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Live U Soloは"安定配信"ではなく"継続配信"を求めるものだった 〜使って分かった利便性とリスク〜

ライブ配信においてネット回線は生命線。万全の準備をしたつもりが、最後は回線に泣いたイベントも少なくありません。

様々な対応策がありますが、「Live U Solo」はその一つとして有名な機材だと思います。モバイル回線など複数回線を束ねて、冗長配信ができる配信エンコーダーです。

しかし、実際に使ってみると、思っていたよりも「安定配信」の機材ではありませんでした。代わりに見えてきたのは「継続配信」の安心感です。

今回は半年間使って感じたことをご紹介します。


Live U Soloとは

「Live U Solo」は複数回線を併用して配信ができる機材です。ポイントは、フェイルオーバー(自動切替)ではなく、回線を同時併用する「ボンディング配信」なことですね。

Live U Soloに入力したHDMIは、有線LAN・Wi-Fi・モバイル回線を分散経由して、Live Uのクラウドサーバーに届きます。そこで結合された映像データがYouTubeなどに配信されるという仕組みです。

複数の回線を使うことで、いずれかの回線が落ちた時に備えることができます。また、それだけでなく一回線への負荷を和らげる効果もポイントです。

詳細を知りたい方は、以前にレビュー動画を公開しました。ぜひご覧ください^^

"安定配信"だと思っていた

購入する前、Live U Soloは「安定配信」を提供する機材だと思っていました。複数の回線を使うので、それは高画質配信も余裕だろうと。しかし、使ってみると、どうもそういう訳ではありません。

まず普通に不安定になります。7,000〜8,000kbpsで配信していたのが、1,000〜2,000kbpsになることもあります。やはりモバイル回線は環境による振れ幅が大きく、急に乱れることもある印象です。調子が良い時はいいのですが、悪い時は悪い感覚です。

私はdocomoとsoftbankのSIMを利用していますが、やはり会場によっては両方電波が弱い時もあります。また、同時に電波が乱れることもあります。モバイル回線は思っていた以上に変動が激しいことを体感しています。

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"継続配信"のありがたさ

ではLive U Soloは微妙なのかと言えば、やはり使っていて安心感は大きいです。どういうことかと言うと、配信が「落ちづらい安心感」があります。ボンディング配信で最低限の帯域が確保でき、救われたケースは度々ありました。

あるイベントでは、配信ビットレートが1,000kbpsまで下がり対応に追われる一幕がありました。確認すると、会場LANに帯域制限がかかったようで、64kbps固定になっていました。また同時にモバイル回線も乱れ、速度が低下していた状況でした。

ただよく考えれば、それでも1,000kbpsは確保して配信を継続していたのはすごいと思います。これが会場LANだけなら配信は止まっていました。また、モバイル回線一つでも足りなかったと思います。配信が止まるのではなく、継続できることは非常に重要なことだと思います。

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ちょっと安定した時の画像。会場LANは59kbspしかない。

万が一への備えは必須

とは言え、配信ビットレートが下がれば映像は乱れます。場合によっては、アーカイブとして望ましくない映像になることもあるでしょう。

イベント運営側とは、その前提で握っておくことが重要だと思います。アーカイブの優先度が高ければ、録画データの編集を念頭に置いた方が良いです。また、失敗できない配信であれば、臨時回線をNTTと契約することも検討に入ってきます。

Live U Soloはあくまでリスクを緩和するための機材だと思います。5Gの時代になっても、モバイル回線は確実性の高いものではない印象です。とは言え、手軽に安心感が手に入る利便性は素晴らしいものです。程よい距離感で、お付き合いいただくと良いかと思います。

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