ネットワークを束ねて配信しよう!「Speedify」の基本をご紹介
今回のテーマはライブ配信のネットワーク。回線を冗長化するサービス「Speedify」をご紹介します。
Speedifyは複数の回線を束ねて使えるサービスです。例えば、パソコンに繋げた有線LAN・Wi-Fi・テザリングを併用して使う、なんてことが可能です。
色々と細かな設定もあるサービスなので、今回はまず初期設定のままをベースに基本のきを紹介したいと思います。Speedifyのイメージが伝われば幸いです。
ネットワークは配信の生命線
ライブ配信に絶対必要なもの、それは「インターネット回線」ですね。ただ、安定したネットワーク回線の確保は結構難しいものです。
会議室やイベント会場の回線は安定しないことも多いです。過去にはビル全体のネット利用が増えたことで、回線が混雑して配信が途絶した経験がありました。しかも回線情報ってビル担当者も知らないことも多い印象です😅
一番確実なのは、イベント用の専用回線をNTTと契約する方法があります。ただ、コストが5万円弱はかかりますし、事前準備も必要・対応できないビルもあり、誰でも活用できるわけではありません。
そんな時に手軽に回線を冗長化できるのが、今回ご紹介する「Speedify」です。
Speedifyの概要
Speedifyを一言で説明すると、端末と繋がっている回線を束ねて使うツールです。このようなネットワーク利用を「ボンディング」と言います。
例えばOBSを立ち上げているPCが、Wi-Fi・有線LAN・テザリングと繋がっているとします。すると、この3つを併用して配信することができるのです。
もう少し詳しく書くと、一度Speedifyのサーバーを経由します。このサーバーが必要なデータを分割・統合して、うまくネットワークを分散しながら通信する役割を担っているようです。
Speedifyの価格
このようなボンディングのツールはいくつかありますが、Speedifyはその中でもかなり安価なツールだと思います。
まず無料で使い始めることができ、その場合は月2GBまでのボンディング通信が可能です。有償版は月額$14.99からで、年額払いなら月あたり$7.49になります。3年契約ならもっと安価です。
似たサービスとして「LiveU Solo」は年間ライセンスが$450です。これに比べるとSpeedifyはかなり安価に見えますね。また、月契約ならスポットで契約して解約できるのも魅力です。
実際に使っている様子
色々と説明する前に、まずは使ってみましょう。今回は私のMacを例に紹介しますが、もちろんWindowsでも大丈夫です。
パソコンには、有線LAN・Wi-Fi・テザリングを接続しています。この状態でインストールしたSpeedifyを立ち上げました。すると、既にSpeedifyが3つのネットワークを認識している状態です。
あとはスタートボタンを押すと分散利用が始まります。超簡単ですね。
画面にはどの程度データ量を使っているのかが、回線ごとの量も分かる形でグラフ表示されます。他にも遅延やロストしたデータ量なども表示が可能です。
OBSで配信してみた
では、実際にOBSでYouTube Liveを配信してみましょう。
OBS側で特別な設定は必要なく、Speedifyがボンディング接続をスタートしていればOKです。実際に配信している様子がコチラ。
↑の画像では有線LANとWi-Fiで分散配信している様子が伺えます。テザリングも接続していますが、回線状況が悪かったので優先度が下げられています。
実は私の部屋は電波が非常に届きづらく、この検証ではテザリングはあまり使い物にならない環境でした。Speedifyはそういった回線状況を分析して、自動的に優先度を付けているようです。
LiveU Soloと比べて
このようなボンディング配信ができるツールとして、有名なものに「LiveU Solo」があります。
LiveU Soloも複数の回線を束ねてボンディング配信ができる機材です。私自身も購入して使ってきた機材で、過去には何度かレビューも書いてきました。
そんな利用者の立場からすると、SpeedifyはLiveU Soloよりも対応範囲が広く、今の時代に合っているツールだと思います。
具体的には、LiveU SoloはZoomなどのWeb会議に使うことができません。あくまで使えるのはYouTubeやfacebookなど、配信サービスの「RTMP配信」だけなのです。
しかも、前述の通りLiveU Soloは年間$450と比較して高価です。Web会議も配信と呼ばれて久しい昨今では、案件によって使えないLiveUはコスパの悪さを感じていたのでした。
Speedifyは配信に限らず、ネットワーク全般を冗長化するツールです。何なら普段のインターネット利用でも使える汎用性を考えると、そのコストパフォーマンスの高さは非常に魅力的ですね。
インストールした端末が基本
いかがでしょうか、配信をしている方ならば非常に魅力的なサービスではないかと思います。そんな風に感じていただけたのなら幸いです。
ただ、一点だけ注意が必要なポイントがあります。それは、Speedifyはあくまで"インストールした端末"をボンディング回線にするツールだということです。
つまり、これはOBSのようなソフトウェア配信には使えるのですが、ATEM miniなどのハードウェアには使えません。なぜなら、ATEM miniにSpeedifyはインストールできないからです。これが基本的な活用となります。
しかし試したところ、パソコンの「ネットワーク共有」機能を使うことで、この問題は解決することができそうです。これは追って記事にしたいと思いますので、どうぞご期待ください。
また、その他にも細かな検証も行っていきます。Speedifyネタが続くかと思いますが、ぜひ気になる方はいいねやコメントなどお待ちしております!