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仮想オーディオミキサー「Voice Meeter Banana」の紹介 後編 〜活用例紹介と仮想ミキサーの怖さ〜

今回のテーマはWindowsの有名な仮想オーディオミキサー「VoiceMeeter Banana」です。

Windowsの配信者ならお世話になった方も多いのではないでしょうか。パソコン上で、音声のミキシング・ルーティングできるツールです。

先日、初心者の配信サポートにて紹介をする機会がありました。後編ではその経験を元に、Voice Meeter Bananaの活用イメージを紹介したいと思います^^


まずは前編をご覧ください

この記事は前編の続きです。まだの方は、昨日公開した前編もぜひご覧ください。

前編では基本的な情報や使い方を紹介しております!

具体的な活用例:ハイブリット株主総会ウェビナー

実際に初心者に紹介をした例として、ZoomとOBSの音声ルーティングがあります。

それは株主総会のハイブリットZoomウェビナーの配信です。役員は全員会場に集まり、リアル会場からZoomとYouTubeへ配信を行います。

ただし、Zoomのヴェビナーから参加した視聴者(株主)は発言することもあります。もちろん、YouTubeにはその視聴者の声も配信される必要があります。

幸い会場観客はいませんでしたが、音声が行き交う中々に複雑な配信要件です。

機材構成

この時、機材の構成はこのような形になりました。まさにVoice Meeter Bananaが音声ルーティングの核となった構成です。

OBSからは、主に会場の音声をZoomへ入力する必要があります。逆にZoomからは、参加者の声をOBSと会場スピーカーへ届ける必要があります。

それでいて音がループしないように、Voice Meeter Bananaを使いルーティングをしている、という状況です。

上の図ではVoive Meeter Bananaへ2種類の音声が入っています。ですが、2つの音声は混ざることなく、別々の場所へとルーティングされています。

またZoom視聴者の声(青線)は分岐もしていますね。このように音を複数の方向へ送れるのも非常に大きな役割です。

※OBSでも音声をルーティングしてループしないようにも設定しています。また、Zoomの映像は使わないため、音声遅延も気にならない状況でした。

仮想ミキサーを使わなかったら?

では、Voice Meeter Bananaを使わなかった場合、どのような構成になるのでしょうか。

同じような構成自体は、他にも機材を用意すれば、ハードウェアでも作ることが可能です。その場合は、PCと音声ミキサーを追加することになります。

様々な機材が並ぶ配信現場では、機材が減ることは大きなメリットです。ケーブルや電源も考えれば、その削減効果はイメージがつくのではと思います。

こうして比較すると、やはり機材の用意がいらない仮想ミキサーは非常に魅力的です。

仮想ミキサーの怖さ

ただ、初心者へ仮想ミキサーを紹介することは、これまでできるだけ避けてきました。今回は先方の事情を考えて、やむ無く利用した経緯があります。

なぜなら、仮想ミキサーは便利な一方、ブラックボックスになるリスクがあります。特に初心者にとっては、トラブル時の原因究明を難しくしてしまいます。

シンプルに言えば、ハードウェアなら繋がるケーブルを見れば、機材の接続関係が分かりますよね。ですが、仮想ミキサーだと一つ一つソフトの設定を読み解いていかなければいけません。

さらに、仮想ミキサーが繋がる先のソフトの機能・設定も関わってきます。これが全体の構成を複雑にしていて、気を抜くとブラックボックスになってしまうのです。

トラブルの例

実際にあったトラブルとして、forkwellさんの事例が頭に浮かびます。

彼らはコロナ初期に自分達でライブ配信イベントを企画。それが大失敗に終わったことをきっかけに、配信のご相談をいただくようになった関係です。

彼らは失敗した時に、その振り返りを公開していました。こちらがその記事です。

様々な要因が書かれていますが、特に音声の難しさは直接担当者からも聞いたお話でした。

こちらの例では、Macの仮想音声ミキサーが使われています。その結果、音声の設定ミスがあり、一つの失敗要因になったのでした。

こういった例からも、仮想音声ミキサーは特に注意して運用が必要だと考えています。

正しく恐れて、便利に使おう

とはいえ、仮想音声ミキサーは非常に便利なことは間違いありません。習得して損はないツールです。

これはハードウェアでも同じことではありますが、ぜひ念入りに使い方や癖を理解いただいて、活用いただくと良いのではと思いました。

そして頼りすぎも禁物です。OBSでもよく言われることですが、ソフトウェアは様々な要因で挙動が不安定になることもあります。そのため、役割を持たせすぎるとリスク向上に繋がっていきます。

正しく恐れて、程よい距離を保ちながら、便利に使っていくことが大事だと思います。知らなかった方は、ぜひVoice Meeter Bananaを試してみてください。

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