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イニシェリン島の精霊

【イニシェリン島の精霊】

1日は映画の日。ゴールデングローブ賞が発表になりましたね。
作品賞、主演男優賞、脚本賞を獲り、アカデミー賞 主要9部門ノミネートの『イニシェリン島の精霊』を観てきました。

1923年アイルランドの孤島、イニシェリン島が舞台。島民全員が顔見知りの長閑で美しい景色が広がる小さな島で、いつものようにパードリックが初老のコルムとパブへ行こうと迎えに行くシーンから始まります。
ところが、コルムは家にいるのに一緒に出かけないのです。何で機嫌が悪いのかさっぱりわからないパードリック。エイプリルフールのおふざけかと思いきや「お前が嫌いになった」と、まるで子供のような喧嘩から始まります。

パードリックは妹のシボーンと二人暮らし。シボーンは適齢期を過ぎ、家事をしながら好きな本を読んで過ごす日々。一方でパードリックはわずかながらの牛の乳で収入を得て、ロバを可愛がって暮らしています。
島を離れて暮らしたいシボーンと、毎日が仕事とパブ通いで同じことの繰り返しでも不満一つ感じないパードリック。
その優しいだけの鈍感な男に、コルムは「お前は退屈だ」「ロバの糞の話を2時間もするような奴ともう時間を無駄に過ごしたくない」と言うのです。音楽家でバイオリンを弾くコルムは残された人生で作曲をし、芸術に身を捧げるつもりだと話すのでした。

海の向こうに見える本土では、内戦で爆撃されている音が聞こえています。同士だった者も争いをする。この二人を通して対岸の争いは他人事でないことを伝えているように思えました。また、コルムはパードリックに生き甲斐を持てと言いたかったのか。

いつまでも納得できないパードリック、島民も巻き込まれていきます。ついにコルムは「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をします。
本気にしないパードリックでしたが、ここから先は想像を超え、衝撃的な展開が待ち受けます。

私は何の知識もなく見たので、寒々しいけれど、美しい島に魅了されつつ、ストーリーはどんどんエスカレートして怖くなり、怖いけれど見たい、見応えのある映画でした。人間て限られた者同士のコミュニティが崩れるとこんな末路を辿ることがあるのかと、人間関係の複雑な場面を見せつけられた感じがしました。

アカデミー賞が楽しみです。
作品賞、主演男優賞、助演男優賞はここに来そうな予感です。もしかしたら助演女優賞も来るかな?

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