鷹野よう

大学生|文章を書きます

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最近の記事

個人的な孤独【創作】

  不安  自分の生活に不安を感じずにはいられなかった。  ある朝は布団から出られずに、自分が過ごしていなければいけない一日のことを考えていた。それが今日ではないにしても、するべきことを忘れないのなら——そう考えて漸く身体を起こした。  ある午後は出かけられずに、決めていなければいけない進路のことを考えていた。その場所が少しでもそれを考える助けになるのなら——そう思ってから急いで支度をした。  ある夕方は椅子から動き出せずに、身につけていなければいけない技術のことを考えてい

    • 十枚の葉書【創作】

      あんなことを言ってみても、内心は本当に手紙が書けるか不安だったのですが、葉書を買ってみればこんな小ささだったので、杞憂だとわかりました。スマホで送ればいつでも言えることを、わざわざ手書きの字で形にして届けられることが、葉書一枚分の贅沢なのだと思います。 ツバキは駅から帰る途中にまた二三本見つけました。一度見つかると後から後からと目につく、と好きな詩人も書いています。写真も一枚見てもらいたいようなのが、可愛らしい八重咲きが撮れました。 二月十日 間が悪くなってしまいそうなので

      • 運命、共有【雑記】

         卒論(年明け〆切)をほったらかして、この文章を書いています。これを誰かに読んでもらいたいと思うからです。  これを誰かに読んでもらいたいと思うのは、今書いている卒論が、間に合わずに出せなかったときのことを考えるからです。今、私は大学の4年生で、無事に卒論が出せれば来年の3月に卒業し、無事に院試が通れば来年の4月に進学して、もう2年研究(勉強)をします。だから、これを書いている、今年の12月の時点では、来年どうなっているのか、一つも決まっていないんです。  一つも決まって

        • 学校に行く方法【制作メモ】

           最近書いた小説の中で、こんな文章を書いた。デートの約束をしたはいいものの、当日になって出かけるのが憂鬱になった主人公の心象として。小説全体は自分の経験も混じっているけれど、この文章の部分だけは、ある友人から聞いたことがもとになっている。ただ、その人は小説とは違って、学校に行くことに対してこう感じていたらしい。それがこの小説を書こうと思ったきっかけでもあったので、そんなふうに学校へ行きにくくなってしまった人について少し考えたことを、小説へのメモとして残しておきたい。 理由は

        個人的な孤独【創作】

          待ち合わせ【創作】

           時計の針がカタリカタリと動いている。もう一時間もしたら家を出ないといけない。それなのに顔を洗ったあと椅子に座った姿勢から、どうしても動き出すことができなかった。  机の上には黒いポーチに入った化粧道具がある。いつも閉じていない口の中の、雑に詰め込まれたコスメ。メイクをしたら着替えて、荷物を準備しないといけない。天気がいいから、汗で崩れないようにもしないと……。時計がやはり同じ速さで進んで行く。もう一分たった。 「まただ、また……」私は今朝眼を覚ましたベッドの上で、起き上

          待ち合わせ【創作】