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静けきこの夜、チーズケーキ
私の中でおそらく最古の悔し泣きした記憶がよみがえったので書き残しておく。
幼稚園児のころの話だ。
クリスマスの時期だと思う。幼稚園で「きよしこの夜」を習った。
一般的には歌い出しは「きよしこの夜」だが、私の記憶が確かなら「静けき この夜」と習った。
今調べてみたら、カトリック系キリスト教では「静けき真夜中」という歌い出しだそうだ。通っていた幼稚園はカトリック系だったのでその可能性はある。
まぁこの夜でも真夜中でもどちらでもよい。
この話で重要なのは「静けき」である。
帰宅した私は、覚えたての歌を意気揚々と両親に披露した。ただどうやら幼児だったので舌が回っていなかったらしい。
両親には「静けき」が「チーズケーキー♪」と歌っているように聴こえたらしく、えらく笑われた。
「チーズケーキじゃなくて、しずけきだよ。し・ず・け・き。」
と訂正もされた。しかし私本人はきちんと「静けき」と認識した上で「ちずけき」としか発音できなかったから、直すことができずまた笑われた。
親からすれば可愛らしくて笑ったのだと思う。しかし、『ちゃんと分かってるのに~~~!』と思ったもののそれを説明できなかった私は、人生初の悔し泣きをすることになったのだった。
今ならわかるし、説明できるよ。幼稚園児の私。タイムマシンがあったらその場にふらりと行って、「この子はちゃんとわかってるんですよ」と両親に弁明して、小さい私の頭を撫でてやりたい。
今でも「きよしこの夜」とチーズケーキで、この時の記憶がほのかに呼び覚まされて、なんだか無力感を感じてしまう。
私がチーズケーキのことをあまり好きになれないのは、もしかしたらこの記憶のせいなのかもしれない。
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