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ぼっち・ざ・ろっく!の感想

Twitterでたびたび話題になっているのは知っていたが、ちゃんと見たのは年末年始。最終回が終わってからの一気見だった。
最近見ているアニメはほとんどが続編ばかりで新規には手をつけていなかった。タイトルだけ見てまた転生ものか、と思い1話目すら見ないのがほとんど。リコリコは気になっているけどまだ見てない。

何で先にこっちを見たかは本当に何となく。あえて挙げるならTwitterのアイコンに使われているぼっちちゃんのやべぇ顔を見て、何がどうしてこんな顔をしているのかとは思っていた。

これは感想という名の感情の物置であり、次のアニメを見るための整理のようなものだ。けいおん!との比較もしてはいるが、別ジャンルなので比べるものではないという結論だけ先に述べておく。

羨ましさと感動

ありきたりな感想だがライブ回はどれも感動した。それはぼっちちゃん自身の成長とバンドとしての成長が丁寧に描かれていたからだと思う。

5話のオーディション。結束バンドとして認められたい、という気持ちの変化は急なように思えるが、ぼっちちゃんはコミュ障なのでリアルで受け入れてもらえた経験が少ない。
ようやくできたリアルでの居場所と考えると、これくらい気持ちが重くなるのも当然だろう。

8話のライブは1曲目で噛み合っていないのが素人の俺でも分かるくらいバラバラだった。そこからの切り替わりとぼっちちゃんの決意。
打ち上げのギャグパートからラストは虹夏ちゃんの本当の夢の話。本当にヒーローだったと認められたこと、綺麗なタイトル回収。そしてエンディングの『なにが悪い』まで本当に神回だった。

そして12話のピンチと仲間のフォロー。成長していたのはぼっちちゃんだけではなかった。喜多ちゃんがアドリブで繋ぐシーンはぼっちちゃん覚醒回と同じくらいカッコいい。
直接言えなかった「後藤さんはすごくカッコいい」をモノローグにし、咄嗟の機転でボトルネック奏法をすることでソロを乗り切ったぼっちちゃん。最後はマイクを向けられ焦ってダイブするというオチになったが。

展開としては王道だ。王道だからこそ丁寧に描かれたものは美しく面白い。

『みんなで一つのものを作る』
ふと考えてみると、そういうことができる身近な創作活動は多くない。趣味としている写真はグループ展のような形で集まれはするが、持ち寄るのは個人の成果物だ。
だからこそ「もし学生の頃に誘われたギターを続けていたら、今も仲間と共に活動していたのだろうか」なんてことを考えてしまう。

もちろん現実は別れと出会いの繰り返しなので、学生の頃とずっと変わらないメンバーで、なんてことはそうそうないだろう。
そんなつまらない展開にはなってほしくないし、ならないだろうとも思う。武道館ライブ回まで映像化してほしいものだ。

けいおん!との違い

一部ではけいおん!と比べて良し悪しを述べる人もいるようだが、同じきらら原作でも描いているものは全く別だ。冒頭で書いた通り、別ジャンルなので純粋に比較できるところは少ない。

まず主人公の実力だが、けいおん!が完全な素人であるのに対してぼざろは実力自体はプロ級(ただしコミュ障)だ。
ではけいおん!がギタリストとしての成長を描いているかといえば、メインはバンド名通り放課後に集まって茶をしばいているのだから見せたいのはそこではない。

一方のぼざろでは最初こそダンボールに入っていたが、ぼっちちゃんはメンバーや周囲の人たちとの関わりで成長する。
実力は確かなのに出し切れない、という出発点から最後はアクシデントにも機転を利かせて乗り切れるだけの胆力を見せてくれる。

けいおん‼︎ではそつぎょう!で涙したが、妥当な泣かせどころとも言える。バンドである前に部活なのだから、卒業したら形が変わってしまうのは学内グループのつらいところだろう。そして学内グループだからこそ緩さが認められる。

ぼざろ5話ではライブハウスに出演するためのオーディションが描かれる。学外でバンドを組むとはシビアな現実と向き合うということ。腕が伴っていなければライブハウスでは演奏できないし、演奏できることになってもチケットノルマがある。

けいおん!の説明で『カッコいい』と言うことはないが、ぼざろは『カッコいい』。
日常ものに『カッコいい』要素はなくていいのだから、けいおん!が劣るとかではなくそもそもアニメとしてジャンルが違う。

音楽の違い

これは好みも多分に入ってくるので良い悪いで語るものではない。俺自身が陰キャ寄りなのでぼざろの曲の方が共感できるものが多いというだけだ。
ただ曲の傾向としてカッコいいと感じる曲調がぼざろに多いのはタイトル通りロックの方に振っているからだろう。

もう一つ、曲への思い入れというかアニメがリフレインされるという点がぼざろは強い。ライブシーンの描き方の違いということもあるが、ぼざろは顔を映さず手元を強調することで演奏しているという印象が強く残る。

8話の『ギターと孤独と蒼い惑星』がバラバラだったからこそ、それ以降のライブで息が合っていることに成長を感じられるということもある。
12話の『忘れてやらない』とは観客の数や盛り上がり、バンドとしての完成度などが綺麗な対比になっているからイントロの時点で感動できるのだ。

けいおん!は日常ものなので音楽を主にする必要はない。映像化における重要度は女子高生の学校生活の方が高いだろう。劇中で使われなかった曲もアルバムには多いが、ifの世界の曲のように感じるのは演奏シーンの比重だと思われる。

どちらが良いという話でないのは最初に書いた通りだが、劇中で成長の過程を見られた上で曲を聴けるというのは『推し』になる重要ポイントだ。
そういった要素があるかが好みとは別に思い入れになっていくのだろう。


陽キャ寄りの人はもしかしたらイライラするかもしれない。ぼっちちゃんは自他共に認めるめんどくさいヤツだ。無趣味の人もダメージを負うかもしれない。

陰キャ寄りの趣味人は高確率で楽しめるだろう。共感か投影か、あるいは純粋に青春時代の懐古かもしれない。俺は羨望だったが。

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