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首都圏最難関高校入試についてのお話~早慶附属高校編③早慶附属高校に合格できる子とは?

◇『お師匠さま、整いました!』の話

最近、「御大」(同業者の某先輩)に紹介された本に『お師匠さま、整いました!』(泉ゆたか 作)がある。

このお話は江戸時代の寺子屋を舞台にしたお話である。
「お師匠様」は寺子屋で算術を教える「桃」という女性であり、その弟子の「強気な秀才」と「勤勉な天才」の二人を中心とした成長譚、という基本線がありつつも、「女性にとっての幸せ(自己実現か愛されるか)」や「教育者の葛藤(自分よりも才能がある人間を「教える」機会があるのが教育者)」というテーマを含み持つ大胆かつ繊細に紡がれている印象を受けました。これがデビュー作なんだから、本当にすごい。

『髪結百科』もとても面白かったです。ドラマ化できそう。

◇高校受験で出会った生徒たちのレベル

さて、最難関の高校受験の生徒にそれなりの年月向き合ってきましたが、そのレベルもまちまちです。ここでは、「早慶附属レベル以上」に絞ってお話していきます。

まず、筑波大駒場に合格するレベルの生徒。彼らはほぼ全員「自分よりも頭がいいなあ」と思いながら指導していました。もちろん、指導段階では自分の方が「出来る」わけですが、「本質的な頭の良さ」は負けているかもしれない、とは常に思っていました

それこそ、彼らが自分と同じ年齢になったときには彼らの方が社会に役に立つ、インパクトを与える仕事ができるのではないか、さらに言えば彼らこそが「世界を変える」何かを生み出してくれるのではないか、そして10年に1人ぐらいそういう人物が出てきたらいいなあ、なんてことを思いながらこの仕事をしていました。(これは今も続く、私が教育業界に携わるモチベーションの大きなものの一つです。)

開成や国立附属、日比谷高校は「頭の良さ」と「努力量」の掛け算でなんとか合格にはたどり着けるかな、というイメージです。
横浜翠嵐や湘南、なども同様ですが、「地頭」の良さもある程度必要ですが、それ以上にどのように勉強するか/鍛えるか、が問われると思っています。(公立トップ校のレベルなら地頭の良さなんてものはほぼ要求されませんね。

では、早慶附属高校はどうなのか。

◇早慶附属高校に合格できる子とは

昨年出版した新書の中でも触れましたが、そもそも首都圏の高校入試は「非中学受験組」(=世代の中の最上位が抜けた母集団)での争いなのだ。高校入試の最上位は圧倒的に「帰国子女」が多く、「中学受験の機会の時には海外にいた中学三年生」が上位に来る現実があるのです。

そして、最上位の優秀生の多くは筑駒、開成、女子ならば慶應女子を狙う。そうすると早慶附属(と各公立)は最上位生の争いではない普通の優秀生の争いとなるのです。

では、普通の優秀生とはどのような定義になるのかをデータを示しながらお話していきたいと思います。

まず、首都圏高校入試優秀生のバロメーターのひとつ、駿台模試の数値から確認していきましょう。

☆合格可能偏差値<男子・抜粋>
慶應志木  66
早稲田実業 65
早大本庄・早大学院・慶應義塾 64

☆合格可能偏差値<女子・抜粋>
慶應女子 69
早稲田実業 66
早大本庄 64

この並びの正しさについては個人的には意見がありますが、ここでは置いておきます。

それにしても、高いですね。特に男子。こんなに高かったんだ、というイメージです。

※ここからは個人的な「感覚」も含みます。ただし、毎年早慶附属高校にのべ50~60名、実合格者数でも30名前後を輩出していた人間の感覚値です。

では、どのレベルの受験生が実際に合格しているかというと、

男子53 / 女子60(駿台模試偏差値)

というイメージです。

女子に関する話はまた別途することにしましょう。
そもそも男子は駿台偏差値53ぐらいあれば各進学塾の選抜クラスに入室できるレベルだと思います。

そう、最難関高校を目指す受験生の中で真ん中よりやや上位の成績が残せて、そこに早慶附属に向けた対策を積んでいけば、早慶附属高校に入学できる可能性は十分にあるのです。

他のフェーズ(中学受験・大学受験)の模試で偏差値50前後で早慶に入ることはなかなか難しいので、圧倒的に高校受験から入るのがお得なのが早慶の入試なんですよね。

そんなことが書いてある本があるとかないとか。

では、女子はどうなのか。それはまた別のお話。

それでは。



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