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MdNデザイナーズファイルに掲載されたい!


「MdNデザイナーズファイル」という書籍がある。

ぼくにとってのバイブルだ。いわゆるデザイナー年鑑です。今、国内で活躍しているデザイナーと、そのデザインワークが掲載されている。ブランディング、広告、装丁など、いろんなグラフィックデザインを見ることができる。

大きな書店のデザイン書コーナーに行かない人は、知りようがない本です。しかし、グラフィックデザインの本気で勉強をしたことがある人は、ほぼ知っている本なのです。

この本をぼくが初めて認識したのは、たしか2005年だ。テクスチャの強い用紙と大胆なヌケ感が印象的だった。たしか、装丁が林規章さん。JAGDA新人賞で知った。2006年の装丁も徹底したアナログ感に驚いた。本のタイトルがマジックで書いたような手書きになっていて、自分では到底たどり着けないデザイン。当時、博報堂アートディレクター長嶋りかこさんだったと記憶している。年下のスターデザイナーが出始めていて、嫉妬と自分の不甲斐なさを感じていた。

この『MdNデザイナーズファイル』は、毎回装丁も楽しみだ。2022年は下の写真のようになっている。装丁は花原正基さん。さりげないペールカラー、さりげないエンボスで美しく、かっこいい。こちらも自分ではたどり着けないデザイン。誌面にもたどり着けないデザインでいっぱいで嫌になる。

調べてみたら、この『MdNデザイナーズファイル』は、2003年から発刊されているようだ。ぼくは任天堂に入社2年目。デザインがうまくなりたくて仕方ない時期だった。(今でもうまくなりたい)2003年頃のぼくは書店のデザイン書コーナーにかじりついていたので絶対見てたはずなのだが、まったく記憶にない。まだそのときは部数が少なかったのかなぁ。この本を2005年に初めて知ったとき、エッジの効いた装丁で脳をビンタされた感覚だった。非常に鮮明に覚えている。今は無き、ぼくのいきつけ書店の心斎橋のアセンスの4階で買った。

この本の何がすごいって、第一線で活躍しているデザイナーが俯瞰して見られるところ。なんて画期的な本だと思った。全ページにワクワクが止まらなかった。早くこんな仕事がしたい!


この本は、発注者がデザイナー探しのために購入したりするのだろうか?載ったことがないからわからないが、あるのかもしれない。

デザインを初学者にとってはデザインの楽しさと高いレベル。その両方で脳をぶん殴られる感じがして、デザインの多様性もあって自分が目指すべきコンパスにもなる。ぼくの場合は1番は刺激だった。大体、まずデザインをみて、次にプロフィールの年齢を見る。自分は負けているか?いつになったら追いつけるのだろうか。この本は、ぼくのデザインの情熱を保温してくれる本。


ぼくは2016年に任天堂を退社した。フリーランスを一年やって2017年の『MdNクリエイターズファイル』に載りたいと動いてみた。仕事を増やしたいというのもあるが、それよりぼくは載れるのか?を知りたかったのかもしれない。ぼくは勝手にページをデザインして、あとは「マ行に挟み込むだけでいいよ状態」入稿データにして、Webサイトにあったお問い合わせ先から突撃メールを送った。当たって砕けろ!


まぁ、返事が来ないだろうなと予想していたが、奇跡的に返事がきた。「検討させていただきます。」という丁寧な返信がだった。ぼくは淡い期待を抱いた。メールを返信してくたのは編集部の後藤さんという人だ。Twitterもフォローしてくれた。

しかし、連絡がこないまま『MdNデザイナーズファイル2017』に販売されていた。念の為ドキドキしながらページをめくったものの前田高志は載っていなかった。当然である。載れるまでがんばろうと思った。後から知ったのですが、「MdNの雑誌に掲載された人を中心にクリエイターを紹介しています」とMdNのWebサイトに書かれてあった。まずは、雑誌に掲載されねばならん。しかし、その後2019年に雑誌『MdN』は休刊を発表。でも『MdNデザイナーズファイル』は毎年出版してるから、まだチャンスはあるはずだ。


その後、ぼくは2021年『鬼フィードバック』という本の出版が決まった。しかも、出版社はMdN!?そのとき『MdNデザイナーズファイル』のことは忘れかけていたが、鬼フィーの編集担当が「後藤さん」だった。「ん? 後藤さん?え、まさか、当たって砕けろメールの返事をくれた?あの後藤さん!?」しかし、書籍の打ち合わせで顔合わせしたときにその話にはならなかった。

後日、MdN編集部に行って書籍の打ち合わせをした。編集長が挨拶してくれて、打ち合わせに参加してくれた。なんと、その人の名前も「後藤さん」だった。もうひとり後藤さんがいた!もらった名刺の名前を見て確信した。


この人だ!



このときばかりは、『MdNデザイナーズファイル』に載りたくてメールをしたと話をした。しかし、後藤さんは覚えていなかった。おそらくそういうメールはたくさんくるのだろう。しかし、載りたいことはアピールしておいた。

「願えば叶う」もはや使い古された言葉だし、誰しも知っている言葉だ。ぼくにとって、もうひとつ上位の言葉は「言えば叶う」だ。無意識レベルに願うまでは時間がかかる。人生とは自分の思い通りにしかならない。逆に言うと思いが強ければ、叶ってしまう。もちろん、予測不可能で不可避な事故をのぞく。それ以外は、だいたい思い通りになるはずだ。

ひとまず無意識化まで持っていくために「一旦言う」。これまでもそうしてきました。言うことで意識が変わり、行動が変わる。「こうなりたい」と言ってきたことは、いつか必ず伏線回収できる。とにかく、言うが勝ち。突撃せよ。



2005年にこの本と出会い


2017年に編集部に突撃メールを送った。そして、恥ずかし気も一切なく「MdNデザイナーズファイル2017に掲載されたい!」というブログを書いた。ぼくにデザイナーとして羞恥心などない。もうあとがないので、がむしゃらに生きてる。生きてきた。


そして


2022年


ついに


MdNデザイナーズファイル 2022』に掲載されました。なんで掲載に至ったのかは不明ですが、別の編集の方(デザイナーズファイルの方)からメールが届きました。『鬼フィードバック』や『勝てるデザイン』や前田デザイン室、NASUでのお仕事の総合点でしょうか。『街録ch』のデザインは、知っててくれていたみたいです。とにかく、うれしい!

感動。

昨日、MdNさんから掲載見本が届いた。「じーん」と込み上げてくるものがある。何枚も写真を撮ってしまった。


NASUのみんなのおかげで、仕事量もクオリティも上がったのはあきらかです。そして、デザインにおもいっきり打ち込ませてくれている家族に心より感謝。

ありがとう。


前田高志


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