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早稲田大学法学部の現代文【大学入試現代文analyze⑩】2023版

前回の分析

〇マクロ分析【問題構成など】

・年度別受験者平均点と合格点の想定

2023 23点/50点(46%)
2022 27点/50点(54%)
2021 24点/50点(48%)
2020 26点/50点(52%)

早稲田の国語の中でも受験者平均の得点率が最も低いのが法学部である。私大最難関学部(の一つ)としての矜持を感じる。この難しさは問題文によるところが大きいと思う。受験生にとっては非常に読みにくい文章であろう。

さて、ここから合格に必要な点数を考える。2023年のデータをもとに算出する。

2023年入試の合格最低点は90点である。
公表されている英語、国語の平均点と社会の平均点を均した数値(を足すと75点となる。
両者の差の15点を配点(英語60 国語50 地歴40)で傾斜配分すると、国語で5点の加算が欲しい。つまり、28点となる
よって、55~65%、すなわち国語で28~33点をとることが目標となる。

・設問別分類

設問別の分類


設問数の推移

・【分析】

①設問数は大問1は8題程度。大問2は5題。
選択肢と空欄補充問題が中心。
③脱文挿入は一応隔年傾向なのかな?
④記述問題は国公立レベル。

〇ミクロ分析【文章/設問の分析】

<文章>

・大問3

大問3の出典と文字数

・大問4

大問4の出典と文字数

【分析】
・文章量 : 標準的なのだが……
→2023年は外れ値。非常に多い。しかし、他の年度は7,000字程度である。ただし、全体的に2023年から問題構成が変わっている気がするので、2024年度が7,000字程度となるかわからない。試験の最初に全体構成を確認すること。
例年通りであれば大問3は6分程度、大問4は8分程度が通読時間の目安だ。

・文章の傾向:哲学系
→他学部に比べて「浮つくところがない」印象。重厚な哲学に関する文章を読ませる。その中でも読みやすい2022年の鷲田清一の文章の年の平均点が高いのはやはり文章の難しさこそがその年の平均点を決めると言えるのだろう。(作問自体は安定したクオリティだからね)

<設問>

【漢字】標準的 : 全問正解を目指す

【選択肢問題】

<換言問題> 75%
<理由説明> 11%

<内容一致> 大問3に1題
→換言問題はほとんど(換言問題の中の71%)が定義語換言である。本文中の定義を確認することが求められる。しかし、その中で比喩的な解釈や指示語の内容把握が複合的に絡んでくる。
また、傍線部全体を換言するという意識がないと「書いてあるからこれが正解!」と思って間違える羽目になる

【空欄補充問題】
語句を挿入する問題と文章を挿入する問題に分けられる。この点は商学部・社会科学部・文学部に近い。
よって以下は商学部の分析と同じ文章を再掲しておく。

空欄補充なので前後の文脈から適語を考える、という作業なのだが、そこに「語彙力」の有無が絡んでくる。つまり、空欄に入る適切な内容が分かっても適切な語を選べなければ正解できないのだ。これは早稲田の他学部でも同様である。

【記述問題】
私大の記述問題の中では破格に難しい。多くの私大の記述問題が本文中の根拠を「そのまま」書いてしまっても正解になるのに対して、早稲田の法学部の記述問題は字数の多さも含めて国公立の記述問題、それも旧帝大レベルの問題が出題される
法学部も国公立との併願する受験生が欲しいのかな、というのは受験生の頃(もう20年前)も、この仕事を初めてもなんとなく感じ続けていることだ。
なお、これも年度によるのだが、設問条件が「長々と」書かれていることが多い。この説明が答えを作る方向性を決めるので、必ず熟読すること

〇対策法

・想定時間配分

試験時間:90分
想定時間配分
大問3・4 50分以上
→古文漢文が難しいであろうことは重々承知しているが、180字記述も含めて処理しようとすると50分以上はかかるだろう。とは言え、上記の通り60%正解していればいい。裏を返せば40%は間違えられるのだ。
とにかく正解できる問題を探して、1点ずつ積み上げていく、という感覚で解き進めていこう


・タテ?ヨコ?

タテ過去問を古い年度まで掘り下げて実施)でいいだろう。これまで他学部については「早稲田の現代文」という分類でヨコに広げることを勧めたが、やはり法学部は別格である。この難しさに向き合いつづけてほしい。

それでこそ、私大最難関大学・学部の受験生だと私は考える。

以上。次回は名古屋大学の分析です。

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