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ヴラディミア・ヴァシリエフ日本ツアー感想 切実なリラックス

ヴラディミア・ヴァシリエフとヴァレリー夫人による来日ツアー。

大阪では2Daysセミナーに加えて、ヴラッド特別クラス1回、ヴァレリーの「ブレス&ボディ」クラス1回。東京は2Daysセミナー+2回のヴラッドクラスとヴァレリークラス。全クラスに参加。

東京滞在中の空き時間には時間の都合で日本のコアなインストラクターのみがヴラッドの個人レッスンを受講。私も受講しつつ、他のイントラのプライベートでレッスンに同席する幸運に恵まれた。

大阪は戦いにおけるリラックス、東京は「EDGE」がテーマ。

前者は戦いにおける自由度をショートストライクとして生かせるようにするのが目的地となっていた。東京は初日はナイフを持つアタッカーの技を学び、続く2日目はそれに対して身を守る術を学んだ。

ただ「技」「術」という表現は、厳密には正確ではない。それぞれの「あり方」を学んだと言うべきだろう。

具体的な練習内容については割愛。各参加者がSNSなどで紹介しているし、各地のシステマグループでもシェアされると思う。

システマ東京ではこれまで、ミカエルやダニールのセミナーは多く主催して来たがヴラディミアのアテンドは初めてだ。普段と勝手が違うので、戸惑いながらのアテンドだったけどスタッフや皆さんの助力でまずまずの成功だと思う。これは当初、2020年に行われる予定だった。昨年、トロント本部での練習中にヴァレリーさんに呼び出されて、「2020年の東京セミナーを主催してくれない?」と頼まれたのだ。ただ2020年はオリンピックがあるため、会場や宿泊先などどんなことになるか予想がつかない。そこで前倒しで2019年に変更してもらったのだ。「テーマでなにかリクエストある?」と聞かれたときには「EDGE」と即答した。英語版の書籍が発売されたタイミングでもあるし、2日間全部ナイフワークというセミナーは、これまで日本で行われていなかったからだ。

今回のヴラディミアセミナーを総括すると、やはり印象深いのはヴラディミアの細かなダメ出しが随所に見られたことだ。

ヴラディミアはとても細かく、精密に人の体を観察する。私が虫眼鏡だとしたら、ヴラディミアは電子顕微鏡じゃないかってくらいのレベルで緊張や歪みを見出す。その精度で観察なんてされたら、誰もが緊張だらけで身動き一つとれなくなる。おそらくヴラッドはそれを自覚しているのだろう。ヴラッドの「超精密ダメだし」はトロント本部のセミナーで、稀に見られる程度であった。でも今回はそれが大阪と東京でかなりの頻度で見られた。これはおそらく、ヴラッドにとって日本がホームになりつつあるからなんじゃないかと思う。参加者に遠慮なく物言いができるようになったのではないか。

ただ、ヴラッドはなぜそんなに高い精度でリラックスを求めるのか。そこには必ず「そうせざるを得ない」という必然性がある。リラックスすると健康によい。緊張は体を歪め、ダメージを与える。リラックスすると恐怖心に打ち勝てる。そんな私達が散々耳にした理由がその必然性を満たすとは到底思えない。ではヴラッドの求める超高精度リラックスに必然性をもたらしているのは何なのか。切実にリラックスせざるをえない「理由」があるはずだ。

それをずっと探りながらヴラッドのレッスンを受けていたのだけど、行き着いたのはごくごく当たり前の結論だった。

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