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エンジニア給料はバブっている?

世の中の給料が上がらないという社会問題のさなか、エンジニアの給料は基本的に高めになっています。特に資格が必要ではない職業なのに「エンジニア」という肩書というだけで他の職種より高めの給料がもらえます。実際、知り合いの所属しているコンサルティング会社ではプロジェクトに入れるメンバーに元デザイナーだった人を少しトレーニングしてエンジニアとして送り込んで、価格を上げているという話を聞いたこともあります。

また、エンジニア紹介を専門業者に依頼しても、通常35%の紹介料となっているところ、80%〜100%払わないとまともなエンジニアを紹介してもらえないという話も聞いています。

これって不合理なんでしょうか?

DODAの職種別年収一覧(2021年度)

DODAの職種別平均年収(2021年度)見るとエンジニアは技術系(IT/通信)に属するため430万ほどで上から4番目に相当します。他の職種と比べるとやはり高めであることがわかります。

このような市場価格というのは何をもって決まるのかといえば需要と供給のバランスとなります。例え年収1000万円のエンジニアがいても、欲しいという会社があればその時点でその方の市場価格は1000万となります。

実際どのくらい需給バランスが乖離しているのかというと独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)による「DX白書2021」によれば以下の図のように各IT職種で50%以上不足しているというのが多いです(青と橙の合計)。

エンジニアは不足している

更に原因を探ると実質GDPは増加しているのに対して雇用者数が減少傾向で、市場の成長に人材供給が追い付いていないという現状がわかります。以下のグラフは、総務省「ICTの経済分析に関する調査」(2021年)による、「日本の情報通信産業 実質GDPの推移」と「日本の情報通信産業の雇用者数の推移」です。

日本の情報通信産業 実質GDPの推移
日本の情報通信産業の雇用者数の推移

経済産業省の記事では2030年には79万人ものIT人材が不足するという試算もありました。こういった背景やGDPが上がっているのにそれを補うIT人材が不足していることで、ITエンジニアの獲得単価が上がってしまっているのだといえます。

特定の言語での開発経験(Java, PHP, Rubyなど)がそこそこ(1〜2年)あって、というフリーランスエンジニアの想定単価は52万となるようです。レバテックのサイトでの試算ですが、他のサイトで見てもそのくらいでした。さらに1年経験積むと61万円だそうです。

もちろん業種によっても単価は違います。マイナビ 中途採⽤状況調査2020年版(2020年1月調査)によればITだけ突出して高いというのもあります。

・全体:674.1万円

IT・通信・インターネット:898.5万円

・製造・メーカー:604.4万円

・サービス・レジャー:654.1万円

・流通・⼩売・フード:356.3万円

・⾦融・保険:640.6万円

・不動産・建設・設備:794.2万円

・運輸・交通・物流・倉庫:486.7万円

・医療・福祉:800.7万円

弊社も採用は苦戦していて、特にエンジニアは難しいと感じております。
この背景からも高騰しているので良い人材の奪い合いでもあり、お安くスキル高い人というのはよほど当社のファンという人でなければ獲得は難しいでしょう。

さて、エンジニアはバブルなのか?と言われれば、ワタシ的には「適正価格として評価されるようになった」ということだと思います。それだけITが世の中に浸透してきて欠かせないものになったからであり、我々の諸先輩方が地位向上のために(!)実績を積み上げていったからにほかなりません。

他の職種より高い給料になった代わりに、スキルや能力的な部分はシビアに見られるということを覚悟しないといけません。大企業でもスタートアップでも社員でも非社員でも他人の評価のハードルはどんどん上がって行きます。社員であれば能力が上がらなければ給料も上がらないし(場合によっては下がる)、業務委託や派遣であれば契約更新されずクビになることもあります。まあ、自分に厳しくしていくしか無いとも言えますね。

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