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自分勝手な恋愛の代償。

昨日また彼氏と喧嘩をした。

私たちはなんども喧嘩をしている。
いつも私だけ怒っている。
彼はいつも謝ってくる。


彼がどれだけ2人きりのときに愛を伝えてくれても、信じられない。

悪いのは全部3年前のあの恋愛だ。


3年前。私は、バイト先の先輩に恋をしていた。女子大に通う私が唯一ちゃんと話す年の近い異性が、その先輩だった。
先輩なのにすごく丁寧な話し方で、仕事も慣れていて、なにより私のことを「すごい努力家なんですね」と褒めてくれた。地味だし、人相悪いし、陰キャっぽいけど、男性免疫を失ったわたしが好きになるには十分だった。

けど、彼の右手の薬指にはシンプルなシルバーの指輪が光っていた。

「これ、彼女とのペアリングです。」

直接は聞いたことがないけど、よくパートのおばさんや他のバイトに聞かれて、彼はそう答えていた。実際に、彼のLINEのアイコンは彼とその彼女さんの手の写真(ペアリングを見えるように重ねていた)だった。

12月、彼に誘われて2人でご飯に行った。
彼は彼女の話なんか一切出さず、ただバイト先の人の話や大学の友達のことなんかを話してくれた。
1月、再び2人でご飯に行った。今度は2軒目でカラオケに行って、2人が好きなアーティストの曲で盛り上がった。
そのとき、ふいに肩に手を回されて、頬をふにふにされたとき
「あ、これはいけるな。」
と思った。
その日の帰りは、家まで送ってもらって、帰り道手を繋いだ。帰り道で彼はこう言った。
「実は、彼女とは遠距離で、最近束縛もきつくて、ヒステリー?みたいなときもあって大変なんですよね。」

それからわたしとその人の関係が変わるまでにはそんなに時間はかからなかった。

面と向かって好きと言われたことはなかったけど、きっと彼は自分を選ぶだろうから。そう信じていた。週の半分以上、彼は私の家に泊まっていた。一緒にバイト先からうちに帰ったり、一緒にバイトに行ったり。

けど、何週間、何ヶ月待っても彼は彼女とは別れなかった。
むしろ、わたしと会う時も彼は指輪を外さなくなった。わたしがシャワーを浴びているときに彼女と電話をするようになった。
帰省したときも、彼はLINEのアイコンを新しくした。華奢な長い黒髪の彼女の後ろ姿だった。
彼から、恋人の面影が見えるたびに辛くて仕方がなかった。それでも彼は、東京に戻ってくるとわたしの元へ来て、たくさん「好き」と言った。


そんな彼との恋は半年ほど経った頃、あっけなく終わった。

ある日、彼は私のわがままにただ一言「めんどくさい」と言った。
ため息をつきながら下を向いて、頭をかきながら心底めんどくさそうに、そう言い放った。
どんな文脈だったか、一切覚えていないけど、その一言で私の中の彼に対するすべてがプツンと切れてしまった。


彼への恋心はそのとき消え去った。
残ったのは不誠実な彼への嫌悪感だった。

きっと彼はいまもその彼女さんとよろしくやってるんだろう。
彼女さんもまさか自分の彼氏が、こんな不誠実なことを、遠く離れた東京でやっていたなんて思わないんだろう。浮気相手の女の家から電話をかけていたなんて、つゆとも思わず、あんな男と永遠の愛を誓いあったりするのだろう。

私だけ、私だけが抜け出せていないのかもしれない。


今の彼氏を疑いたくはない。けど、どれだけ好きでも浮気をしてしまうのを、目の当たりにしてしまったわたしは、どうしても不安になってしまう。

これはきっと、浮気をしたこと、少なくとも片棒を担いだことの代償なんだと思う。

今の彼氏にペアリングをねだってしまうのも、LINEのアイコンを変えるように言うのも、もっと彼女いるアピールしてよって言うのも全部、3年前の自分勝手な恋愛の代償。


今日もわたしはとてもめんどくさい。

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