ミカエル・リャブコインタビュー「システマとは?」

(2014.07.27 システマブログ記事の転載です)

Youtubeにアップされたインタビュー動画の抜粋です。本当は全訳を出したかったのですが、聞き取れない箇所や、話があちらこちらにとっ散らかって、意味が良くわからないところが多々あったため、特にシステマに関するところの抜粋としました。その旨ご理解のうえ、参考にして頂ければ幸いです。

〈システマについて〉
我々が扱っている「システマ」は古代ルーシの格闘技です。「システマ・リャブコ」と呼ばれるようになったのは、我々のシステマが人気を博すようになり、インターネット上でそう呼ばれるようになったためです。そして我々の他にも、いろいろなシステマが登場してきました。いろいろあるので、我々も把握しきれていませんが。それで、みなさんが、「システマ・リャブコ」と呼ばれているものの本質は何か、どこが他と違うのか、とご質問なさるようになりました。システマとは、ある意味ではすべての流派がこれに属すると言うことができ、また別の意味では、我々の流派が、すべてを一つにまとめていると言えると思います。他の流派の人たちは、我々からの情報を利用していますが、基本的には、我々はそれに異を唱えることはしません。ただ周りが、我々の流派をそう呼び始めただけです。これは我々のシステマの細かい部分についてそう呼んでいるのではなく、我々の源流のことだろうと思います。我々が扱っている古代ルーシの武術であるシステマは、古代と言っていますが、これはキリスト教化以降を指しています。キリスト教化以前の情報は乏しく、言い伝えレベルのものしかないためです。キリスト教化されてからは、利用に値するだけの情報が多く残されています。

〈システマを学ぶ人々〉
スペツナズとは、閉鎖的な別の組織です。私が退役してから、こういった職種の人たちを相手にトレーニングするようになりました。ウラジーミル・ヴァシリエフがトレーニングした人たちもいます。彼はカナダに移住し、カナダやアメリカでトレーニングをするようになりました。彼のところに人々が通うようになり、みなさん気に入ったのです。2000年代になってから欧米圏でわたしのことが知られるようになりました。それから、わたしもそちらに行くようになりました。2002年にはカナダやアメリカで、世界のさまざまな国々から、私たちのプレゼンテーションに来てくれ、私たちは古代ルーシの格闘技として登録するというお話を受けました。興味深いプロジェクトと言っていいと思います。その後、多方面の武道関係者やオリンピック選手の指導者など、さまざまなスポーツの分野から多くの人たちが集まって来ていますし、保健省や教育省の大臣も次々と視察に訪れています。
システマのトレーニングをしている修道士もいます。呼吸もさまざまな方法で練習しますが、これは健康を維持する役目があり、またそれぞれの活動の助けとなるものです。スペツナズもシステマのトレーニングを行っています。

〈日本との交流について〉
私は合気道の人たちとセミナーを行いました。とても有名な師範で、今その人の名前を思い出すことはできないのですが。インターネット上に載っていると思います。彼が言うには日本の格闘技はすべて力を失ってしまった、と。そしてこのシステマだけが、日本の格闘技に携わっている人々に力を与えることができる。この言葉はインターネット上にあって見ることができます。つまり彼からはすべてを学んできていて、個人の資格として参加しているのではなく、日本人すべてが知る必要があると判断し、日本国民すべてを代表して参加しているのです。
日本人は言うなれば一つの社会集団で生活しています。我々とはまた違っているのです。日本では私についてのマンガが描かれ、物語が書かれています。日本人は非常に興味を示しています。私は今年日本で2回セミナーを行うことになっています。加えて我々のインストラクターも何度も日本に行きます。つまりほぼ毎月のように日本でシステマのセミナーが開かれるのです。さらにアメリカやカナダからも、システマを学ぶ人達たちが日本を訪れます。9月には、日本人たちが我々のところまでやって来てトレーニングを行います。つまり日本人たちは、正教にも非常に大きな関心を抱いているのです。私はそう想像しています。正教に改宗し、洗礼を受けている人もいるそうです。日本人は、信仰心の篤い民族で、その真摯な姿を私はうらやましくさえ思います。それに、秩序立っていています。こういう点が私は好きです。
(こうしたことが起こるのは)ロシアの伝統のみならず、情報を入手しやすくなったというのが背景にあるのだろうと思います。つまり、情報です。スポーツや格闘技を考えてみてください。我々が提供するものに対して、海外の人たちはまるで自分たちの文化であるかのように適応してきます。我々の呼吸に関しても、鼻から吸って、口から吐くとか。

〈システマとサムライの哲学〉
日本の格闘技は、どのようなものでしょうか。サムライの掟とは何でしょう。サムライは、仕える人のために命を落とさなければなりません。つまりサムライの掟によれば、主人を信じ、主人のために命を落とさなければならない。分かりますか。何のために自分の健康を維持するのか。それはすべて命を落とすためなのです。そこに他に何の意味がありますか。精神的な問題です。また、別の意味からすれば、どんな格闘技も、体や精神、国家、家族を破壊するものであってはならない。つまり戦うためのものであるなら、それは正しい使い方であると言えるでしょう。もし、何かを破壊するためのものであるというなら、それは間違った使い方です。
日本に話を限定するなら、日本ではいくらか学ばれてきました。けれども、日本人はどこからこういった考えを受け入れていったのでしょうか。日本は島国です。私が聞いたところでは、日本人はどこかの荒野からやってきたのだそうです。どこかの荒野から、今の場所へとやって来た。おそらく日本人は、中国から物事を受け入れていったのでしょう。信仰や漢字などいろいろなものを。それで独自の文化や文字を作り出したのです。そして、格闘技に関しても。原則的にはこれと似たものはありません。日本の人々は受容し、これを学んできました。スポーツの種類があります。柔道は畳のリンクで闘います。そういうスポーツです。さらに軍の士気というものがあります。精神は高潔なものです。理論的な精神と実践的な精神をもちろん知っています。

〈ソ連時代、それ以前のシステマ〉
(システマとは)ピョートル一世時代から続く、新しくかつ興味深いものです。たとえば、ピョートル一世の憲章を読んでみてください。当時どのような武器が家庭にあったでしょうか。たとえば猟師です。動物の体を切ることができる武器があったはずです。ソ連時代に関してであれば二回の祖国戦争について考えてみましょう。皇帝は猟師たちを集めました。猟師たちはさまざまで正教を信じている者もいれば、そうでない者もいました。けれども、彼らは別の事柄を実行しなければなりませんでした。つまり、祖国、家族、国家を守るということです。分かりますか。なのでピョートル一世の憲章を読んでください。非常に興味深い感覚に陥るでしょう。そして皇帝に関してよく知ることができます。たとえばスヴォーロフという人がいました。非常にユニークな人物でいろいろなものを作り出しました。作り出しただけでなく使い方を教え、そして彼も実際に使いました。けれども、当時、ロシア軍は、世界の軍隊組織の20%を占めていました。当時は、今のような列車や、航空機はありませんでした。では、軍がどこかへ行軍する際、どうしていたと思いますか。歩いて移動したのです。分かりますか。一日に約100kmほどになります。一日に100km歩いてみてください。興味深いことがたくさんあります。大軍でしたがロシア軍は主に農民たちで構成され残りは士官たちでした。荷物が多く、ブーツを履いていました。ソ連時代の編み上げ靴です。それで歩いて行くのです。歩き、立ち止まり、水のある場所は、裸足で歩きました。正しく歩を進めなければなりません。「うぐいす、うぐいす……」 そのリズムで歩くのです。正しく歩けていなければ関節を痛めてしまいます。また、背嚢を背負い帽子をかぶっていました。時に帽子は、弾などを入れる袋として活用されていました。なぜなら雨が降ってきた時でも、帽子の中なら乾いているためです。ですから帽子は背骨で支えなければなりません。足を正しく踏み出す時、背中などの位置がずれないようにします。背中の位置がおかしく、正しく呼吸できていなかったら、きちんとできません。そうでしょう? つまりすべてを正しく、体をすべてしかるべき位置にしておかなければ100kmを歩くことはできないのです。もし僅かにでも傾いていたら、歩いている間にどんどん影響が出てきます。

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