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【木造勉強記録03】構造用製材と集成材

前回は、構造計算書の概要について、ざっくりまとめました。

今回はこの中から、「2. 使用材料と許容応力度」の項目を掘り下げてみたいと思います。
少し長くなりそうなので、まずは第一弾として、「構造用製材」と「集成材」についてまとめます。

構造用製材と集成材の違い

とてもとてもざっくり分けると…

構造用製材  丸太から直接切り出された材
集成材    ひき板を積層・接着して作った材

という違いがあります。
集成材は、一旦丸太を分解して、それを接着するという手間がかかっています。
なぜわざわざそうするかというと、以下の利点があるからです。

製材では作れない寸法の材が作れる
    製材で大断面を作るには、大きな丸太が必要
品質のばらつきが少なく、強度性能が高い
    ひき板の欠点が除去(または分散)されている
割れや寸法に狂いが生じにくい
    ひき板の段階で十分乾燥されている

構造用製材のこと

一般流通材

木造住宅の市場をベースとしているため、現在の流通材品は、下表のようになっています。

JSCA版 木造建築構造の設計より

国産材ではスギ・ヒノキが一般的ですが、最近は梁材を集成材や米松を使う場合が多く、スギやヒノキの国産材は受注生産となる場合が多いようです。

等級区分

日本農林規格(JAS)では、等級区分が2つあります。

① 目視等級区分
  ・目視により等級区分を行う
  ・曲げ、引張、圧縮の各強度に影響の大きい
   「節・繊維傾斜」を重視
  ・せん断強度に影響する「割れ」を重視
  ・区分は2つ
    甲種製材 大きな曲げを受ける材(梁) 
    乙種製材 主として圧縮を受ける材(柱)
② 機械等級区分
  ・機械により1本ずつヤング係数を測定
  ・等級は「E○○○」
    → 曲げヤング係数の平均値が
      ○○○x100N/㎟

集成材のこと

丸太から切り出した「ひき板」を、繊維方向を平行にして積層し、接着したものです。

一般流通材

断面サイズの定義は、下記のように分かれています。

大断面  短辺15cm以上、断面積300㎠以上
小断面  短辺が7.5cm未満 または 長辺が15cm未満
中断面  その中間のもの

軸組工法住宅用に流通している小中断面集成材は、
下記であれば手に入りやすいようです。

短辺 105mm または 120mm
長辺 105mm~390mm (30mm刻み)
長さ 3m~6m
材種 <外国産>
      スプルース(ホワイトウッド)
      オウシュウアカマツ(レッドウッド)
      ベイマツ
   <国産>※割高
      カラマツ(中断面集成材梁)
      スギ(小断面集成材柱)

等級区分

構造用集成材は、大きく分けて2つに分類されます。

異等級構成集成材
    構成するラミナの強度が同一でないもの
   (梁に使用)
同一等級構成集成材
    構成するラミナ強度がすべて同じもの
   (柱に使用)

構造用集成材の強度等級は、次のように表示されます。

「E105-F300」
  曲げヤング係数の平均値が 105 x 100N/㎟
  曲げ強度の5%下限値が 300 x 0.1N/㎟

さいごに

今回は、構造用製材と集成材について、概要をまとめてみました。
それぞれの区分も、もっと細かく分けると使用環境や含水率などなど…もっと奥が深いようですが、全部書くと納まらない(のと、私の頭がパンクする)ので、今回はざっくりのまとめになっています。

参考文献

国土交通大臣登録 構造設計一級建築士講習テキスト 2021年改訂版
/ 公益財団法人 建築技術教育普及センター


おまけ

木材って、果てしなく材種がたくさんあるじゃないですか。製材も集成材も、ラインナップが豊富過ぎて、一体どう選定していけばいいんだ…と途方に暮れておりましたが、調べてみると「いっぱい流通してるやつ」から選べば選びやすそう!と少し安心しました。
確かに、外注先の木造の図面を見ていると、ここで書いた「流通材」から選ばれている気がします。

ちょっと木造への恐怖が少なくなった!気がする…笑


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