たかや日記㊿ 「オモコロ合宿」
【6月15日(土)】
オモコロ合宿に参加。
自分が参加するのは、これで5回目。
5回目ともなれば慣れた態度で臨めるかと思いきや、そんなことは一切なく、当日の朝までかなり緊張していた。
その理由がコレ。僕はお酒を飲むと泣き出してしまうという、可愛い小動物のような性質を持っている。
なぜそうなるかは自分でもよく分かってない。まぁ、常日頃から実直に生きている僕だ。たまにの飲酒で抱えている鬱憤が爆発してしまうのも致し方ないことだろう。そう。致し方ない。
とはいえ、巻き込まれる人たちはたまったもんじゃない。
あと、初めて合宿に参加する新人さんにドン引かれてしまう。それだけはなんとしても回避したい。先輩としての威厳を保ちたい。
「この先輩、記事ではあんなに尖ってるけど……。実際に話してみたら人当たり良いし…。常識人だし…やべぇ…」
のポジションに憧れるのだ。
そんな記事書けたことねーけど。
だから、手に刻んだ。
集合場所のレンタカーショップに到着する前に、近くの100均で油性ペンを買って書いた。
これなら、うっかり涙がこぼれそうになったときも、己の手を見ることで平静を保つことができる。フフフ……。
…………。
いや、やっぱキツイか。こういう仕込み芸って、なによりもオモコロの人たちに見透かされる。
「はいはい。今年はそういう感じで来るのね~」
「いじられキャラがいじられの導線を自分で作るの、違うよね~」
言われる。ぜったいに言われる。ユーモアの公安に小手先のテクニックはまず通じない。公安って実質ヤクザだから。
だから、やっぱり消した。
両手をゴシゴシとこすって手の平の文字を消した。
ヤクザ(オモコロ編集部)に目をつけられるのは怖い。
……俺はなにをやってるんだろう。まだ集合場所にすら着けてないのに。
くそっ、本当に泣きそうだ。
で、レンタカーショップに集合して、班ごとに車に分かれて、出発。
僕が乗車した班は温和な人たちばかりが集まった。和やかな会話が飛び交う。
僕は中堅ライターの特権を活かして、同乗している後輩の方々に「この合宿の振り返りレポに、たかやの名前も出してくださいよ~」と絡んでいた。
みんな口に出さないだけで、ほんとは、誰しも他ライターの振り返りポスト・noteに己の名前を挙げられたいのだ。わかる。俺にはわかる。
でも、ほとんどのライターはプライドが邪魔して口が裂けてもそんなこと言わない。情弱共が。ハッキリ言ってバカ。
俺は違う。『喧嘩稼業』を愛読している僕は、場外での根回しがいかに大切なのかを知っている。こういうときに動かないでどうする。
オモコロ合宿はなァ!!! とっくに始まってんだよォ!!!
合宿初参加のシュゴウさん、インターネット性善説ドラゴンさんも楽しめているようで嬉しい。
シュゴウさんは初の合宿で浮かれてしまったのか、スイーツで両手がふさがってあうあうしてた。
…まさかコイツも、可愛い小動物ポジションを?
くそ…。
かわいいな…!
そんなこんなで旅館に到着。
都会の喧騒を離れた山間部。空気が美味しいなぁ。
景色を眺めていたら、恐山さんが「今年は泣かないといいですけどね~」とニヤニヤしながら近づいてきた。この山、ハゲワシがいる。俺という死肉をついばむ猛禽類だ。
まぁ、アルコールを飲めない恐山さんは、こういう場ではどうしても他ライターの痴態を観察する側に回ってしまう。それはそれで不憫だけども…。
僕とハゲワシのやり取りを察知したのか、「ちょっとちょっと、たかやさんが泣くわけないじゃないですか!」と神田匠がニヤニヤしながら近づいてきた。コイツは普通に酒を飲むし、他人の弱みもしっかり握る。山賊みたいな奴だ。
ストチャーさんは相変わらずせわしなく動きまくっていた。常に両手になにかしらの食材を持って、厨房とバーベキュー台を往復していた。
……ずるい。こんなの、振り返りレポで書かれること確定じゃん。ずるい。詐欺師。肉焼き詐欺師。俺もそっちにいきたい。いまからでもこのポジション、僕だったことになりませんかね?
肉焼き詐欺師のポジションになりたくて、僕も最初は肉焼き係をしていた。
しかし途中で尿意を催してしまい、近くにいたのぎへっぺんさんに「ごめん、数分で戻ってくるから…!」とトングを任せて、トイレに行った。
トイレを出たあと別のライターさんとうっかり30分近く話し込んでしまい、慌てて戻ったらのぎへっぺんさんが汗だらだらで肉焼いてた。ほんとごめん。
最近は年齢の若い新人さんも多い。
こんなの書くのもダサいけど、僕はもう31歳なので、若い新人さんに対して内心ビクビクしながら接してる。
「(いまの距離感ミスったかな~)」とか「(これ大丈夫? 嫌われちゃうやつ?)」とか。
でも、新人さんの方からしっかり来てくれて嬉しかった。とくにドラゴンさん、三友さん、愛のサダさんとは、年齢の垣根を超えたコミュニケーションができた気がする。
「これ以上、俺の好感度下げたくないよ~」
「たかやさん、大丈夫ッス、もうとっくに無いっス」
みたいな。なんかさ、そういうの、なんか嬉しいよね。
でも、「たかやさんの画像だと、これが一番面白いっス!」と言いながら、俺と俺の親父がクールポコのコスプレをしている写真を見せてきた愛のサダ、テメーは殺す。
ここで記憶がぷっつりと途絶えている。
いや、ごめん嘘。覚えている。
ただ、この時間帯になにがあったかは、かとみさんがブロスにあげていた記事を見たほうが早い。
泣いてるね。
泣いてるわ。今年も。皆勤賞。
記事公開後の読者さんの反応に、「たかやさん、どうしたんだ…」といった感想がチラホラ見受けられた。
正直、写真を撮られてることに気づいてすらないので、これがなんの瞬間だったのか定かではないんだけども……。
たぶん、「好きな子が空港を飛び立つ直前」だったと思う。だとしたら「オレ、どうしたらいいんすか……っ」って言っちゃうし。
周りにいた永田さんも「バカ野郎!いまはオメーの本音の話してんだよ!」って喝を入れてくれてたと思う。
その隣にいた彩雲さん「たかやさん、タクシー呼んどきました。21時の便、間に合います」。うん。言ってた言ってた。もう、そういうことにしとこう。そういう場面で~す。
※あとで他の人に聞いたら、僕が「オレ、今後の人生どうしたらいいんすか!」と泣きながらみんなを集めて、みんなに僕の人生の改善案を出させ、そのひとつひとつに「うるせーよ!」と叫び返していた瞬間だったそうです。
【6月16日(日)】
2日目。早朝6時ぐらいに起床。目覚めも良い。泣いてスッキリしたからだ。
朝の全体挨拶を済ませ、班ごとに分かれてアクティビティへ。
僕の班はまず、めんたいパークへ。ここで昼食をとった。
ヒルナンデスでも紹介されたというめんたい丼を注文。この量で800円。
うわうわうわ…。
うますぎ。昨夜の醜態なんか忘れちゃうよ。
昼食を済ませたのち、三島スカイウォークに到着。
日本最長のバカデカ吊り橋だ。
あいにくの曇り模様だったけど…。橋上からの大パノラマには息を飲んだ。
あと、普通に橋がグワングワン揺れて超楽しかった。
高所が苦手だというざわさんは、ずっと震えていた(じゃあなんでこの班選んだんだよ)。
鎧坂さんは隙あらばネットミームの再現写真を撮影していて、コイツは旅行先でも鎧坂だった。
橋を渡りきったところで、「ジップライン」と呼ばれる、宙吊りでワイヤーを滑り下りるアクティビティに挑戦した。
で、これがマジで楽しかった。
これまでの合宿で自分が体験したアクティビティの中で、これが群抜きで良かったかも。
シューーーーーーーーーーーン
シューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
最高。
たった一本のロープに命を預ける緊張感。そして空を飛んでいるかのような浮遊感。
こんな体験が、たった2300円でできるなんて…。またやりたい…。
ここ最近は、家に籠ってばかりで気持ちもクサクサしていた。
でも、このジップラインをしていた瞬間は、頭の中がパーッと晴れ渡った気がする。
そういえば、この「たかや日記」も、今回で50週目となった。
昨年の7月に始めたこの日記も、ほぼ丸一年を迎えた。
ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
「未来の自分がどうなるかわからないから、残せる内に記録しておこう」「それでも、この一年で、なにか嬉しい報告とかできたら良いよなぁ…」
といった思惑で始めたこの日記。
悔しいけど…。この一年で、自分の生活に劇的な変化は起きなかった。
なにか相対的な嬉しい報告ができたら良かったんだけどさ……。
でも、人生ってそれだけじゃないはず。
この日記では、あえて、自分の周りの人の名前をたくさん出すようにしてきた(ほぼ勝手に。すまん)
人生の喜びは、“バズる”みたいな刹那的なことばかりではない……はず。
俺には、この仕事を通して、バズよりも大切な“仲間”がいる。
そこにはたしかに、“絆”が存在していた。
ウィーアー、チーム。
それを、この日記を通して、他の誰でもなく、自分に言い聞かせたかったのかもしれない…。
この合宿で、改めてそのことを認識できた。
ありがとう…ありがとう…。
ありがとう…。
みんな、ほんとに……
ヒィン…(泣)
【6月17日(月)】
さりとて日常は続く。
ポテポテと歩く散歩中のダックスフンドを見かけた。幸せ~。
【6月18日(火)】
頭の中のもう一人の自分が、「お前のここまでの人生を四文字熟語で表すなら『因果応報』と『中途半端』どっちがいい?」と語りかけてきた。
ううぅ……。せめて『他力本願』でお願いしますぅ…。
【6月19日(水)】
そういえば…。
約2か月前に、深夜の駅前で1,000円を貸した学生さんから、結局金は返って来なかった。
「絶対に返しますので!」と連絡が来たっきり、それ以降、連絡が途絶えている。
良い。それで良い。
こんな小汚いおっさんのことなんて忘れて、キミは青春を謳歌してくれ。
【6月20日(木)】
金玉。
【6月21日(金)】
人生。
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