１０月の連作、４つ

インスタグラムのアカウントに投稿した、１０月の４つの連作です。

迷う

今空を見るときれいな満月が見えると聞けばわたしは迷う
さえずっているのはどんな気持ちかな僕はだいたい黙ってしまう
漬けられた梅酒の梅は悟るしかないとどこかで思うのだろう
スポーツは美しいのか人間が獣のまねをして吠えるのは
へらへらと戦争がゆく本当は貧しいくせにいい服を着て

照らす

落ち着いていてもいいのに方角がわからないって気づくと気になる
まっすぐが僕のからだにないことをわかった上で直立不動
まだ僕が生きているなら幾重にも重ねられたりするのはやだな
真実を照らせるものは言葉だけただしたいして明るくはない
信じると言われる前に標識に化けてわたしは隠れていたい

まわり続ける

いつか死ぬだけどいつかはわからないだから予定にいれないでおく
なんどめの雨だと思う？一生で？ひとつの国で？ひとつの星で？
おしっこが止まらないなあ世界より先にわたしが終わるのかしら
風もなく子供の声も聞こえないまわり続ける星にいるのに
記録にはなにも残さずその人の整髪料や薬を捨てた

らしくないね

見て嗅いでなめてかじってまた嗅いでなんだからしくないねって言う
行きかたを知らない場所も載る地図をいつ捨てたのか覚えていない
気づかずに靴の裏へと貼りついた人の名前が書かれたシール
人間は急に駆けだすすぐに死ぬことを忘れて子供も大人も
上等な和菓子を前に置かれると利口な猿のようなわたしだ