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2024観劇記録ウィーン(1)Am Ziel

 2月27日、ウィーン一本目はBurgtheater の小劇場AkademietheaterでAm Ziel。
 Nino Haratischwiliの演劇デビュー作『Phädra, in Flammen』を観たいがためにウィーン行きの計画を立てたのにもかかわらず、出演者病気のためトーマス・ベルンハルトの『Am Ziel』に変更。代替公演を観られるのは助かるが、とても残念だった。プログラムだけはPhädra…のものを購入できた。

https://www.burgtheater.at/veranstaltungen/am-ziel/2024-03-01

作 トーマス・ベルンハルト
演出 Matthias Rippert
舞台美術 Fabian Liszt
衣装 Johanna Lankner
照明 Norbert Gottwald
音楽 Robert Pauliczek
ドラマトゥルギー Jeroen Verstelle
出演 DÖRTE LYSSEWSKI, LAURA BALZER, RAINER GALKE

 演目変更もあり客席は半分程度か。一階席や前列への移動を促され、少し前の方で観ることができた。思いのほか古(臭)く、「講堂」の窮屈なイメージが喚起される劇場内部だった。
 風刺と皮肉の効いた長台詞で愚かな人間たちをこき下ろす。社会や演劇を観にくる観客に対する姿勢が、ペーター・ハントケの初期作品と似ているように感じた。挑戦的だ。思わず笑ってしまう場面もあり最初はそれなりに面白く観ていたのだが、にしてもあまりにも長い。2時間15分集中力を続かせるほどの吸引力がなく、後半の1時間ほどはいつ終わるのかと耐える他なかった。最後は酒を飲み続けていた〈母親〉の実際の嘔吐で終わった。ト書き通りなのか?これを毎回やらねばならない俳優には頭が下がる。
 「退屈さ」には一方的な長台詞を書いた作家の狙いはあるだろう。観客をもっと不愉快にさせ、自嘲させなければならなかったのだと想像する。

ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!