雪組『ベルサイユのばら ーフェルゼン編ー』(2024/7)


座席 : 2階12列上手側

初のベルばら。ここ最近でぶっちぎってチケットが取りにくかったですね……個人的にはRRRより取りにくかった。
やっと先着で手に入れたのが久々の2階席。
舞台全体と奥行きがしっかり見れるのでとても良かったです。あとオケピと指揮が見れるの嬉しい。端の方の演者さんの楽譜の上になんかディスプレイみたいな物が見えたのですが、おそらく指揮者の映像を映してますね……。すごい。確かにあの角度なら指揮見えないわ。

音と声がすこーんと響くので、オケも歌も台詞も聞こえやすい。この良席3500円はバグ。もう少し上げてもらってそのお金で諸々の改革をしてほしい。

母が原作のファンなので、実家にいた時に漫画を読んだ記憶はあるけど、ふんわりレベルだったので軽く予習をしていきました。話の入り方がスムーズだったので、やっぱり予習はしておいた方が楽しめますね。

あと、分かっていましたがテラス閉鎖はしんどいですね……。
割と近所に住んでいるので開演前はギリギリを攻めればいい話ですが、幕間の椅子不足が深刻すぎる。どうしたものか。


フェルゼン(彩風咲奈様)

スタイルぇ……。もう毎度毎度思っているけど、舞台に立つために生まれた方すぎる。神よありがとう。
個人的な人生観として「恋愛」の優先順位がすごく低いので、基本的に恋愛メインの物語には感情移入が難しい。けど、彩風さんのビジュアル・スタイル・雰囲気・演技全てで、何か納得させられた。すごい。

薔薇の中から出てくるシーンとかそれの際たるもので、夢白さんアントワネットのビジュアルと相まって、「愛」をしっかり受け止めることができたと思う。こんなに美しく麗しいならそりゃね……。
にしてもビジュアルがフィクションすぎる。オペラでじっっっくり見させていただいたけど、どこを切り取っても漫画かアニメの中で、それが現実になっている、夢みたいな光景だった。フェルゼンに顔を寄せるマリーアントワネットの瞳よ……。

衣装替えがめちゃくちゃ多くて嬉しい。全部全部全部お似合いだったけど、スウェーデンの正装姿(スチールの衣装)が1番好きだったな。マントの裏地のグリーンが爽やか。そのまま客降りしつつフランスに駆けて行く演出、すごかった。

2幕、「駆けろフェルゼン」みたいなシーン、とんでもない段差に足をかけて朗々と歌ってらして驚いた。そんな脚が長いことある?そんな体制で声が響くことある??

席の関係からか、頬骨のハイライトがよく見えて幸せ。目尻〜ハイライト〜鼻の大三角形で星座を作ろうと思う。

フェルゼンの硬い真っ直ぐさ、あたたかいけど冷たい感じがすごく絶妙で、彩風さんらしさを感じてとても良かった。ちょっと金属っぽい冷たさがあるなとはいつも思っていて、その魅力が最大限に出てる気がして最高でした。

マリーアントワネット(夢白あや様)

すごい。観るたびに凄さが増してる気がする。凄みと迫力がある。舞台を掌握する力がすごい。

原作の世界観に合わせてか、かなり大袈裟で高い声出しだったけど、その若干の不自然さがベルばらっぽくて個人的にはとても好きだった。
あとは有無を言わさぬビジュアル。横顔完璧すぎか?

印象的だったのは、ルイ16世に全て知られていたと分かった後、子供たちに駆け寄られたシーン。恋する女性から母親としての覚悟が芽生える感情のグラデーションを感じた。

あとは処刑のシーン。あれはすごい。たぶん忘れない。大階段のあんな使い方ってあるんだ……。ギロチンへとゆっくりゆっくり進んでいって、真っ赤な薔薇がぶわりと咲いたシーンがすごく衝撃的だった。タイトル回収でもあるし、ものすごい演出だったな……。

綺麗な人だな〜とは毎回思ってるけど、そこに気高さというか、むしろ「男前」と言ってしまっていいような圧を感じた。すごい。確実に進化されてる…!!

オスカル(朝美絢様)

オスカルを演じるために生まれてきたのでは???
宝塚をあまり知らない友人(ジャニオタ)のタイムラインにきたぐらいXでバズってたようだけど、朝美さんの良さをこれでもかと詰め込んでてすごかった。
近衛隊長のときのキリッとした表情(男役的魅力)、部屋に入ったとき・アンドレといるときの表情(女性的)の演じ分けも見事だったし、共通してずっと芯のある人間像が素敵だった。
金髪ロングのビジュアルもさることながら、なんかもう凄過ぎて感動を通り越してニュートラルな感情になってた。

1幕で死んで本当にびっくりした。2幕も出てきてくれて良かった(当たり前)。

シトワイヤン、ゆこう!!!の音圧がすごい。

バスティーユのシーン「お前はもう、いないのか…」が心にきた。掲げられる部分とかキリストの処刑のようだし、ロザリーに抱きかかえられたところはピエタだった。神よ……。白旗が上がったところで、それまでアレンジバージョンだったフランス国歌がフルで流れていて(たぶん)、すごく壮大な気持ちになった。下からのエネルギーというか、人が何かを成した結果への畏怖、みたいな。

アンドレ(縣千様)

持ち前の熱血漢・真っ直ぐ男・骨太感がとてもよく合ってたと思う。黒髪ゆるふわミディアムヘア、よくお似合いでした。
「千の誓いが〜」が聞けて大満足です。

橋のシーン、ちょっとトラウマになるレベルで撃たれる演技が上手い。あと血糊なんて宝塚で初めて見たかもしれない……。

ジャンヌ(音色唯様)

すごい。さすが押しも押されもせぬ実力者……!元々のお上品な顔立ちから想像できないほど、しっかり下衆(最大級の賛辞)でびっくりした。すごく嫌だけどすごく良いキャラクターだった。「こんなところでくっちゃべっているわけにはいきませんのよ?」の、ヴィランみのある言い方!一瞬で心掴まれた。ドレスが赤紫系×黒系なのも悪女ポイント高い。

芝居その他

・プロローグ、指揮が大きくふりかぶったので察したけれど、最初からクライマックスレベルで良かった。「ご覧なさい、ご覧なさい」の小公子・小公女たちと、「ベルサイユのばら」のキラキラ看板。一瞬で宝塚の世界観にもっていく見事な演出でした。このためだけでも見る価値あります。

・ルイ16世(奏乃はると様)、原作通りの印象を受けた。すごい。語尾の柔らかい話し方とか、自信がなくて他者に譲る感じとか、良い人感のような雰囲気がすごく良かった。弟(真那春人様)も素敵だった。
話の展開上、メルシー伯爵(汝鳥伶様)など、上級生&専科メンバーがしっかり舞台を支えている様子がよく分かった。というか、このあたりの脇をちゃんと固めてくれるってすごいことだよな……。物語に説得力が増す。

・いつもより舞台に人が少ないし、動きも少ない。喋る役もそんなに多くないからそこが少し残念。希良々さんが喋ってるシーン、見たかった…!ドレス姿の美しさを目に焼き付けました。

・その分、2幕の民衆のシーンはとても良かった。ガツガツ踊る皆さんの迫力がすごい。眞ノ宮さんロックオンでした。やっぱりこういう雰囲気が似合う。

・ロザリー(野々花ひまり様)、バスティーユでオスカルの髪を一房はらったり、マリーアントワネットにスープ作ったり、フェルゼン止めたり、後半にかけてすごく活躍してた。やっぱりお芝居が上手い。真っ直ぐな心根がよく伝わってきた。なぜ退団するんですか……。

・主要人物が同じ時間・空間を共有するシーンが少ないから、場面がけっこう切れるなという印象。宝塚は銀橋がある分、シーンの繋がりを割とシームレスにしやすいと思うけど、今回は別箱レベルでぶつぶつ切れていたのが少し気になった。物語の構成上たぶんしょうがないんだろうな。

・なんやかんや言いつつ、宝塚といえば!な「ベルばら」を観ることができて大満足でした。

フィナーレ

・大階段に薔薇が咲いた直後から始まる。待って待ってまだそんなフィナーレのテンションに持っていけない。あと10余韻ぐらい待ってほしい。

・と思っていたけど、真っ赤な羽で降りてきた彩風さんを観たら一気にフィナーレのテンションになりました。何かFIRE FEVERを思い出すな。
ここから、噂には聞いてたけど、ずーっっっと踊ってる。すごい。全然捌けない。

・赤衣装→白衣装(襟が花びらみたいで素敵)→白衣装2(キラキラ上着追加)のはず。2回目の衣装替えのとき、タオルを渡してくれた下級生さん?と笑い合ってたのが見えた。尊い。

・男役群舞、諏訪さん・眞ノ宮さん・華世さんが目立つ位置に来ていて、明確に次世代への布石を感じた。ブルーの衣装が素敵。

・かと思えば退団者ピックアップ場面、今回は希良々さん、野の花さん、聖海さんと、別箱で注目していた方たちが多くて悲しい。ありがとうございました……。

・ちゃんとトリデンテ揃うのが、たぶん芝居の序盤とフィナーレの一場面だけ。ここは朝美さんの「男役」感に目が離せない。夢白さんは言わずもがなで素晴らしいです。

・銀橋に1人、メインステージで組子さんからセラビーアデューの大合唱。本当にすごかった。彩風さんが組子さんを見つめるとき、「破顔」という言葉がしっくりくるほどの笑顔を向けられていたけど、組子さんからも同じぐらい温かい笑顔を向けられていて、たくさんの気持ちが伝わってくるようで……。

・光を全て集めて真ん中に立ってらっしゃった時、本当にこれで終わりなんだな〜という気持ちになった。初めてお披露目とさよならを見たトップさん。すっと射抜くような眼差しと、凛とした立ち姿がどこまでも麗しいお方でした。ありがとうございました。最後に見ることができて本当によかった。

・どこだか忘れたけど、下手側で白い薔薇の花弁がはらはら…と散っていくシーン、すごく良かったけどすっごく切なくなった。散らないで…永遠にして……。


おまけ

ロビーでふらふらしていたところ、めちゃくちゃ月組の風間柚乃さんに似た方がいらっしゃった。目力がすごくて目立ってたけど、あまりにも普通の格好で普通にお連れ様としゃべっていて、何だ人違いかと思っていたのですが……。
ご観劇被ってたようですね?!しかも彩海さんもいらっしゃったとか?まさか本当にご本人…?にしては小柄すぎるような?ご観劇するジェンヌさんってギリギリに来て座るもんなんじゃないの?でも目力すごかったしな……。分からない、私が見たのはドッペルゲンガーなのか……。神様これは、ブラフ一般勝てるよという吉兆だと思って良いですか……。
→(追記)勝てませんでしたし配信は平日なので見れません…大人しく次の大劇場公演を待ちます……

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