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【観じて想う#073】満月の歌

先日は中秋の名月が満月だった。

当日は朝7時頃に満ちたそうで、日本では朝日が勢いよく昇り始めるタイミングだった訳だが、その晩のお月さまは、ほんのちょっと欠けていたのかもしれないが、やはりうっとりさせる魔力があった。

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思えば

皆さんご存知の、藤原道長が自身の権力と栄華がが絶対であることを詠んだものとされる。
が、これを習った当時(中学時代?)、私は満ちても、徐々にしかも早々に欠けていく月に得意満面で自身を準えることの危うさを感じていた。まぁ、分かった上で、わざわざ詠んでいるのだろうとも思ったが。

今、この歌を思うとき、満月の月光を全身に浴び、月に魅入られてしまうと『この世は我が世』という気分にもなる。
これは、幻想というよりも、ある種の真実と思う。人は共同体の中で他者とともに生きていると思いがちだが、究極的には『この世』は己の世界でしかないー

美しいお月さまに無粋なことを書くのもどうかと思うので、『この世』のお話はまた…

・道長の和歌にはこんな解釈もあるそうで、ご参考までに。
https://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory/20210628-OYT8T50054/

<今日の美>

地上には可憐なお花😊

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