【お前に何がわかる?】認められたかった悪のウルトラマン、役に立ちたかった支援者【ウルトラマンジード感想】

 録り溜めしてから3年。録画容量が圧迫してきたので、そろそろ録画を消化しないとと思って当時まだ見ていなくて残していた7話以降?から見ました。
 何この素晴らしすぎるストーリー…やっぱり消せない…。


 ウルトラマンジードは、映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」に初登場した光の国(初代ウルトラマンたち昭和シリーズのウルトラマンやメビウス、ゼロたちの出身地)初の悪のウルトラマンベリアルの息子が主人公のお話です。

主役は龍臣プロこと「濱田龍臣」さん


 この主人公を務める濱田龍臣さんは、映画大怪獣バトルの続編にあたる「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」に登場するウルトラマンゼロと一心同体となったお兄さんの弟役で出演していました。
 まさか、あの当時の子役の子がウルトラマンの主人公として抜擢されるとはと驚いたものです。
 嵐の大野君でおなじみ実写ドラマ怪物くんの市川ヒロシ役の子だといえばわかる人もいるでしょう。当時から演技が上手だと思っていたので、成長してからの彼をウルトラマンで見れると知った時はとてもうれしかったです。

 ベリアルの息子であるウルトラマンジードは、その出生のために思い悩むことになります。
 初登場時の悪役感が半端ない曲、ベリアルとは逆の方向に突き出た二本の鋭く凶悪な目のライン。主人公で善玉であるウルトラマンの基本形態では、めずらしい悪々しいこの姿がとてもかっこいい。
 ここ最近のウルトラマンは、主人公や正義の存在でありながら黒色を全体的に使われることが多いのですが、それらとはまた違う、正義ではなく悪っぽさを出してるのがとても良い。


 そんな悪のウルトラマンから生まれたウルトラマンジードなので、かつて宇宙の危機を巻き起こしたベリアルと似ていることから世間の風当たりが強かったりで思い悩むことが多かったり、その背負わされた宿命の無慈悲さなどがとても辛くてそれがとても良いんですよ。
 マグニフィセント登場回は、マジで涙なしには見れませんでした。

 いやあなた石ノ森章太郎先生の世界観出身では?と言いたくなるほどにつらい…。


OP主題歌「GEEDの証」

 番組前半に使用されているオープニング主題歌はフルサイズの前半部分なのですが、ジードが仲間たちと共に運命にあらがっていくという流れになっていて…。
 まさか番組後半から後半の歌詞が流れるとは…。自分の意志で光を生んで、胸の痛みを生む運命を覆して新たな魂が芽生えたとか…めちゃくちゃかっこいい。後半の歌詞がめちゃくちゃかっこよくて韻を踏む語感がよくて本当に好き。ネクストステージからのノーダメージとか。
 抗うことが難しい宿命に自ら立ち向かって未来を変えていくとか私が大好きな展開。

 本当にOP主題歌めちゃくちゃいいですね…。「GEEDの証」大好き。


 ベリアルと伏井出ケイの話。

 ここまで共感というか同情できる悪役というのも久々。ウルトラマンオーブ ザ・オリジン・サーガを経てのジャグラスジャグラー以来でした。

 ジャグジャグもベリアルも伏井出ケイも諸々、生きてればそう感じることが多いからめっちゃ共感できる。

 伏井出ケイもベリアルも「自分に力があれば」という点では一致していたんですよね。ジャグジャグももちろん。

「自分に力があれば、ああはならなかった」

 推しの引退をたくさん見てきた私としても、「あの時に支援ができていれば、もっと応援ができていれば、このような終わり方はしなかったのでは」という思いは常々しているから、もっと大きな力があればというような思いは共感ができてしまう。
 例えるなら、応援されている側からの「わかるよ、推しの引退辛いよね」という言葉ほど嫌な言葉はない。応援されている側は、たとえそれを引退しても個人間でつながっていることがあるから。あなたに何がわかるのかと。

 だからこそわかっている風な言葉を言ってほしくはない。わからないのならなおさら。

 ベリアルの「わかったような口を叩くな」という言葉にめちゃくちゃ「それな!」ってなりました。

 しかしまあ、身の程をわきまえずに力だけを望み、実際に得ると知らず知らずのうちに力に溺れて勘違いしてしまうというのは、推してる世界を見ていて学びました。
 器を伴わない力ほど危険なものはない…。それは伏井出ケイが変身したペダニウムゼットンを見たらわかりますよね。


 ジードは最終決戦でベリアルの過去の記憶が自分の中にフラッシュバックして、彼の悔しさや怒りを知ることになります。
 本当にこの過去のフラッシュバックがとても辛くて…。ダークネスファイブの姿があったのも良かった…(伏井出ケイあの頃からいたのねw)。

 かつて力を求めてプラズマスパークの光に手を伸ばして光の国を追放され、レイブラッド星人に心の弱さに付け込まれて悪の姿を得たウルトラマンベリアルは、光の国のウルトラマンたちに自分の力が強いことを侵略者として君臨することで示したかったんだなって。
 ただ復讐心だけでなく認められたいという劣等感から来ていたものだとわかってめっちゃ悲しくなりました。

 まさかあんなに強大な力を持つベリアルに共感を覚える日が来るとは…。
 最後の最後にジードの心象風景での出来事とは言え、ベリアルが元の姿(アーリースタイルといわれる)に戻ったのがよかった…。
※ただし現実では戦闘中なのでベリアルの姿は黒い姿のままだった。
 リクの姿でベリアルと殴り合う心象風景めっちゃ良かった…。ベリアル アトロシアスめっちゃかっこよかった。

 最後にすべてを失ったもの同士、伏井出ケイとライハの戦いも良かった…。


 かつての同胞に認められたかったベリアルと、ベリアルの役に立ちたかった伏井出ケイ

 伏井出ケイはベリアルを崇拝していたけど、ただ崇拝していたわけではない。すべてを失った自分の前に現れた強大な力を持つ彼に憧れ、だからこそ彼の役に立ちたかった。
 純粋に「役に立ちたい」という思いだけで動いていた。それがとても切なかった。
 推しの力になりたかった。推しが引退するたびに、もっとこうすればよかったという気持ちもある私としては、共感できてしまうところがある。私も誰かの役にたちたい。たちたかった。
 彼のやってきたことは許されることではないが、最後は痛々しくて悲しくてつらかった…。


 ウルトラマンジードは初登場以来何度もウルトラマンたちを窮地に陥れた悪のウルトラマンベリアルの息子であり、そんな彼の物語だけではなくその父ベリアルの物語でもあった。ベリアルも伏井出ケイもその怒りと悲しみが伝わってきた。
 そして2009年に登場してから8年。これでやっとベリアルの戦いも終わったんだなと。彼の悲しみと怒りもやっと終わり、引導が渡されたのかもしれない。

 が、死した彼の体の一部がまだ他の宇宙で利用されることになるとはこの時まだ誰も思わなかったのである…。
※今年放送のウルトラマンゼットに続く


 ウルトラマンジードの物語は、ゼロやウルトラ戦士とベリアルの因縁の総決算という感じでとても良い作品でした。
 リッくんめっちゃ好き。



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 昨夜、ウルトラマンオーブのオリジンサーガのコンプリートサントラとテレビ版やエクストラサントラの一部を買いました。
 ジャグジャグの曲をコンプリートし、オーブニカとオーブオリジンの曲、オーブの主題歌を。

 あ~ジャグジャグ大好き…。


追記:
 ジードの曲、ベリアル(銀河帝国も含む)、銀河帝国のゼロのテーマも買いました。

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