悪い癖

母が協力するNPO法人のグループに混ざり、日曜日朝7時半からボウリングをする。
私と同い年の男の子が2人。
実家が今の街へ移動してもう丸2年になるが、越して1ヶ月で私は上京したので、彼らは当然知らない人だった。
金髪の片方が彼女を連れてきた。
髪の毛も、瞳も服装も全部が真っ黒な無愛想な彼女とは、一度視線が合っただけ。
もう片方の高身長黒髪は、帰り際手を振ってくれた。
どこかで見覚えのある顔で、インスタで何気なく調べた。
調べる私の悪い癖。
名前だけ知る女の子の彼氏だった。
その子が、私の好きな人に一目惚れし、家に泊まりに行っていた事や、その夜求めたのに断られた事。彼以外の歯ブラシが多くて、その子が嫉妬したらしい事。一度、振られた事。
でも今は新しい彼氏ができたらしいよ。
去年の夏、2人でラーメンを食べている時に、例の彼女から聞いた。
なので尚更驚いた。
私も一緒に寝たあのベッドに、他の子を入れたんだ。でもセックスをしなかったのはどうして？大切に思っているから？それならどうして振ったの？どうして私とはできるの？口では大切とか言いながら、どうして何度も振るの？
1人で考えすぎる私の悪い癖。
彼女の車のヘッドライトで跳ね、キラキラ光る港の魚達を見ながら泣いたのを覚えている。
なんの涙かわからないけど、ただひたすら彼女の横で泣いていた。
あの夏からもう半年が経つ。
彼を好きになって1年と少し。
妄想だけで終わるこの恋はもう進展はない。
2回目に会う時にはもう好きで、彼のものになりたくて、関係をもってしまった時から。
そこが私の1番悪い癖。クセ。
春が香る日曜日の夜、何故か泣けた。