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IT部門の価値を数値で考えてみよう!

IT部門に在籍している皆さんは、IT部門の価値を数値で表す、ということを考えたことはありますか?

私はあります。部門の価値を数値で可視化するとことで、経営や社内に対して価値をアピールするという目的でやっていました。

私自身はこういうITマネジメント領域の話が好きで、つい最近Twitterでこのような数値化の話が出たので、記事としてまとめてみました。

この記事では

* IT部門の価値を数値で表す方法を考えてみる
* また実際にいくつかのサンプルとなる数字をリストする

ということをやっていきます。ちなみに正解とかはありません。正直なところ、数値化が困難なものばかりで、それも本質的な価値を表しているとは言い難いものが多いです。

ちなみに前提として、

- KPIは目標の達成度合いを測る数値
- メトリクスは事象を数値にする(いわゆる、数値化)

という意味で使っています。正確な言葉の定義はわかりません。ググりましたが、サイトによって定義が異なってます。

ちなみに、今回のお話はITに関するメトリクスについてです。

KPIはそれぞれの企業で設定した目標に対して、変わってくるものです。ただし、そのときに参考になるのが、ITに関するメトリクスかと思います(つまり、この記事が役に立つ!)

案1. 昔、私がやった方法

昔にやっていた方法は、各業務の目的をビジネス用語に変換して可視化するという方法です。この方法のメリットはシンプルであること。デメリットは事象を正確に表していない、つまり不正確であることです。

業務(運用であればX月分みたいに書く)を書いて、右側に経営から見た価値を書いておき、0-5の数字で感覚でざっくり数値化します。

ここで重要なのは価値の正確さ(数字の値)ではなく、それぞれの業務がどの価値(利益?生産性?セキュリティ?など)を提供しているのかシンプルにわかることが重要です。

これを常に見えるようにしておいて、IT部門が何をしていて(業務内容)、それがどんな価値につながっているのかが分かる!という意味で、それなりに好評でした。

ただし、数値は私の感覚です。というか、数値化が難しい分野で数値化するというのは、基本的に事象をシンプルに表現する代わりに、正確さは担保できないと考えています。

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案2. 組織ベースで考える

ヒト、モノ、カネ、情報のうち、数値化しやすいヒトとカネで考えていきます。どのメトリクスもそうですが、一概に数値が高いから良い、悪いという意味ではありません。

例えば、IT部門の従業員数が多いから悪いのでしょうか?単なるコストと考えていれば、それは悪いのでしょう。ただし、投資と考えた場合、同業他社と比較してIT部門の従業員数が多いことは良いことになります。

- 人
 - IT部門の従業員数
    - 企業の従業員数に占めるIT部門の従業員数
- お金
 - 売上に占めるIT予算の割合
    - ユーザあたりのITコスト
 - 予算計画の遵守の割合
 - IT予算のうち、運用に対するコストの割合
 - IT予算のうち、新規プロジェクト(改善、変革など)に対するコストの割合

1. IT部門の従業員数

これはわかりやすいと思います。もし、フルタイムではない人がいた場合は0.5などの数値にすると良いかと思います。

例えば、正社員2名+副業として1名(0.3人月)であれば、2.3という数値で可視化します。

2. 企業の従業員数に占めるIT部門の従業員数

これは前述の数値を全従業員数で割ります。IT投資の度合いを表すメトリクスの一つと言えるでしょう。

これは感覚値ですが、数年前までは従業員あたり100名につき、IT部門1名と言われていました。最近は少し割合が高まって、従業員あたり50名につき、IT部門1名という声も聞きます。

ただ実際は、業種やIT部門が追うべき役割によって大きく変わってくるため、一律でこうだ!とは言えないです。

3. 売上に占めるIT予算の割合

これはIT予算 ÷ 売上の割合です。この数字は単体ではなんの意味も持ちません。同業他社と比較して初めて意味があります。しかもこの割合が低い=良い、という意味にはなりえません。というのも投資割合が低いということを意味しており、それは経営がITを軽視しているとも言えるからです。

よって、業界標準と大きな差がある場合のみ、投資割合の調整に関して、経営陣と会話するといったアクションが取れます。

4. ユーザあたりのITコスト

これはIT予算 ÷ ユーザ数になります。コーポレート系のシステムは経営者や社員がカウントされます。この数字も他社と比較することで投資度合いを評価することできます。

5. 予算計画の遵守の割合

このメトリクスが本質的か?と言われると微妙でしょう。しかし、あくまでお金の管理という意味では重要な数値になるともいます。

6. IT予算のうち、運用に対するコストの割合

これはIT投資のうち、運用に対する投資度合いです。基本的に低いほうがよいでしょう。日本の大企業は、この運用コストがIT投資のうちの大部分を占めているそうです。たしか8割とか、9割とかなにかのデータをみたことがあります。

7. IT予算のうち、新規プロジェクト(改善、変革など)に対するコストの割合

これは6のメトリクスとは逆に、新規プロジェクトに対するコストです。なにかしらの課題解決のために使われるコストの投資度合いですね。例えばEDR導入であればセキュリティ向上とかになります。基本的に高いほうがよいと思います。

この数値が高ければ、テクノロジーにおける改善、変革を行っていると言えると思います。

案3. 運用ベースで考える

IT部門における基本的な機能についてのKPIです。職場のテクノロジーをいかにスムーズに実行し続けるか、そして社員のテクノロジーの問題にどれだけ効果的に対応するかになります。

このあたりの数値は聞いたことがあるものが多いのではないでしょうか。

- サービスデスク(ヘルプデスク)
 - チケットの応答率
 - チケットの解決率
 - チケットの処理時間
 - ITに対する全体的な満足度(アンケート)

- 可用性
 - システムやサービスのダウンタイム
 - 稼働率

- セキュリティ
 - セキュリティポリシーへの準拠率
 - 脆弱性の高いデバイスの割合

おわりに

経営者は数値を好みます。よって、私達はできるだけ数値にしようと試みます。ただし、冒頭にも書いたようにムリに数値化してもそれは本質的ではない数値になったり、事象を正確に表してないものだったりします。

個人的な意見としては、価値をシンプルに表現するものと割り切って使う、もしくはムリに数値化しない、という考え方がいいかなーと思っています。

たとえば、年間の新規のプロジェクト数という数値で図っても新規のプロジェクトならなんでもいいのか、となり、プロジェクト数を稼ぐだけの行動を取る流れになるんじゃないでしょうか。

上記で上げたメトリクス以外にもあったりするのですが、そういった意味でここには掲載していないです。

もっとこの分野を研究したい人は、海外サイトを漁るとこの手の記事が出てきます。残念ながら、日本語の記事はほぼ存在しないです(なぜだろう?日本人は数値化が苦手?)


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