見出し画像

【『SURVIVE』 INI 西洸人】vol.2 リリックと映像と

前回↓の続き。


今回はタイトル通り、リリック(言い慣れないので以下は「歌詞」で統一)と映像について私なりの解釈で語ってみたいと思います。


/// [verse1]前半 ///
何を残そうか息が詰まる世の中
飛び交うくだらない言葉クソなこの性
たまに道迷うここは一体どこかな
正気取り戻すこのリリックを書きながら
こんな世なら別にいらない万人受け
ただ切に願う自分らしくいたいだけ
跨ぐ地平線どこにいても
永遠忘れねーぜJであること

/// [verse1]後半 ///
魂見てるこの眼
見せかけの仮面はやがて砕ける
だからFace to face
教えてくれないか What your name?
着飾った大人の言葉よりもこれは諸刃
生きた心地がするどこか
今じゃあたりさわりないこの空虚な時代
あの時の光は今どこに影の中の灯火
青だけが濃くなってく日々
美しくなりてえんだあのドブネズミみたいに

/// [hook] ///
Everyday 書き留めて取るマイク
Dedicate, I'm in zone you can't stop my life
Again and again 毎度飛び込えるline
What you say? Tell me what you say, what you say?
伸びる影に問う俺は誰
掲げる自分だけの旗でこの海を越える
Never ending
I'm telling y'all
Just listen up
ここに今吐き出す偽りない言葉
Forever

/// [verse2]前半 ///
目まぐるしい程変わる景色
I don't get it
嘘ついて召喚する化身
迫るlimit
こぼれ落ちる雫拾い集めchill
この白紙をfillして今spitする韻
まるで着ぐるみを着た英雄気取り
360俺を取り巻く布の中何がそこに残る
擦れた肌が物語る胸の内
古傷となり刻み付き纏うそのうち

/// [verse2]後半 ///
そして避ける火の気固く閉める元栓
恐れ静寂の中生きる雇われ
クオンタイズされた喉お前の本音はどこ
俺は鳴らすこの音また夜が明ける頃
2つとないこの体2つある手のひら
紙とペン持ち道のりを選択
欠落したこの世界風吹かす
飛ばす埃伸ばす1人このノート
誰がなんと言おうと

自分の内に秘めた思いを歌詞にしたためる理由そのものを歌詞にしているようだ。

昔は人の目など気にせずにやりたいことをがむしゃらにやってこれたのに、今となっては様々な枠に合わせて自分を演じることが必要になって、どこか窮屈な思いをしていると。

そんな見せかけの自分=影に向かって「俺は誰なんだ」と何度も問うている感じだろうか。

寂寥感漂う風景にひとり歩く。高架下の無機質な場所で吼える。
交わす言葉の空虚感と、そんな自分に対する嫌悪感を表しているんだろうか。
バッグの中身は、出し切れていない自分の理想、すなわち「自分らしさを表現したいという意志」と、国境を越えても変わらない「日本人であるというアイデンティティ」だったりするのだろうか?

交わす言葉は当たり障りのないうわべの言葉(現実)で、歌詞は彼の本当の自分(理想)の表れ。
前者が影で後者が光と捉えると、映像のモノクロとカラーの使い分けがもしかしたらそれなのかもしれない。

ドブネズミみたいに美しくなりたいと歌った同名のヒロトとのリンク。興味深い。


聴けば聴くほど言葉の使い方の巧みさや表現の巧さに気づいて、この歌詞は奥深いなぁと。

「SURVIVE」について本人がフロイニで語っていたので、そちらを聴いてなるほどなと思われた方もいらっしゃるかなと。というか、本人の言っていることがこの曲そのものだしね。
ネット社会の生み出す弊害…確かに。
あと撮影秘話も知ることができておもしろかった。

From INI #144  2時台


最後に、この曲を聴いて頭に思い浮かべた曲を貼り付けておきます。

浜田省吾『J.BOY』

1986年リリース。
「J」と言えばやはりこの曲。
日本の現状に皮肉を言いながらも、日本人だというアイデンティティは捨てず突き進めと鼓舞してくる。

THE BLUE HEARTS『リンダリンダ』

1987年リリース。
洸人くんはこの曲にかなりインスパイアされている模様。

最後にもう一曲。
TUBE 『Keepin The Face』

1988年リリース。
何となく歌詞に共通点が見られそうな一曲。
シングルカットはされていないけど、TUBEの中でもかなり好きな類の曲で、今でもふと思い出して聴いてしまう。


偶然にもほぼ同じ年代の曲が揃いました。
今の日本の現状とどこかリンクするものでもあるのでしょうかね。
現状に反旗を翻しながらも自分なりのやり方でもがいてみる…それが『SURVIVE』なのかもしれません。
時代が変われど、日本人の精神に変わりない何かが存在するのでしょう。

…政治はかなり陳腐なものになりましたがね…
ほんとそれだけは今後変わってほしい。
というか、自分達の手で変えねばなりませんね。
Jであるという誇りを胸にしっかり持って。


西洸人の『SURVIVE』。
とても感慨深い素晴らしい作品でした。
これからもどんどん自己表現してアーティストとしてステップアップしていって欲しいですね。


若いからこそ出来る今を大事に
若い時の努力はきっと歳を重ねた後の自分が気付く素晴らしい宝物になるよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?