あの子は変わらず直向きでやさしかった
ティーン誌のモデルだった頃の友達にあった。
私たちが初めて会ったのは20年前だろうか。
彼女は中学生で私は高校生だった。
お互いに雑誌モデルで、初めて顔を合わせた時に
私は唐突に「私たち気が合うと思うの」と声をかけ友達になった。
人と話すことが好きじゃなくなった私には、
すごく珍しいことだったように思う。
数多くいる専属モデルの中で
彼女は音楽が好きで漫画が好きでサブカルが好きで
理由はそれだけではあったが
どのジャンルも好みが
似寄っていたので、気が合うのではないかと思った。
帰り道も一緒だったので、撮影の帰りも割と一緒だった。
進学する大学も一緒だったが
私は途中で辞め、彼女はちゃんと卒業をした。
一時期、仕事から離れた彼女だが
縁があったのだろう。
また表現への道へ戻り、活躍している。
それは思い描いていた道ではないこともあったかもしれないが
一度離れた人間が戻るのはとても難しいこと、
そして何より続けることが大変なことを
私は知っている。
今ではカルチャーでもサブでもなくなったが
当時はサブカル好きは尖った個性のようなものを纏っていたように思う。
だが、雑誌モデルにそんな個性はいらなかったと
気付くには遅かった。
二人で愚痴ることもあったが、
お互い好きなものは好きと言い続けた気がする。
久しぶりに会い、ティーンモデルに戻ったかのような時間だった。
時に、先輩や後輩を羨ましく思うこともあるが
あなたは大丈夫。
ずっと直向きに仕事と、自分のやるべきことと向き合ってきたのが分かる。
誰にでもできることではない。
大丈夫。
ずっと応援しているよ。
辞めてしまった私と、対等に話してくれたのは
あなただけだった。
ありがとう。