尽き果てることなき何故に答え、応えよ。


 2022年年末から続く、宝塚歌劇団を巡る数々のゴタゴタ。
それがとうとう、何よりも尊い生命が失われる事態にまで発展してしまいました。
この場を借りてではございますが、亡くなられた団員の方に、謹んで哀悼の意を表します。

言葉を失ったご遺族のコメント

 11月10日、本来なら雪組大劇場公演初日を迎えるはずだった日、亡くなられた団員のご遺族の代理人の会見が行われました。
そこで語られたことは、これまでの週刊誌報道がほぼ事実であること、亡くなるまでの1ヶ月で信じがたいパワーハラスメント、膨大な作業、それに伴う時間外労働があったことなどが語られましたが、中でも一番衝撃だったのはご遺族の言葉でした。

『宝塚歌劇団に入団したこと、何よりも宙組に配属されたことがこの結果を招いたのです』

同じ劇団でどうしてこんなにも違うのか

 亡くなられた団員の方には、1年先に入団し、雪組に配属された双子の妹さんがいらっしゃいます。
また、同じように新人公演のリーダーも努められ、重要な役を演じました。
なので新人公演に限らず、ご遺族は雪組と宙組の両方の組の情報をおぼろげながらにも知る事が出来たと思います。

 ここからは私の想像なのですが、妹は新人公演のリーダーということで、大変な事も多く、皆をどうまとめたらいいかなどを上級生や同期だけでなく、ご家族にも相談していたのではないでしょうか?愚痴っぽいことだったかもしれませんが、家族や姉にになら言いやすいことを言っていたのではないかと。
そうすることで、気分がラクになり、また頑張ろうと思ったでは、と思うのです。
組の事を他人に話すのはご法度、とも言われますが、全く話さない事はないと思ってます。
私達もそうではありませんか?
家族や友達、同僚や先輩·後輩にグチることで
また少し前を向ける。
で、妹は無事に新人公演のリーダーを努め上げ、次のステージに進めました。

 でも、姉はどうにも様子が違う。
日毎に追い詰められ、笑顔が消え、疲れ果てている。
もうやめなさい、行かなくていい、といっても『上級生から何をされるかわからない』、と言って今日も稽古に向う。
心身ともに追い詰められている。

同じ劇団にいて、同じ役割を果たしているのになぜ組によってこんなにも違うのか。
男役、娘役の違いはあれど、どうしてここまで違うのか。
家族ならそう思っても不思議ではありません。
ご遺族の劇団に対する深く拭い難い不振の根はここにあるのでは、と思うのです。

明らかになった宙組の姿



もちろん、妹のいる雪組もこのようなことはあったと思います。
それでもここまで荒んではいなかった。
でも、姉のいる宙組は…。
報道で明らかになってきています。
上級生は傍若無人に振る舞う人が何人かいて、下級生も自分の身を守ることが精一杯で今日にでも辞めたい、というような様子が…。

尽き果てることなきなぜ



ご遺族からは尽きることのないなぜ、があると思います。

·なぜ、ここまで追い詰められなくてはならなかったのか
·なぜ、宙組上級生の一部はパワハラ行為を行うのか。
·なぜ、宙組と雪組や他の組は違うのか
そして…
·なぜ、姉は生命を絶たなければならなかったのか…

挙げれば果てることがないほどのなぜがあると思います。
それらは尽きる事なく湧いてくると思います。そして、なぜが湧いてくる度に姉の笑顔を奪っていったものに対する怒り…。
一ファンに過ぎない私でさえそうなのですから…。

劇団が取るべき対応



 報道されている通り、ご遺族は電通過労死事件の弁護人を務められた弁護士の方を代理人とし、裁判を前提に準備を粛々と進められています。
妹も雪組公演を休演し、遺族の一人として劇団に対峙するようです。

第三者委員会からの報告を受け取り、近日中に改善策を発表する、とHP上に告知されました。
 芸事が絡んできますので、一般の会社とは違う面も多々ありますが、悪しき慣習の撤廃、時代に合わない契約の早急な見直し、報酬の大幅アップ、パワハラの撲滅、マネジメント力向上、課題は山積ですが、団員が安心して芸事に打ち込める環境、団員の家族や入団希望者が安心できるシステムづくり、劇団が創設110年を迎えるに相応しい体制づくりを実現させて欲しい、いや実現して下さい。
 ご遺族に対しては、誠心誠意の対応を。
そして、遺族からの果てることなきなぜに答え、応えることで劇団の再構築に繋げていって下さい。
代理人が過労死案件のエキスパートであり、劇団はそれ相応の代償を迫られ、大量の血を流す再構築を求められることが予想されますが、無駄に争わずそのエネルギーを再構築に費やして下さい。

宙組の今後



 宙組公演再開を待ちわびている方々には大変申し訳ありませんが、公演の再開及び今後の公演は厳しいと考えています。
というよりも、宙組の存続が難しいと考えます。

 下級生の大半が退団を希望する、との報道があり、これが真実なら組として機能しなくなる可能性が高いです。
また宙組に今いる上級生とは、他組の団員も組替えしてまで舞台を作り上げたくないでしょう。また、そのご家族も反対されることでしょう。
さらに、ご遺族に裁判を起こされた場合、宙組の上級生は一部ではありますが被告人になる可能性もあります。
そのような状況で宙組を存続させても機能しないと考えます。
どうしても5組体制で行く、というのなら宙組の看板を下ろし、別の組名にするべきです。

宙組の皆さんへ伝えたいこと



まずは、どうしてこんなことになったのですか、と。

私は、9月29日の公演を観劇しています。
団員が亡くなったことを当然知らずに観劇したのですが、お芝居·ショーともに新生宙組を表すかのようなエネルギーに満ち溢れた素晴らしいものでした。
新生宙組の旅立ちに立ち会えたことに感謝しました。

 そんな素晴らしい舞台を作り上げることが出来る皆さんがいる組がどうしてこんなことに…、と怒りと戸惑いが今も堂々巡りをしています。

報道されていない上級生の皆さんには、なぜ彼女に手をさしのべなかったのですか、と。
名前が報道されている方と大差はないのかもしれません。
辛く苦しい思いをしてきた下級生の皆さんには酷かもしれませんが助けてあげて欲しかった…。
もっとも、下級生の皆さんは次のエスケープゴートが自分かも、という状況だったのでは、と想像します。
自分に後輩が出来たら、自分がされたことをしかえすのではなく、寄り添ってあげられる先輩になって下さい。
だからこそ、上級生には名前が出ている、いないに関わらず苦くて悲しい想いがこみ上げてきてならないのです。

宙組OGの皆さんに伝えたいこと



 今の宙組は、何年もの時間を経過して今の状況になってしまった、と考えます。
なので、OGの皆さんには自分はもうやめた人間だから関係ない、ではなく、在団している現宙組生にどうか寄り添って上げて下さい。
中には下級生に辛くあたってきた方もいらっしゃるかもしれませんが、どうか自分の在団時代の行動に向き合って下さい。

どうにも辛くて入団後、早い時期に退団された皆さんは、ご自身が心身の健康を取り戻したあと、同じ境遇の皆さんに寄り添ってあげられる人になって下さい。

そうすることでしか、負の連鎖は断ち切れないと思います。

他組の皆さんに伝えたいこと



今回のことは宙組の惨状が表沙汰になっただけで、他組でもここまでの酷いことはなかったにせよ、同様のことは長い歴史の中で全くなかった訳ではないと思います。
自分達の組には関係ないではなく、指導のあり方、後輩への声のかけ方など、今の時代にあったものにしていくなど、小さいことでも改善できることはたくさんあります。

また、不思議なのは他組の生徒さんはこの惨状を全く知らなかったのか、と。
もし知っていたら、なぜ声を掛けなかったんだろう、と。
また、なぜ声をあげないのでしょうか?
専科の皆さんも含め、声が聞こえてこないのです。
報道では、雪組トップスターの彩風咲奈さんが劇団に直談判した、ともありますが、それが本当だとしても、もっと声が上がってもいい状況です。
もっとも、コロナ禍以降自組ですら交流が難しいのに、他組との交流までは難しかったのかな、とも思いますが…。

宙組のせいで、ではなく、これからのために現宙組の下級生たちに生寄り添って、味方になって上げて下さい。

最後に。



 いちか、本当に辛いよね、苦しいよね。
状況と心が落ち着いたら、誰の意思でもなく、自分の意思でこれからを決断して下さい。
どんな決断をしても、私は貴女の背中を押したい、いや押させて欲しいです。



大変長く、とりとめのない文になりましたが、読んでいただきありがとうございました。

#宝塚歌劇団 #宙組 #雪組