月のコップ
今日は月の光が手の中によく映っている。
光があるべき場所へ還ってきているように思う。
夕べともなれば恋しき昼間の暖かさ、
過ぎ去った1日の記憶、
それらをマグカップの中のなかの
ココアが想い出させる。
満月は記憶の水面を抱え、
ゆらゆらと揺蕩っている。
月の石でできているこのマグカップは、
その光をさらに受け、きらきらしている。
明日はどんな温かい日にできるだろうか。
そう思って一口。
昼を知らないこの月が喜ぶような、
1日を生きた僕の話。
世界を知らない僕が喜ぶような、
世界を巡る月の話。
そうやって2人は今日も、
微笑みながら話をした。
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