NO.92 春の雪とシューベルト
昨日から降り始めた雪はもう雨に変わったのだろうか。
春分を過ぎて降る雪のことを「春の雪」と呼ぶそう。
そう言えば、三島由紀夫の『豊饒の海』の第一巻は「春の雪」というタイトルだった。
あの、夢とうつつの間を彷徨うような小説にいかにもふさわしいタイトルだ。
窓外に積もった雪の気配を感じて目覚め、久しぶりにシューベルトの音楽が聴きたいと思い、鶴澤奏の弾くシューベルトのアルバムから「3つのピアノ曲 D946」を聴き始めた。
隅々まで静けさに満たされた慎ましい響きがとても好ましい。
併録された「アダージョ 変ニ長調 D505」もまるで淡雪のように儚く静かな小曲。
春の雪にはシューベルトの音楽が良く似合う。
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