NHKの2024年度平日午後編成から見えてきたこと


はじめに

NHKは2024年の春から「列島ニュース」と「午後LIVE ニュースーン:以下ニュースーン」の2番組を編成し、平日午後における長時間生放送を実現した。これまで、NHK平日午後の生放送は1時間番組の「列島ニュース」と「ニュースLIVE! ゆう5時」(ただし金曜日のみ大阪局制作で「ニュース きん5時」)の約2時間にとどまっていたが、ここにきて生放送にこだわる理由は何か。今回は様々な視点から見ていきたいと思う。

NHKの平日午後編成の特徴

NHKの平日午後編成は視聴習慣を付けさせることが難しい編成になっている。理由として春と夏に行われる高校野球中継、15時から18時まで奇数月のみ約2週間にわたって行われる大相撲中継、さらには不定期で入る国会中継があるからだ。前者2つはあらかじめ日程が決まっているため休止しやすいが、国会中継は突発的に入るケースが多いため例え前者2つがなくても定時番組を休みになることが多い。NHKは昔、芸能人をMCやゲストに迎えて生放送番組を放送していたが、やはり休止が多い編成に振り回されることも多々あった。

新型コロナウイルスの流行

2020年、新型コロナウイルスが日本を襲うようになってから各局収録の縮小や中止、生放送番組ではアクリル板の設置やリモート出演が多くなった中、当時放送していた「ごごナマ」も大きく影響を受けた。これまで2時間放送だったが、縮小した上で14:05~14:40(一時期は14:55まで)にBS1で放送されていた「列島昼ニュース」を移設する形で放送を行った。のちに13時台に繰り上げて正式に定時化すると、「ごごナマ」は2021年3月をもって放送を終了した。

2021年~2024年春までの動き

その後、2021年4月から2024年3月までは14時~16時に関して、特設ニュースが入らない限り、生放送番組は行われなかった。代わりに連続テレビ小説の過去作品の再放送や定時放送されている番組の再放送で穴埋めしていたが、公共放送として、有事が発生した際の対応の遅さや再放送で埋めても国会や特設ニュースが入るとスケジュールに大きな変更が出てしまうことと再放送ではあまり視聴者が見込めないという観点から、あえて生放送を再開することで、公共放送としての使命果たすという考えに変化したのだろう。実際、複数のメディアやNHKのメディア総局長の方も似たようなことを話している。

前回の反省点からどのような編成をとったか

先ほども話したが、NHKの平日午後編成は様々な影響を受けやすい。芸能人を呼んでも休止になればスケジュールの再調整が必要となる。そこで、有事にも対応できて、芸能人に迷惑をかけにくい、さらにNHKらしく内容が濃い番組を目指すべく「午後LIVE ニュースーン」が誕生したのである。特徴として以下の通り
・基本局アナと週替わりで登場する解説委員が中心
・有事が発生しても番組内である程度取り上げられるようにする
・芸能人を呼んでトークなどする際は過去映像や事前収録が多いが、時には生放送で出てもらうことも
・地方中継コーナーの充実で生放送番組の価値向上
・前番組でやっていたような暮らしに役に立つ内容も取り上げる
といったところに集約されるだろう。完全に局アナと関係者を中心に放送するのであれば、仮に国会中継が入っても大きく影響が及ばないだろう。細かい内容は、ほかの方が詳しく解説しているため省略。

また、「列島ニュース」は1時間から2時間に拡大し、ワイドショーでは取り上げないような地域のニュースをさらに充実させることで、他局との差別化を図った。出演者も5人から8人に増加しこちらも有事が発生した際は適宜対応できる体制を整えている。

とある記事に対する意見

6月20日、こんな記事を見つけた。

出演者の陣容はどうだろうか。現在、メインキャスターを務めるのはNHKの池田伸子アナと伊藤海彦アナだが、いっそのこと、視聴率を叩き出せる芸能人にメインキャスターを任せてしまうという手はないかのか?

(3ページ目)国会中継の方がマシ? NHK「午後LIVEニュースーン」大不振の原因とV字飛躍の秘訣…識者が指摘|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

先ほども言ったが、芸能人をよんでトークや司会するにしても国会中継で休止となればスケジュールの再調整が必要になるためあまり合理的ではない。収録した上でそれを放送するのであれば話は別かと思う。また、これに対する意見として

「近年のワイドショーを見てみると、芸能人が専門知識なしでコメントを述べることに批判的な視聴者が多いので、キャスターともあればなおのこと、そのようなことはしない方が良いでしょう。局アナを使いつつ、日々の特集で尖った専門家にしゃべらせるべきです。テレビ番組とはそういうものだと、民放に指し示すぐらいの意気込みが必要でしょう」

(3ページ目)国会中継の方がマシ? NHK「午後LIVEニュースーン」大不振の原因とV字飛躍の秘訣…識者が指摘|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

尖った専門家を呼べとは言わないが、メインキャスターはアナウンサー、ニュースに対しての解説などは局専属の報道デスクか専門家に任せる。これをすることで公共放送の使命は果たしているだろう。これで間違いなく他局のワイドショーと差別化ができている。

まとめ

NHKの平日午後編成は、大きく様変わりした。開始から3か月しか経っていない以上、まだ数字が取れる状況ではない。もちろん課題や改善点もあるので試行錯誤も重要だろう。しかし、数字が悪いから打ち切りももったいないと思うので、これからどのように運営していくかが注目だ。


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