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悪夢のトランジット in Vietnam

さて、前回の話の通り、マレーシアという国に赴任した時の話の続きです。※写真は関係ありません


前回の話は下記リンクからどうぞ。
マレーシアという国の話

で、いきなり話は飛ぶが、赴任後、1年半くらい経過した。


不健康地に分類されるKuala Lumpur(以下、KL)においては、1年半の在任期間を経過すると、1か月の帰国休暇というのが付与されるのだ。


ただし、外務公務員法に書かれている通り、あくまで「休暇のための帰国を許可する」というものであり、帰国せずに1か月間、近隣の国を周遊するというわけにはいかない。


もちろん、勝手に休暇をとって自費で周遊するのであれば、仕事上の迷惑が掛からない範囲で不可能ではないが、帰国休暇は、費用負担までしてもらえるので、やっぱり使わない手はない。


実は、この時期、妻のおなかには赤ちゃんがいて、もうすぐ5か月の安定期に入ろうか、という頃だった。


KLの病院にも見てもらっていて、順調に成長していたようだった。


で、前述の休暇帰国制度を利用して、もれなく地元に帰省しようとしたわけだ。


もちろん、公務員の使うお金だから税金が原資であるため、航空券は安く安く抑えらえれることになる。


でね、管理部のスタッフと渡航ルートや料金を調整していると、希望の日程で行くには、ベトナム(ハノイ)乗り換えとしなければならない、という謎の回答が返ってきたんですよ。


直行便がいいに決まっているのに。


いくらごねてもしょうがないので、そのフライトを受け入れていざ渡航してみたわけなんだが、ベトナムでのトランジットは深夜便であったため、案の定、子供たちは上も下も寝てしまったんです。


この2歳と5歳の子供達を担いで移動するわけにもいかないから、予め、ストローラー(ベビーカー)を持ち込もうとしたんだけど、サイズ的に機内持ち込みはできないと、頑として聞かない。


航空業界のルールなのか、柔軟性が乏しいのか。とにかく、トランジットで子供を抱っこしないといけないという懸念を払しょくできない限り、親として当たり前の主張をしているつもりだったんです。


だけど、主張は受け入れられず、やむなく機内預けととなってしまった。


ならば、と、子供が寝ることは想定済みだったため、フライト前に、ベトナム航空のスタッフに、ハノイに着いたらすぐにストローラーを下してほしい、と頼んでいて、「OK~!You don’t have to worry about it」的な返事をもらっていたので、安心して乗り込んだというわけ。


そしてハノイについた。


どこかに感じていた不安。


うすうす感じていた予感。


忘れてはいけない、ここは東南アジアである。


日本的な「おもてなし」は期待できないことはわかっていた。


乗る前に交渉したスタッフと、ハノイにいるスタッフは別の人物である。


どうやら東南アジアには、引継ぎ、ということが存在しないらしい。


まさかの的中だ。


飛行機を降りても、ストローラーは出てこないばかりか、いくら交渉しても、出してくれない。荷物を途中で取り出すなどということはできないというのだ。約束したのに、なんで???


だから前もって機内に持ち込ませてくれ、と頼んだわけなのだし、ほらみてみろ、ほかにも欧米系のファミリーが同様の問題でごねているではないか。我々の価値観や主張がおかしいわけではないのは明らかだよ。


だがここは東南アジア。


いくら言った言わないの話をしても、どうしても通じない。単純にプロとしてのサービスの質の問題だろう。いや、価値観の問題かもしれない。


で、結局、子供を妻と手分けして一人ずつ担いで移動するしかなかったわけで、妻の腰には相当大きな負担がかかってしまったんだと思う。


当時、このことが、あのような大惨事に繋がるとは予想だにしていなかった。。。


ベトナム航空になんか二度と乗るか、そんな気持ちにさせてくれてありがとう。客ってこうやって離れていくんだろうな~。


なんでこんなことすらも対応できないのか、不思議でならないのだが、東南アジアでは、日本人の価値観は捨て去るべき、この言葉が強烈に頭をよぎる。


そんな困難を乗り越えて、なんとか日本についたのであった。


続く

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