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生のような花火

『舞踏会』

読んでみた感想として、

作中でかなりの頻度登場する菊の花が印象的だった。


菊の花言葉は「高貴」、「高尚」、「高潔」らしい。

自分の立ち位置を無意識ながらかもしれないが、
ほかの女性たちよりも上品だ、と感じ取れる描写があることからも(少し驕慢な性格なのかもしれない)、

この菊の花を彼女の視点から印象的に描いていたのかもしれない。



そして、大正7年の秋の場面、
ここで、明子が当時一夜をともに過ごしていた男性が、「お菊さん」などを著した、
ピエール・ロティであったことが明らかになる。


しかし、明子は彼のことをペンネームではなく、本名で理解していた。


著名な人物と過ごした時間ではなく、
一人の男性としての彼と美しい一夜の思い出ができていたことが、
これによってより印象的に描かれていたと思う。

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