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問題の核の核

ヴラディミアがある質問にこう答えていた。

あくまでも私の個人的なやり方だが、何か問題に気づいたら、その問題の中へ中へと入っていく。すると核が見つかるからそれに対処する

これを聞いて驚いた。

まさに私が普段、用いている方法そのまんまだったからだ。

私は全く同じことをミカエルに習った。

モスクワのキャンプに柔道のロシア強化選手が参加していたことがある。当時、徐々に柔術の寝技が柔道に取り入れられつつあるところで、生粋の柔道家が対応に苦慮していたのだ。

ゆうに2メートルはあろうかという巨人のような彼がミカエルに尋ねた。「関節技をがっちり固められた時の脱出法を教えてほしい」

その時、ミカエルが教えたのが次のようなものだった。

まず呼吸をする。そして関節の痛みの中へと入っていき、どの関節のどの部位が傷むのか、分析する。

すると痛みの中心が見えてくるから、息を吸いながらそこにだけ力を入れる。

息を吐きながらゆるめる。

関節技はちょっとしたポイントのズレで効き方が全く変わる。今の方法をやるところにより、緊張・収縮する筋肉がわずかにポイントをずらして関節技を無効にしてしまうのだ。

もちろんがっちり深くかけられると脱出はムリなのだけど、まだ浅い段階ならそこそこ対処できる。このやり方でどこまで耐えられるのか試してみたのだけど、無理しすぎて肘の靭帯を痛めてしまったこともあった。呼吸を使えば肉体の限界を簡単に超えられることを知ったのもこのときだ。精神は簡単に肉体を壊すから、そこに至らないように加減をしないといけない。

この方法は、いろいろなことに応用できるのではないか。

例えば緊張ならなんとなく漠然と「この辺が硬い気がする」という認識だったりする。その中心はどこなのかと、緊張の中心のコアへと意識をダイブさせるのである。そうやってコアの緊張を和らげると、それがもとになっていた緊張感そのものがすうっと消える。

目の疲れで同じことをやったら、一瞬で疲労感がなくなったことがあって驚いたこともあった。そこまでうまくいくのは稀だけど、どんな緊張や苦痛でもそこそこの効果が実感できる。

この考えは日常や生活にも共通する。何か問題を見つけたらその核へと潜り込んでいく。そしてそこに解決のリソースを集中する。

こうした体験を積むと、何らかのストレスに見舞われた時はむしろそれがチャンスに思えてくる。そこから避けず、コアへとダイブしていけば解決すること、その一連の過程を通じて前より少しだけ前進できることが分かってくるからだ。

思えば私はミカエルに習った「苦痛の中心にダイブする」というスキルにずいぶん助けられているし、これからは今まで以上にお世話になると思う。

多くの人は苦痛を避けるし、自分の緊張から目を背けようとする。

でもむしろ苦痛を感じたらその中心へ、中心へとどんどん潜り込んでいく。

問題を見つけたら片っ端からそれをやる。するとどんどん前にすすめる。

とても手っ取り早いと思うよね。

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