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モスクワ国際セミナー覚書201909


8月にトロント本部主催セミナーに行った時のこと。

ヴラッドのプライベートレッスンもあって随分、システマへの理解が変わった。それをnoteでも書き留めようと思ったのだけど、どうにもそういう気分にならなかった。書くことで、内側で流動的に動いている何かが固定される。それをせずにあえて泳がせて静観したいと思ったのだ。

なぜそうしたのか。それは今回のモスクワ国際セミナーで明確になった気がする。システマには次の3つのレベルがある。

1.フィジカルなレベル。エクスターナル。テクニカル。ミカエル曰く「このテクニカルなレベルに止まることを決断する人は多い」

2.インターナルなレベル。内的。自分、相手、周囲に何が起きているかを感じるレベル。

いわゆる「ニュースクール」として提示されたのはここまでだ。

今回、フォーカスされたのは次の段階であった。

3.スピリチュアルなレベル。

霊的、精神的と言おうか。この段階を受け入れられる人は少ないということから、かつてミカエルは「クローズドスクール」という言い方もしていた。ミカエルによると心の中に恐怖やルサンチマンがあるうちは、まだまだ大人であるとは言えない。だから内面を清めて大人になる必要がある。

さらにミカエルがいうには、3つの段階は一つ、つまり三位一体であるという。だから今回のセミナーでは3つのレベルを一つにまとめる練習をした。

その全てを含めて、システマの全体像がようやく姿を現す。

個人的な見解では1.と2.はフィジカルとサイコロジカルをクリーンにする段階である。これは身体的、精神的な「器」を空っぽにして、磨き上げる段階だ。磨き上げた器に何を入れるのか。それが3.の段階なのだろう。そして磨き上げつつ、内側を満たしていく。それらを同時進行させていくことが、おそらく本道のシステマトレーニングなのではないかと思う。

今回のセミナーでは個人的に、これまでにないほどの収穫があった。優れた小説よろしく、過去に散りばめられた伏線の数々が一気に回収された感がある。それによってようやく、システマのスタート地点にたどり着いた気がする。

今回のセミナーではミカエルとヴラディミアが交互に指導するというとても贅沢な形で行われた。

ヴラディミアのパートはまず「快適に立つ」こと。続いて「歩く」がテーマとなった。そもそも快適に立てなければ歩くことはできない。快適に歩ければ技も効く。緊張は肩と腰に主に生じる。だから肩をリラックスさせて大きく回す、胸を自由に動かせるようにする、骨盤の拘束を解く。崩れたら体の復元力によって元の状態に戻る。それを動きの原理として動く。足のリラックスのためには足を蹴り合うレッグワークをたくさん練習した。特に肩の使い方に関しては夏のプライベートレッスンやセミナーでたっぷり教わったこともふくまれていたので、個人的にとても手応えがあった。たぶんシェアクラスなどでは、こちらの実習がメインになるのではないかと思う。

ただシェアしにくいのはミカエルのパートだ。なぜならいよいよ深い精神性へと踏み込むアプローチとなっている。必然的に宗教色も強くなる。中には拒否反応を起こす人もいるだろう。

その意味でここからは有料設定としたいと思う。もっと極論におおらかな世の中なら無料で公開するんだけどね。


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