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FrembassyがGGMに至るまでのHARD THINGS(その3)

前回はどのようにして資金調達したのかという話をしました。
岸田内閣の掲げる新しい資本主義でもスタートアップの育成という項目があってブームが来ているので、これからスタートアップやる人にとってはどのようにしてお金の流れを作るのかについては多くの選択肢があって本当に良い時代になりました。

スタートアップというとアメリカは西海岸のような多死多産でいいものだけが生き残ることで世の中の進化を促していくみたいのがイメージとしてあります。
スタートアップは資金調達ができれば安泰と思う人もいるかもしれませんが、どの企業も例外なく次の苦難が待ち受けており、より一層頭を使わないと生き残れないようになっています。恐らく国策でスタートアップ促進の世の中になってもこの流れは変わらないはずです。その代わり失敗事業にも次のチャンスが与えられやすくなるようになると思うのでより多くの人が挑戦しやすくなればいいなと思います。

KIRINアクセラレータの2017に採択された時の写真
まるで優勝者のような雰囲気のIBM Bluehubのデモデイ(高見沢もちゃっかり登場)

さて、エンジェル投資してもらったところから我々には運が向いてきたのか、KIRINのアクセラレータプログラムとIBM Bluehubというアクセラレータの両方に同じタイミングで両方とも採択されました。
アクセラではいろんな方との出会いがあり、指導もあって学びも多かったです。残念だったのは次の投資やアライアンスで成果を出すまでに至らず関係者の皆さんのご厚意に答えられなかったことです。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。でもアクセラレータの同期がニュースで取り上げられると自分のことのようにうれしくて人に自慢したくなります。余談ですが、レストランのオートメーションでよくニュースに取り上げられるコネクテッドロボティクスはIBMでもKIRINでも同期でいつもいい刺激をもらっています。こういうのがアクセラに採択してもらった人の特権かもしれません。
そうこうしているうちにまたデモデー(アクセラレータプログラムの結果発表会)を迎えました。ここからはまた投資家探しの旅が始まります。しかしどれだけ回っても、何ヶ月経ってもVCからは良い返事をもらえません。

この停滞した会社の状況の打開を図るべく、ビジネスモデルの転換を議論しました。広告モデルよりも商品販売に切り替えて見てはどうかという意見にまとまり、議題は何を売るかに焦点が絞られました。ビーガン食品のミールキットかビーガンカップ麺か。よりインパクト出せるのはカップ麺ではないかとなってこちらに決定しました。加えてどうせやるなら当時流行り始めだったクラウドファンディングでPRしてお金を集めれば製造資金をまかなえると思いついたので、速やかに実行に移しました。並行してカップ麺の製造のスタートです。
播と千葉でスープのベースの味を決めながら何度も試食会を行いました。麺は栃木の波里という会社の米粉の麺です。乾燥野菜の配合も九州の野菜を使って、最後は全部をパッケージしてくれる工場を見つけるのに苦労しました。すべて弊社の代表が頑張って見つけてきたものです。そうして完成したビーガンカップ麺はクラウドファンディングでまずまずの売れ行きを見せ、最後は色んな所にお願いもしながらなんとか目標額を達成しました。

Makuakeで売ったVegewelRiceNoodles

この実績を元に再度VCを回るも、またも出資してくれるところは現れず。いよいよ資金も底をつき、エンジェルに相談しました。これが本当に良かったなと思ったのは、既存のエンジェルの一人に『他のエンジェルを紹介するので自力で再度チャンスを勝ち取ってこい』というお言葉を頂いたことでした。
そこでエンジェルラウンドの2回目を回ってなんとか当面の資金を確保することができました。本当にありがたかったです。
VCと違ってエンジェルはほぼその場で出資を決めます(OKもNGも)。なのでVCの返事みたいに長々引き延ばされてNGだったというのがなく、しかも既に出している他のエンジェルからの紹介があると割と決まりやすいという特徴があります。VCのように数千万という単位で出してくれたりすることは少ないけど、大体100万〜300万(多いと500万以上の人もいる)なので、かき集めれば立派な事業資金になります。

ここから事業は大きく転換し、レストランガイド、メディアに続く第三の事業ECを始めることになります。Vegewel Marchéです。既存のRailsで作ったVegewelのアプリケーションにオープンソースのECパッケージを追加して、突貫工事で2ヶ月で作りました。とにかくきつかった。私は日中は他社で仕事していて、夜と週末くらいしか時間取れなかったのをフルに使ってなんとか2019年の5月に立ち上げることができました。最初に販売したのは色んな会社のプラントベース食品を集めて7割引きで販売という限定100個セットでした。販売当日に24時間しないで一瞬で売れてしまいました。

その後もチャヤマクロビなどの企業から商品提供にこぎつけ細々と販売は続けるも限定100個セットほどには売れませんでした。まだまだPRが足りなかったのと商品数が少なかったのもありましたが、なんといっても目玉商品がないということが最大の問題だったのかもしれません。この状況をひっくり返すターニングポイントがありました。以前クラウドファンディングで作ったVegewelRiceNoodlesの製品版がついに完成したのです。クラウドファンディング後に商品発送してから製品版にするまで色々準備があり、Marchéのスタートには間に合わなかったのです。

大々的にプレス向けイベントを仕掛けて2019年の9月に販売開始したところ、急激に売れ行きが延びて売上が右肩上がりに転じます。しかし売上が延びても赤字を解消するほどに至らず、並行して資金調達もはじめましたがどこからも良い返事はいただけませんでした。この頃にはVCは出さないだろうと思っていてエンジェルかCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とばかり会っていました。本当に資金が尽きそうだったので、今までどんなにピンチでもやらなかったメンバーの稼働停止に踏み切りました。播と自分の給料を止めることは裏では何回かあったのですが、最後の砦ということでやらなかったことです。メンバーに頭下げて事情を説明するのはとてもつらかったですし、自分も会社が終わってしまうのかなと半ば覚悟しました。2019年11月の出来事です。(続く)

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