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彼女との月曜日

今日は朝から友達と遊んだ。いつも彼女と遊ぶ時は、高確率で雨が降る。今日も雨だった。インスタで私が見つけた可愛いご飯屋さんでご飯を食べている時も、私の新しいバイト先が決まった時も、2人の行きつけの露天風呂に浸かっている時も、彼女は彼氏のダメ人間ぶりを延々と話した。ふと彼女は、一昨日くらいから胸が張る、妊娠したかもしれない、と呟いた。誰にも言えない悩みを言葉にすると急に今まで以上の不安を感じたのか、ドラッグストアに行きたいと言ったので、湿ったギシギシの髪の毛で露天風呂を出た。駐車場の向かいのアパートの3階のベランダで立て篭もりがあったらしい。屋根の上に消防隊や警察がいた。不安を消すように30分ほど野次馬に混ざった。彼女の車でドラッグストアに向かい、検査薬を購入し、そこのトイレで検査した。はっきりと陽性だった。彼女は泣いて、1人じゃなくてよかったと、震える手で私の手を握った。つい半年前に中絶経験がある彼女は、妊娠を知った時の彼氏の冷たい反応も悪阻の苦しさも赤ちゃんを失う辛さも全部受け止めたからこそ、信じがたかったのかもしれない。その場に居合わせた癖に私は何も言ってあげられなかったし、正解がわからなかった。彼女が後悔しなければ、幸せに生きられる選択をとればいいと思って何も言えなかった。とても他人事な考えだと思えたからだ。涙目で私を見つめる彼女はどう言葉をかけて欲しかったのだろう。いつか私が母親になる時が来たとしてもきっとわからないままだと思う。

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