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ミカエルに尋ねて

ミカエルは対機説法の人だ。

コトバンクをみると対機説法はこう説明されている。

仏陀が教えを説示する場合,その相手の精神的能力 (→機根 ) や性質などに応じてそれにふさわしい手段で説法することをいう。比喩的な表現として「応病与薬」というのと同じ意味である。

ミカエルはまさにそう。

相手の質問に対して、相手のレベルに応じた返答をする。

だから「なんでも聞いて」と常にオープンな態度だけど、その返答は質問の内容と質問者のレベルに大きく左右されることとなる。

それだけではない。タイミングや信頼関係など多種多様な変数によって、ミカエルの答えは変わる。ただミカエルと対話できる時間は、非常に限られている。ロシア語が話せてモスクワに長期滞在できるならともかく、こちらは東京在住だし通訳なしでは会話ができない。そういう時間はかなり限られるので、無駄にはできない。

短い時間で、深くミカエルの本質を引き出すような質問をしないといけないのだ。

ミカエルは訊かれてもいないことを自分からぺらぺら喋る人ではない。訊かれたことを、訊かれた分だけ返す。押された分だけ返すプッシュ&ムーブと同じだ。そして「この人の理解レベルは浅いな」と判断されたら最後。初心者向けの説明として、すでに何度も繰り返し話されてきたことが繰り返される。つまりミカエルには「初心者向けモード」がある。それが起動してしまうと、初心者向けの解説に終止し、その先の話が出てこなくなってしまうのだ。

初心者向けの解答は、それなりにミカエルの指導を受けているインストラクターであれば、誰でも答えられるレベルのことだ。わざわざミカエルに答えさせる意味もない。だからそれ以上の答えを引き出そうとしたら、こちらもそれなりの質問を用意しないといけない。

「どうやって生徒の理解度を測るんですか?」

そう尋ねられたミカエルはこう答えた。

「その人がどんな質問をしてくるか。それで分かる。」

だから学ばないといけない。

でも質問を躊躇してもいけない。

ここで意外に良いのが、通訳を挟むということだ。通訳さんが訳しやすいように、質問の意図を明確にする。そうやって自らの疑問を要約する。その作業によって、自らの質問がクリアになる。

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