に、いわゆる天の目で読んでいる読み手さえ気づかないある登場人物の一面が現れ、かなり衝撃を受けました。さらにすごいのは、その登場人物の読み手さえ気づかなかった一面を他のキャラクターが実は知っているという描写が出てくるところ。そこでさらに読み手はガツンと衝撃を受けるという、、。

初めて読んだのがもう15年以上前で、そのあと何度も読んでいるはずなのに、毎度ゾクゾクしてしまう、たまに思い出して読見返したくなる本です。

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