ふと、マヌエルバルエコ。
車を運転中、電撃が走るようにふと思い出したのはマヌエルバルエコ。
これはクラシックギタリストの名前だ。
小学生の頃、一つ上の兄がNHKを録画したビデオテープでこの人がソロで演奏するリサイタルを一緒になって観ていた。
満員だが静寂のコンサートホール。
1人で挑むマヌエルバルエコ。
客は演奏中に咳などしてはならないというような張り詰めた空気の中、汗を拭いてはトツトツと爪弾くマヌエルバルエコ。
マヌエルバルエコが何者なのか、国籍、年齢など当時知る由もなく、それは今も同じだ。
調べるつもりもなく、生きているのかも知らなくていい。
あまりの素晴らしさに、小学生の兄弟がVHSに映し出されるマヌエルバルエコをあんぐり口を開けて観ていたという懐かしい思い出だけあればいいのだった。